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東芝、量子暗号通信システムを事業化。国内外で順次展開

 株式会社東芝は、量子暗号通信システムのプラットフォームの提供およびシステムインテグレーション事業を2020年度第4四半期より国内外向けに順次開始すると発表した。

 量子暗号技術は、光の粒子「光子」の持つ量子力学的な性質を利用した技術。光子1つに対して1bitの情報を乗せて送ることで、理論上伝送中の盗聴や解読を確実に検出できる。

 同社では、データ通信用光ファイバを共有する多重化用途向けと、速度と距離を最大化する長距離用途向けの2種類の量子鍵配送プラットフォームを開発しており、国内外にネットワークを構築することで、おもに金融機関などを対象とした量子鍵配送サービスを今後展開していくとしている。本格展開に先立ち、英ケンブリッジに製造拠点を設け、2020年度第3四半期より特定ユーザー向けの量子鍵配送サービスを開始。2025年度までに同サービスの本格的な提供開始を見込んでいる。

 システムインテグレーション事業としては、国立研究開発法人情報通信研究機構から実運用環境下における複数拠点間の量子暗号通信実証事業を受注。国内における初の事業案件となり、2020年第4四半期にシステムを納入し、2021年4月より実証事業を開始する見込み。

 国外については、英国ではBT Groupとの共同実証実験を9月16日より開始し、英国政府研究開発機関での量子暗号通信の実用化を進めるほか、米国ではQuantum XchangeやVerizon Communicationsが9月3日に発表した量子暗号通信トライアルに参加。2021年度以降はこれらの地域に加えて、欧州、アジアの主要国においても事業展開を図る。

 同社では量子暗号通信の技術開発に20年以上取り組んでおり、量子鍵配送サービスをいち早く提供することで、2030年度時点で市場シェアの約4分の1(約30億ドル)の獲得を目指すとする。