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中国、わずか半年で3倍の性能を実現したゲーミングGPU。業界初PCIe 5.0対応で、11日にも発売へ

MTT S80

 中国Moore Threadsは11月3日(現地時間)、従来の3倍のレンダリング性能を達成したというデスクトップ向けGPU「MTT S80」を発表した。中国のECサイトJD.comにおいて、11月11日の“独身の日”にあわせて数量限定で発売する。価格は不明。

 同社が3月30日に発表した“MUSA”アーキテクチャを踏襲しながら、コア数を従来の「MTT S60」にあたる“蘇提”の2,048基から4,096基へと2倍とした第2世代チップ“春暁”を採用。さらに、レンダリングエンジン、マルチメディアエンジン、AIアクセラレータ、物理エンジンのいずれも拡張して性能を向上させた。

 この結果、グラフィックスレンダリング性能は平均で3倍、エンコード性能は4倍、デコード性能は2倍、AIアクセラレータは4倍、物理シミュレーションは2.5倍の性能向上を実現。同時に帯域転送を圧縮する機能を備え、帯域を30%以上節約できる。

 加えて、業界で初めてPCI Express 5.0に対応したGPUになるといい、128GB/sの転送速度でCPU/GPU間転送のボトルネックを解消するとしている。さらに、16GBのGDDR6メモリを搭載する。

チップ名は“春暁”

 MTT S80ではフルスペックの春暁GPUを搭載し、1.8GHz駆動で14.4TFLOPSの単精度浮動小数点数演算性能を実現。ゲーマー向けに強力な3Dレンダリング性能を提供するだけでなく、学生や研究者向けに、AIやGPGPU用途にもフル機能を提供するとしている。

 中国産GPUとしては初めて完全なWindows/DirectX API対応GPUとなり、「Diablo 3」や「League of Legends」といったタイトルで動作確認をした。同時に、UnrealやUnityといったゲームエンジン、Tencent GamesやNetEaseといったゲーム開発者とも協業し、ゲームにおける最適化を進めている。Vulkan/OpenGL/OpenGL ES APIもサポートする。

ゲームタイトルのサポートを充実へ

 メディアデコード面では、AV1、H.265、H.265、VP9といった主流のエンコード/デコードに対応し、1ストリームの8Kビデオ、または32ストリームの1080p/30fpsビデオの再生が可能としている。

 ディスプレイ出力はDisplayPort 1.4a×3とHDMI 2.1で、360Hz/1080pにおけるゲームプレイや、30Hz/7,680×4,320ドット×4画面の出力が可能。MSTも対応し、DisplayPort 1基で4画面出力もサポートする。