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日本HP、最大56コアと4基のGPUを搭載できる超高性能ワークステーション

Z8 Fury G5のプロトタイプ

 株式会社日本HPは、デスクトップおよびモバイルワークステーションの新製品を発表した。第4世代Xeonと最大4基のGPUが搭載できるフラグシップ「Z8 Fury G5」や、第13世代Core搭載となった14型モバイル「ZBook Firefly 14inch G10」など、複数の製品を投入する。

デスクトップPC

第4世代Xeon採用のデスクトップ新製品

 デスクトップ製品では、CPUに第4世代Xeonスケーラブル・プロセッサー(Sapphire Rapids)を採用した4機種を投入。「Z8 Fury G5」、「Z8 G5」、「Z6 G5」、「Z4 G5」を用意しており、発売時期および価格は順に、5月下旬/85万2,500円から、5月上旬/80万3,000円から、5月中旬/93万5,000円から、4月下旬/58万1,900円から。

 このうち、新機種となるZ8 Fury G5は、Xeon W-3400シリーズによる最大56コアCPUと最大でNVIDIA RTX 6000 Adaを4基まで搭載可能なワークステーション。従来のデュアルソケット製品並みの性能をシングルソケットで実現したことで、ケース内部で使える空間が広がり、4基のGPU内蔵も可能となった。

 また、同社製デスクトップワークステーションとしては初となる2,250Wデュアルパワーサプライを採用。1,125Wの電源ユニットを縦に2基搭載しており、1,125W×2の冗長電源として使えるリダンダントモードか、2,250Wの大容量電源として使えるアグリゲートモードが選択できる。これにより、TDP 300W以上のCPUや、4基のNVIDIA RTX 6000 Ada搭載などを実現している。

新機種のZ8 Fury G5
Xeon W-3400シリーズや最大4基のGPUが搭載できる
1,125W×2の大容量電源ユニットを搭載。2種類のモードを切り替えられる

 冷却面では4機種ともに、TDP 225W以上のCPUを搭載する構成において、3Dベイパーチャンバーアーキテクチャーを用いたHPプレミアムクーラーを採用。センサーから得られた温度情報に応じてファンの回転数を調整するアクティブ・ファン・コントロールや、冷却ゾーンの分割、通気孔やダクトのレイアウトにより、静音性や冷却性を高めている。

ベイパーチャンバーなどにより高い冷却性能を確保

 主な仕様は、Z8 Fury G5の場合、Xeon w5-5423/w5-3435X/w7-3445/w9-3475X、16GB~512GB DDR5-4800メモリ、512GB/1TB/2TB SSD、1TB/2TB/4TB HDD、NVIDIA T400~RTX 6000 Ada(最大4基)、Windows 10/11 Pro for Workstationsなどを搭載する。

Z8 Fury G5のプロトタイプ
背面
CPUクーラー
ビデオカードを支える専用のサポートも備える

 Z8 G5の場合、第4世代Xeonによるデュアルソケット構成のハイエンドワークステーション。主な仕様は、Xeon Silver 4410Y~Gold 6444Y、16GB~256GB DDR5-4800メモリ(デュアルソケット時は64GB~512GB)、512GB/1TB/2TB SSD、1TB/2TB/4TB HDD、NVIDIA T400~RTX 6000 Ada(最大2基)、Windows 10/11 Pro for Workstationsなどを搭載。

 Z6 G5の場合、Xeon W-3400シリーズと最大3基までのGPUを搭載可能なワークステーション。主な仕様は、Xeon w5-3425/w7-3465X、64GB DDR5-4800メモリ、1TB SSD、最大3基のGPU、Windows 10 Pro for Workstationsなどを搭載。

 Z4 G5の場合、CPUにXeon W-2400シリーズを搭載したワークステーション。主な仕様は、Xeon w3-2423~w5-2455X、16GB~256GB DDR5-4800メモリ、512GB/1TB/2TB SSD、1TB/2TB/4TB HDD、NVIDIA T400~RTX 6000 Ada、Windows 10/11 Pro for Workstationsなどを搭載する。

Z8 G5の特徴
Z6 G5の特徴
Z4 G5の特徴
Z8 G5
Z6 G5
Z4 G5(ともにプロトタイプ)

 また、ハイブリッドワークを支援する新たな製品として、「HP Anyware Remote System Controller」も発表。拡張カードとして内蔵できるタイプと、外付けタイプの2種類を用意する。機能はどちらも同じで、機種に応じて選択できる。電源投入やBIOS更新、OSのインストール、障害発生時のアラートなどといったリモート管理機能を提供し、さらにIT管理者によるマシンの一元管理も実現する。

HP Anyware Remote System Controller
さまざまなリモート管理機能が利用できる
左が外付け、右が拡張カードタイプ

 そのほか、既存のZ2 Mini G9、SFF G9、Tower G9についても、CPUを第13世代Coreに刷新する。

ノートPC

ZBook G10シリーズ

 ノートPCの新製品では、モビリティ重視の14型「ZBook Firefly 14inch G10」および16型「ZBook Firefly 16inch G10」、15.6型の「ZBook Power 15.6inch G10」、クリエイター向け16型の「ZBook Studio 16inch G10」、性能重視の16型「ZBook Fury 16inch G10」の5機種を投入。発売時期/価格は順に、5月中旬/32万5,600円から、5月中旬/33万8,800円から、6月中旬/40万4,800円から、7月中旬/59万7,300円から、6月中旬/59万7,300円から。

