物理乱数と秘密分散を利用し、100年単位で保管できるデータ保護技術

今回開発したストレージシステムの概念図

　株式会社ZenmuTech、株式会社ワイ・デー・ケーおよび国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)は、100年単位の超長期情報保管を実現するストレージシステムのプロトタイプを開発した。

　遺伝情報などの医療情報や生体情報に関するデータは、変更ができないことや、漏えいによる影響がのちの世代にまでおよぶ可能性があることから、長期的かつ強固なセキュリティによる保護が求められている。また、一般的な業務におけるパソコン利用についても、機器を廃棄するさいのデータ削除が不十分だった場合に情報漏えいの危険性がある。

　今回開発されたシステムは、物理乱数ドングル(USB接続)、パソコン上で動作する秘密分散ドライバ、外部ストレージの3つで構成。物理乱数ドングルが生成した乱数を利用し、秘密分散ドライバがデータを無意味化した上で、3つのデータに分散する。

　分散されたデータは物理乱数ドングル、パソコン上および外部ストレージに1つずつ保管され、うち2つを用意することで復元できる。一連の無意味化・分散保管はユーザーが作成・編集した情報に対して随時実行される。

　個別の分散データ単体では意味をなさないため、コンピュータの性能向上や量子コンピュータの実用化などによる情報の復元は理論的に不可能だという。また、データを補完したメディアを分散管理することで、紛失や廃棄による情報漏えいを防止できるとしている。

　開発チームでは、処理の高速化など、さまざまな機器で本技術を利用できるよう開発を進め、市場への製品投入を目指す。