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Intel、オープンな知的財産による液浸冷却ソリューション

データセンター向け液浸冷却ソリューションのリファレンスデザイン

 米Intelは19日(現地時間)、米オレゴン州ヒルズボロに建設予定の研究施設に7億ドル超の投資を行なうと発表し、この中で「液浸冷却」、「水の有効利用」、「熱の回収と再利用」に注力すると言及。データセンターの電力密度を高めて運用効率を向上させるトレンドに対応する目的で、オープンな知的財産(IP)に基づくデータセンターの液浸冷却ソリューションの研究開発を行なうとした。

 開発初期における設計と概念実証についてはインテル台湾と連携し、台湾のエコシステム全体で段階的に完了させたのち、グローバルに拡大させる予定。

 Intelは冷却技術の研究開発に投資する理由として、二酸化炭素排出量の削減に寄与する点を挙げている。国際エネルギー機関(IEA)が発表したデータによれば、2010年以降、世界のインターネット人口は2倍に増加し、トラフィックは15倍におよび、現在、データセンターは世界の電力需要の約1%、二酸化炭素排出量の約0.3%を占めるという。Intelが投資するエネルギーの再利用を伴う液浸冷却は、従来のデータセンターでの使用と比較して、二酸化炭素排出量を45%削減できる可能性があるとする。

 新研究施設は2023年後半にオープンする予定。同施設では液浸冷却をはじめとする熱研究のほか、Xeon、Optane、ネットワークインタフェイス、Agilex FPGA、Xeアーキテクチャ、Habanaアクセラレータほか開発中の製品と、データーセンター向け製品群のテストおよび実用化を行なう見込み。

 なお国内における液浸冷却によるデータセンターの消費電力削減に関する研究としては、直近でKDDI、三菱重工業、NECネッツエスアイが小型コンテナにデータセンターを収容して稼働させる実証実験に成功している。

インターネットトラフィック、データセンターのワークロード、データセンターのエネルギー使用量の世界的傾向、2010年~2020年(出典:IEA)
オレゴン州ヒルズボロに建設予定の研究施設。2023年オープン予定