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製品開発と技術力でユーザーの声に30年間応え続けたThinkPad

30周年記念モデルを持つレノボ・ジャパン合同会社 執行役員常務 大和研究所の塚本泰通氏

 レノボ・ジャパン合同会社は5日、折りたためるPCの新型「ThinkPad X1 Fold」ThinkPadシリーズ30周年を記念した特別限定モデル「ThinkPad X1 Carbon Gen 10 30th Anniversary Edition」を発表した。前者は10月中旬の発売を予定、後者はすでに販売を開始しており、価格はそれぞれ54万2,300円から、33万円となっている。

 各製品の詳細については既報を参照して頂きたい。本稿では、同日開催された新製品発表会の模様をお届けする。

ThinkPadは30周年。累計出荷台数は2億台超に

 冒頭では、同社製品企画部 マネージャーの元嶋亮太氏が登壇。ThinkPadシリーズの30年間を振り返った。

同社製品企画部 マネージャーの元嶋亮太氏

 ThinkPadシリーズの第1号製品となる「ThinkPad 700C」は、発表会当日からちょうど30年前の1992年10月5日に発売された。以降さまざまな機種を投入してきたが、30年間一貫して、ユーザーがあらゆる場所で生産性高く働けるデバイスとして開発してきたという。

 現在に至るまでのシリーズ累計出荷台数は2億台以上を突破。シリーズの継続には、多くのフィードバックや、次の製品につながるようなアイデアといったユーザーからの声も支えとなっており、世界中のユーザーに心から感謝したいと述べた。

ThinkPadシリーズはちょうど30周年
シリーズ累計の出荷台数は2億台を超えた
10月中旬発売予定の新型ThinkPad X1 Fold
数量限定30周年記念モデルのThinkPad X1 Carbon 30th Anniversary Edition

「お客様の成功」を目指し、さまざまな製品を投入した30年。

 続いて、同社執行役員常務 大和研究所の塚本泰通氏が登壇し、新製品や製品開発における取り組みなどを説明した。

ThinkPad X1 Foldを持つ同社執行役員常務 大和研究所の塚本泰通氏

 時代の変化とともにPCの使い方が変わり、求められるものが変わる中でも、ThinkPadシリーズは「オフィスから、仕事を解放するために」というコンセプトを変えることなく、「お客様の成功を目指す」ために開発を継続してきた。

 同氏の所属する大和研究所は、現在に至るまでThinkPadシリーズの開発拠点だが、第1号の700Cを振り返り、日本IBMだけでなく、チップセットやPCB、ディスプレイ、HDDなどのメーカーや工場も国内にあったことで生まれた製品だと語った。今でこそThinkPadと言えば堅牢性なイメージがあるが、700Cは意外と当時は壊れたという。その後は基準を見直したり、テストを用意するなど、堅牢性に対する取り組みを積み上げていった。

コンセプトは「オフィスから、仕事を解放するために」
開発における哲学も変わらない
シリーズ第1号製品の「ThinkPad 700C」
30年間、さまざまな機種を投入してきた

 その後もカーボン素材や指紋認証センサー、3Gモデムの内蔵など、さまざまな新技術を投入。新たな挑戦の場ともなっているフラグシップの「ThinkPad X1」シリーズは、これまで累計1,000万台以上を出荷した。中でもThinkPad X1 Carbonシリーズは、2012年に当時としてはめずらしい14型サイズの軽量モバイルノートとして登場し、以来10年間「次の当たり前」を提案し続けてきた。

 また、今回発表した新型ThinkPad X1 Foldについては、2001年発売の「ThinkPad TransNote」などを含むマルチモード2in1製品シリーズの流れを汲んでおり、従来機種に寄せられたユーザーからのフィードバックを反映しつつ、昨今の多様な働き方/働く場所に対応でき、持ち歩きたくなるデザインに仕上げたとする。

 同社では今後も、これまで培った開発哲学を大事にしながら、環境負荷へ配慮したコンピューティングパワーや技術によって、ユーザー1人1人の働き方や成功を支えていきたいとした。

