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サブテラヘルツ帯の無線通信を実現する「キラル磁気ソリトン格子」。Beyond 5Gの実現へ

 大阪公立大学大学院 工学研究科 電子物理工学分野の島本雄介 日本学術振興会特別研究員、戸川欣彦教授、ならびに放送大学の岸根順一郎教授らの研究チームは21日、キラル磁性結晶に現れるキラル磁気ソリトン格子(CSL)と呼ばれる磁気超構造が、マイクロ波領域における集団共鳴運動をすることを実験的に観測することに成功したと発表した。Beyond 5Gの通信技術での活用が期待される。

 現在のモバイル通信の最新技術である5Gは、数GHzから数十GHzの周波数帯域を利用するが、無線通信の大容量化/高速化には、100GHz以上の帯域の活用といった大幅な周波数帯域拡張が求められている。

 しかしマイクロ波を共鳴吸収する既存の磁性材料の周波数は、数GHzから70GHz程度にとどまっており、次世代通信技術の開発には適さなかった。

 研究グループでは、CSLの粒子性と波動性を併せ持つ特性に着目。マイクロ波分光法を用いて高周波特性を精査したところ、広帯域な集団共鳴運動を観察することに世界で初めて成功。これはCSLの優れた構造制御性によって生じる現象であり、磁気共鳴の周波数をサブテラヘルツ帯まで広げる変調の新原理になるとしている。

 実験では、ネットワークアナライザーの上限周波数が40GHzであったが、理論解析では100GHzを超えることも可能で、予測では約450GHzに達することができるという。今後はより高周波で観測できるよう研究を進めるとともに、物質探索を進めることで、室温動作や減衰特性の向上が期待できるとしている。