 各製品ともに、CPUに第13世代Coreシリーズを採用。ZBook Fury 16inch G10ではCore i7/i9 HXを採用し、コア数が増加したことで解析シミュレーションの時間短縮も図れるという。

 GPUにはNVIDIA RTXシリーズを搭載可能で、Fireflyシリーズ以外の機種ではAdaアーキテクチャのものも選べる。また、NVIDIA RTX 3500 Ada Laptop以上のGPUを搭載する構成では、3DベイパーチャンバーとデュアルブレードファンによるHP Vaporforce Thermals冷却システムを採用し、安定動作を実現できるとする。

第13世代Coreを採用
AdaアーキテクチャのNVIDIA RTXシリーズも搭載可能
一部構成では3Dベイパーチャンバーを用いた冷却システムも備える

 そのほか、ハイブリッドワークに向けた機能として、Webカメラの広角化(ZBook Studio除く)や、複数のカメラを使って物撮りしながら自身も映せるマルチカメラエクスペリエンス、Web会議中に一時退席する際に、退席直前の映像を静止画として表示するHP Be Right Backなども用意している。

Webカメラは画角を88度に拡大
複数のカメラを活用したマルチカメラエクスペリエンス
一時退席時に便利なHP Be Right Back

 主な仕様は、ZBook Firefly 14inch G10の場合、Core i5-1335U/i7-1355U、16GB/32GB DDR5-5200メモリ、512GB/1TB SSD、NVIDIA RTX A500 Laptop、14型WUXGA(1,920×1,200ドット)液晶、Windows 10 Proなどを搭載。ZBook Firefly 16inch G10では、ディスプレイが16型WUXGA液晶となる。

 ZBook Power 15.6inch G10の場合、Core i3-13500H/i7-13700H/i7-13800H、16GB/32GB DDR5-5200メモリ、512GB/1TB SSD、NVIDIA RTX A500/A1000/2000 Ada Laptop、15.6型フルHD(1,920×1,080ドット)液晶、Windows 10 Proなどを搭載。

 ZBook Studio 16inch G10の場合、Core i7-13700H/i7-13800H、32GB/64GB DDR5-5600メモリ、1TB/2TB SSD、NVIDIA RTX A1000/2000 Ada Laptop、16型WUXGA液晶、Windows 10 Proなどを搭載。

 ZBook Fury 16inch G10の場合、Core i7-13700HX/i7-13850HX、32GB/64GB DDR5メモリ、1TB/2TB SSD、NVIDIA RTX A1000/2000 Ada/3500 Ada Laptop、16型WUXGA液晶、Windows 10 Proなどを搭載する。

ZBook Firefly 14inch G10
ZBook Firefly 16inch G10
ZBook Power 15.6inch G10(プロトタイプ)
ZBook Studio 16inch G10
ZBook Fury 16inch G10(プロトタイプ)

 そのほか、ワークステーション製品共通で、HP Wolf Securityによる幅広いセキュリティ機能、MIL規格の試験をクリアした高い耐久性、プロフェッショナルアプリケーションが安定して動作することをテストしたISV認証、3年間の製品保証なども特徴。アルミやプラスチックなどパーツの一部にリサイクル素材を使用するなど、サステナビリティへの取り組みも進めている。

HP Wolf Secutiryによるセキュリティ機能
MIL規格テストをクリアした高い堅牢性も特徴
サステナビリティへの取り組みとして、リサイクル素材の採用も進めている

モバイル化やデータセンターへの集約が求められるワークステーション環境

パーソナルシステムズ事業本部 クライアントビジネス本部 バリュービジネス部 部長の大橋秀樹氏
パーソナルシステムズ事業本部 クライアントビジネス本部 プロダクトマネージャーの柄津佑輔氏
パーソナルシステムズ事業本部 クライアントビジネス本部 プロダクトマネージャーの中山智之氏

 18日に開催された新製品発表会では、同社パーソナルシステムズ事業本部 クライアントビジネス本部 バリュービジネス部 部長の大橋秀樹氏、プロダクトマネージャーの柄津佑輔氏、プロダクトマネージャーの中山智之氏が登壇し、製品説明などを行なった。

 コロナ禍を経て、設計や開発の分野でもハイブリッドワークの導入が拡大。建設業などの分野では、端末を現場に持ち出したいというニーズが以前からあったところにコロナ禍が後押しするかたちで、デスクトップからノートへ移行が進んだ。

 一方、製造業ではまだまだデスクトップのニーズが高いが、コロナ禍前からデータセンターへマシンを集約するリモートワークステーションの環境の構築も徐々に進んでおり、コロナ禍を経てそれがさらに促進。オフィスと在宅を組み合わせるなどし、密にならずに設計を続ける環境が整えられたという。

ハイブリッドワークでの設計開発はコロナ禍でより加速

 そういった流れの中、ハイブリッドワークにおいては、モバイル化、データセンターへの集約、データセンターへの設置を前提とした機能と性能の3つの要素がワークステーション製品に求められていると分析する。

 これを受け同社では、性能やサイズ、機能面などで分散するニーズに対し、応えられるようなモバイル製品のポートフォリオの拡充を図る。また、IT管理者の少ない組織でも対応できるような、簡単で高度な集中管理ができる環境やセキュリティを提供することで、データセンターへの集約を支援していく。

 さらに、データセンターにワークステーションを設置することを前提とした、超高性能マシンやラックマウントオプションの提供なども進めていくとした。

ハイブリッドワークにおいてワースステーションに求められる要素
今回発表の新製品群