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自動化が所得格差を引き起こす要因に。MITが研究結果を公開

 マサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of Technology、MIT)は21日(米国時間)、1980年以降の米国の所得格差の拡大について、低学歴労働者を自動化によって置き換えたことが大きな要因の1つであるとする研究結果を公開した。

 MITのDaron Acemoglu氏、ボストン大学のPascual Restrepo氏による研究によれば、この40年間で高学歴労働者と低学歴労働者の間の所得格差は大幅に広がっているが、そのうち半分以上が機械やシステムによる自動化の影響によるものであることが分かったという。

 両氏は、1987年から2016年までの期間で、49産業における人間の労働力が用いられていた範囲に関する統計と、同期間に採用された機械やソフトウェアに関するデータなどを利用した研究を実施。ロボットが相当な数の労働者を置き換え、一部企業の産業支配を推し進め、不平等を後押ししていることが明らかになったという。

 加えて、1980年から2016年までの期間で、雇用やインフレ調整後の時給などとともに、性別や教育、年齢、人種などで分類された500のグループについて労働に関する追跡調査を行なった。その結果、1980年以降、自動化によって高校を卒業していない男性の場合で8.8%、女性の場合で2.3%賃金が低下したと推定している。1980年以降、高校を卒業していない男性の所得は15%低下しており、その約半分が自動化による影響であるとみられるという。

 Acemoglu氏は、特に低技能のサービス業において、自動化によって生産性はあまり変わらない一方で、労働者の賃金に大きな影響を与えるだろうとしている。