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人気ゲームで性能をじっくりと観察。狙い目メインストリームビデオカードはどれだ!
2021年4月21日 09:50
レイトレ対応GPU第2世代として華々しくデビューしたNVIDIA GeForce RTX 30シリーズ、そんなGeForceと戦える実力を持って登場したAMD Radeon RX 6000シリーズ。2020年末から2021年初頭はメインストリームGPUの充実も進み、ビデオカード市場はガチンコ対決でいよいよ激戦必至……と思いきや、実際には空前の“品薄”という状況にある。
GeForce RTX 3080/3090およびRadeon RX 6800 XT/6090 XT搭載のハイエンドビデオカード編に続き、ここではメインストリームGPUを搭載した製品の一斉比較を見ていこう。(TEXT:芹澤正芳)
得手不得手が見える3DMark
ここではRTX 3070/3060 Ti/3060およびRX 6800のメインストリームGPUを搭載したビデオカードの検証を行なう。
DirectX 11環境の性能を見るFire Strikeのスコアを見ると、RX 6800はハイエンドクラスのRTX 3080並みと言える。DirectX 12の非レイトレーシング環境の性能を測定するTime Spyでも優秀。その一方で、消費電力が大きく、レイトレーシング性能を見るPort RoyalではRTX 3070に勝てない。これはあくまで基本的な傾向で、実際のゲームではタイトルごとにまた得手不得手がある。
まず軽めのゲームとしてNintendo Switch版の登場でますます盛り上がりを見せるFPS「Apex Legends」、中量級のゲームとしてアーリーアクセス段階ながらSteamでトップクラスの人気となっている北欧神話サバイバルゲーム「Valheim」を使って性能を見ていく。
Apex Legendsのフレームレートは、制限を解除しても最大で300fpsだ。フルHD解像度ならRTX 3070とRX 6800は限界近くまでフレームレートを出せており、両者に大きな性能差はない。240Hzクラスの高リフレッシュレート液晶と組み合わせるなら、この二つのGPUから選びたい。WQHDの144Hzや4Kの60Hzの液晶と組み合わせるのであれば、RTX 3060でもよいだろう。4Kでも平均80fpsほど出ているのでプレイに困らない。
Valheimは、容量が1GB未満と最近のゲームとして驚くほど小さく、レイトレーシングは利用していないが、描画負荷はそこそこ高い。まだアーリーアクセスなので大きく変化する可能性もあるが、現時点ではGeForceが優勢だ。RTX 3070なら4Kでもほぼ平均60fpsを確保できており、高解像度の美しい画面で楽しみたいというニーズにも応えられる。
Apex Legendsではトップに立ったRX 6800だが、ValheimではRTX 3060 Tiとよい勝負というフレームレート。RadeonのRDNA2アーキテクチャと相性のよいゲームとそうではないゲームでの性能差が大きいのはちょっと気になるところだ。
最後にレイトレーシング対応の重量級ゲーム「ウォッチドッグス レギオン」を試した。GeForceはRTX 30シリーズでレイトレーシング用のRTコアが第2世代へと進化し、性能を大幅に向上させているだけに、RX 6000シリーズでレイトレーシング初対応となったRadeonとは明らかな性能差が見られる。
また、RadeonにはGeForceの描画負荷軽減技術「DLSS」に相当する機能がまだ実装されていない。本作ではGeForce勢はDLSSを有効にすることで、フルHDなら約1.5倍、4Kなら約2倍もフレームレートが向上する。レイトレーシングおよびDLSS対応タイトルにおいては、GeForceの圧倒的優位は現時点ではゆるがない。2021年登場予定のRadeon版DLSSと言える「FidelityFX Super Resolution」で、この評価が変わるか期待したいところ。
なお、RTX 3060はビデオメモリ12GBとRTX 3070/3060 Tiの8GBより容量こそ多いが、メモリバス幅が狭いため、重量級ゲームではフレームレートが伸びない。重量級ゲームのプレイを目的にするなら、RTX 3070がベストチョイスと言えそうだ。
-総評- ハマればRX 6800、安定のRTX 3070
軽量級のゲームからレイトレーシングまでまんべんなく強いのはRTX 3070だ。中量級ゲームでも4Kでプレイできるパワーを持っているのは優秀。Apex Legendsで見ると、RTX 3060 TiはRTX 3070に比べて性能差は15%程度。WQHD解像度までのゲームプレイなら選択肢としては悪くない。
RTX 3060はRTX 3060 Tiから20%以上も性能が下がる。ビデオメモリは多いが、CUDAコアが少なく、メモリバス幅が狭いのが原因だろう。RX 6800は相性がよいゲームでは強く、ウォッチドッグス レギオンもレイトレーシングをOFFにすれば、RTX 3070を上回るフレームレートを出せる。ゲーム側の最適化が今後進めば、より輝くGPUになるだろう。
【検証環境】CPU:AMD Ryzen 9 5900X(12コア24スレッド)、マザーボード:MSI MPG X570 GAMING EDGE WIFI(AMD X570)、メモリ:Micron Crucial Ballistix RGB BL2K8G36C16U4BL(PC4-28800 DDR4 SDRAM 8GB×2 ※PC4-25600で動作)、システムSSD:Kingston KC600 SKC600/1024G(Serial ATA 3.0、1TB)、データSSD:CFD販売 PG3VND CSSD-M2B1TPG3VND[M.2(PCI Express 4.0 x4)、1TB]、CPUクーラー:Corsair iCUE H115i RGB PRO XT CW-9060044-WW(簡易水冷、28cmクラス)、電源:NZXT E Series E850 NP-1PM-E850A(850W、80PLUS Gold)、OS:Windows 10 Pro 64bit版、Total Board Power:NZXT CAMアプリの電力のGPUの値、アイドル時:OS起動10分後の値、高負荷時:3DMark−Time Spyデモモード実行時の最大値、Apex Legends:起動オプション「+fps_max unlimited」を指定し、最高画質設定でトレーニングモードで一定の動作をした際のフレームレートを「CapFrameX」で測定、Valheim:最高画質設定で一定の動作をした際のフレームレートを「CapFrameX」で測定、ウォッチドッグスレギオン:APIはDirectX 12、画質“最大”+レイトレーシング設定はすべて最大に設定し、ゲーム内のベンチマーク機能を利用して測定
DOS/V POWER REPORT 2021年春号では「見付けたら買っておきたい クラス別最強ビデオカードはこれだ!」と題した特集を掲載しています。ハイエンドとメインストリームの二つのセグメントについてGPUごとにできるだけ複数の製品をピックアップして横並びで検証、ゴールド/シルバーレコメンド製品の選定を行なっています。さらに春号には初心者向けの自作入門小冊子も付いていて、この春の自作PCがすべて分かる1冊に仕上がっています。