ThinkPadのアイコンとも言えるCFRP(カーボン)は25年以上前から採用
ThinkPad X1シリーズは1,000万台以上を出荷
ThinkPad X1 Carbonは「次の当たり前」を提案し続けて10年
あらゆるシーンで直感的に使え、携帯性を持つデバイスとして2in1製品も開発してきた
今後もユーザー1人1人の働き方をコンピューティングで支援

ThinkPadを支えるパートナー企業の技術

 発表会では、ThinkPadシリーズで協業しているパートナー企業の担当者も登壇した。

 東レ株式会社 コンポジット事業部門長の溝渕誠氏は、ThinkPad向けに提供しているカーボン素材について紹介。表面には硬く緻密、内部には軽量で網目のカーボンを使用することで、高弾性と軽さを両立する独自のフルカーボンサンドイッチ構造や、極細カーボンによる織物シートを用いたカーボン型天面カバーなどについて説明した。

東レ株式会社 コンポジット事業部門長の溝渕誠氏
27年で5,000万台以上のカーボン筐体を納入
強度と軽さを両立するフルカーボンサンドイッチ構造
極細カーボンによる織物シートを使ったカーボン柄カバーも

 株式会社クラレ クラリーノ事業部長の熊野敦氏は、ThinkPad Z13およびX1 Fold向けに提供しているクラリーノについて説明。-20~60℃の耐温度性や10万回の屈曲試験をクリアする耐久性を実現するとともに、再生プラスチック由来の原料を使用するなど、サステナビリティにも配慮している点などを紹介した。

株式会社クラレ クラリーノ事業部長の熊野敦氏
高い耐久性が特徴
再生プラスチックも使用している
ThinkPad Z13では一部モデルの天板に採用された

 シャープディスプレイテクノロジー株式会社 取締役 副社長の伴厚志氏は、X1 Fold向けに提供しているフレキシブル有機ELパネルについて説明。ヒンジ機構を設計するレノボときめ細やかなすり合わせを行なうことで、折り曲げ時の隙間を最小化できる雫型曲げを実現したと解説した。

シャープディスプレイテクノロジー株式会社 取締役 副社長の伴厚志氏
フォルダブルディスプレイを構成する技術
新たに雫型曲げ構造とすることで、隙間を最小化
パネルとヒンジ機構の設計において緊密な連携を図ったという

 以下、実機を写真で紹介する。

ThinkPad X1 Fold。命名規則上、ディスプレイサイズが従来機種から変わったため、Gen表記はつかないという(同名のまま)
キーボードを置いたラップトップモード
本のようにも持てる
横長なランドスケープモード
縦長なポートレートモード
閉じても隙間はほとんどない
ペンは側面にくっつく
スタンド
スタンドはマグネットで着脱
ThinkPad X1 Foldの内部
底面にはバッテリなどが並ぶ
メインボード
放熱機構
ヒンジ部分
ディスプレイパネル裏側
カバー
ThinkPad X1 Carbon Gen 10 30th Anniversary Edition
本体
ロゴは懐かしの3色を使った特別仕様
左パームレスト上部には30周年の刻印
右パームレストのロゴも特別仕様に
右のヒンジにはシリアルナンバー。展示機は特別なJ0000番
パッケージも特別仕様
付属品
サステナビリティに配慮した梱包材を採用
交換用のTrackPointキャップも3色用意。装着済みのものを含め、各色3つずつ付属
ステッカー

 そのほか会場では、ThinkPad 700Cをはじめとした歴代のシリーズ製品も展示されていた。

ThinkPad 220
ThinkPad 555BJ
ThinkPad 701C
ThinkPad 755CDV
Palm Top PC 110
ThinkPad 760XD
ThinkPad 535X
ThinkPad 600
ThinkPad 570
ThinkPad 240Z
ThinkPad X20
ThinkPad T20
ThinkPad s30
ThinkPad TransNote
ThinkPad X30
ThinkPad T30
ThinkPad X40
ThinkPad X41 Tablet
ThinkPad Z61t
ThinkPad X60s
ThinkPad X300
ThinkPad W700ds
ThinkPad X1 Hybrid
ThinkPad Yoga 260
ThinkPad 8
ThinkPad 10
ThinkPad X1 Fold(2020年モデル)
ThinkPad X1 Carbon Gen 10
ThinkPad X1 Nano Gen 2
ThinkPad X1 Yoga Gen 7