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「冷えピタ」素材で電子機器を冷却する手法

 カリフォルニア大学サンディエゴ校のRenkun Chen氏らによる研究グループは、ハイドロゲルを用いた電子機器の冷却効果に関して研究結果を報告した。IEEE Spectrumにて紹介されている。

 人体発熱時用の冷却ジェルシートなどでも使われるハイドロゲルが通常時に空気中の水分を吸収し、冷却時にその水分を蒸発させることで電子機器を冷却しようとするもの。ファンや液体冷却などと異なり、エネルギー入力が必要ないパッシブ冷却で、省エネルギー化や水の節約などに貢献できるとする。また、ハイドロゲル自体のコストが低い点も強みだとしている。

 実験では、通常のヒートシンクと、ヒートシンクの上に0.5~1mm厚のハイドロゲル層をコーティングしたものを用意。両方をFETの上に配置し、冷却効果を比較した。その結果、ヒートシンクなしの場合と比べて、前者は8℃、後者はそれを上回る20℃の温度低下が確認できたという。

 この仕組みでは、ハイドロゲル内の水分がすべて蒸発してしまうと冷却効果が発揮できなくなってしまうため、研究グループではより多くの水分を吸収し保持できるハイドロゲルを検討している。また、既存のアクティブ冷却と組み合わせることで、エネルギー使用量の削減が期待できるとしている。

 本研究結果は、Cell Reports Physical Scienceに掲載された。

実験環境の模式図(左上)、ヒートシンクなしの場合(右上)、ヒートシンクのみの場合(左下)、ヒートシンクとハイドロゲルの場合(右下)