ニュース

Intelら、第4世代Xeon SPでDDR5/CXLメモリ、PCIe 5.0対応ストレージを推進

SK Hynixのブースに展示されていたSapphire RapidsとCXLメモリのデモ

 Intelは9月27日~9月28日(現地時間、日本時間9月28日~9月29日)の2日間にわたり、米国カリフォルニア州サンノゼ市にあるサンノゼ・コンベンション・センターで同社年次イベント「Intel Innovation」を開催した。

 今回のInnovationでも、Intelが開発コードネーム「Sapphire Rapids」こと第4世代Xeon Scalable Processor(以下第4世代Xeon SP)を正式に発表することはなかったが、展示会場にはSapphire RapidsのメモリとなるDDR5のRDIMM、および新しいインターコネクトになるCXLに対応したメモリモジュール、およびPCI Express 5.0に対応したNVM Express対応ストレージを展示して、実際に動作する様子を公開した。

Sapphire Rapidsでは、DDR5メモリ、CXLメモリに対応、Innovationで展示される

第4世代Xeon SPとしてリリースされる予定のSapphire Rapids

 別記事でも紹介した通り、Intelは今回のInnovationにおいても開発コードネーム「Sapphire Rapids」こと第4世代Xeon SPを正式発表することはなかった。

 しかし、明らかにそのリリースは近づいていると言わんばかりに、今回のInnovationの展示会では、Sapphire Rapids関連の展示が多数行なわれていた。

Samsung Electronicsが展示したDDR5のRDIMM
SK Hynixが展示したDDR5のRDIMM
SK HynixのDDR5とSapphire Rapidsの動作デモ

 その中でも注目を集めたのは、メモリやストレージ周りの展示だ。クライアントPCの第12世代Core/第13世代Core、そしてAMDのRyzen 7000シリーズも既にDDR5に対応しているのに対して、データセンター向けの第3世代Xeon Scalable Processor(第3世代Xeon SP)も、AMDの第3世代EPYCもDDR4にとどまっており、今後はDDR5への移行がテーマの1つになるからだ。

 DDR5ではレイテンシこそDDR4と大きな違いはないが、データレートは高まっており、帯域幅が向上。Sapphire RapidsではDDR5に対応することが既に明らかにされており、今回のInnovationではSamsung ElectronicsやSK HynixなどがDDR5に対応したRDIMM(Registered DIMM)を展示して、Sapphire Rapids上での実働デモを公開した。

 メモリ周りでは、そうしたDDR5のデモと同時にCXL(Compute eXpress Link)に対応したDRAMモジュール(CXLメモリ)の展示とデモが行なわれた。

Samsung ElectronicsのCXLメモリ・モジュール
SK HynixのCXLメモリ・モジュール
CXLメモリとSapphire Rapidsの動作デモ

 IntelはSapphire RapidsでCXL 1.1に対応することを、昨年(2021年)行なったIntel Architecture Dayで既に明らかにしていた。CXLは簡単に言ってしまえば、物理層はPCI Expressを利用しながら、CPUとCPU、CPUとメモリなどの接続に必要な機能を追加したI/Oとなる。業界団体「CXL Consortium」により業界標準の規格として策定されており、AMDなどIntelの競合メーカーも既に採用を明らかにしている。

 今回Innovationに展示されたのは、このCXLに対応したスイッチやDRAMモジュール。Samsung ElectronicsやSK Hynixが展示したDRAMモジュールは、CXLメモリというメモリ用のプロトコルを利用しており、CXL経由のDRAMを追加のチャンネルとして利用することで、メモリ帯域幅や容量を増やす使い方が可能になる。

 例えばSK Hynixが展示したのはCXL 1.1に対応したCXLメモリで、1つのモジュールでDDR5(転送速度などは明らかにされていなかった)を96GB拡張可能で、I/OはPCI Express 5.0 x8相当でCPUと接続される形になっている。

SK HynixによるCXLメモリの説明

 Hynixの展示の説明では、DDR5だけだと帯域幅は260~320GB/s、最大容量は768GBだが、CXLメモリを追加することで帯域幅は360~480GB/s、最大容量は1.15TBに拡張されるという。ただし、これがSapphire Rapidsのスペックであるのかは何も書かれていなかったことは付け加えておく。

 IntelはこのInnovationに先立って、SCM(Storage Class Memory、DRAM並の速度とストレージなみの大容量を兼ね備えたメモリのこと)のOptane事業から撤退することを明らかにしており、その代わりに大容量のメモリを実装する方法として注目されているのがこのCXLメモリとなるだけに、その詳細などはSapphire Rapidsの発表時に明らかにされるものと考えられ、今後もその動向には要注目だ。

Sapphire Rapidsで対応予定のPCI Express 5.0に対応したストレージも展示される

 また、PCI Express 5.0に対応していることも、Sapphire Rapidsの特徴の1つ。データセンター環境では、複数のストレージを搭載して利用するのが一般的で、CPUとのI/OになるPCI Expressの速度が速ければ速いほど良いと考えられている。このため、ストレージベンダーは今回のInnovationにおいてPCI Express 5.0に対応したNVM ExpressのSSDを展示し、Sapphire Rapidsとの組み合わせでデモなどを行なっている。

 今回のInnovationではSamsung ElectronicsやSK Hynixなどの韓国勢に加えて、日本のキオクシアなどがPCI Express 5.0に対応したデータセンター向けNVM Express SSDの展示を行なっており、それらもSapphire Rapidsの発表に合わせて市場に登場してくることになりそうだ。

キオクシアのPCI Express 5.0対応NVM Express SSD「CM7」
Samsung ElectronicsのPCI Express 5.0対応NVM Express SSD「PM1743」