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金沢工業大学、5.8GHz帯の無線電力転送で受電効率92.8%を達成

本研究による受電レクテナの構成と写真

 金沢工業大学 工学部 電気電子工学伊東健治教授と坂井尚貴研究員らの研究グループは23日、マイクロ波(5.8GHz)による無線電力転送に用いる受電レクテナ(整流回路付きアンテナ)において、世界最高の電力変換効率となる92.8%(1W入力時)を達成したと発表した。

 マイクロ波を用いた無線電力転送は、遠方に電力を転送可能なのが特徴。例としてドローンに応用すれば、充電ベースに戻らずとも長時間の連続使用が可能になる。従来の受電レクテナは、「受電アンテナ+回路+ダイオード」という構成であったが、今回研究グループは回路を省くことで損失を削減し、マイクロ波から直流への電力変換効率を限界まで高めた。

 具体的には、受電アンテナの形状の工夫により、従来の回路の機能をすべて受電アンテナで実現。さらに、整流用半導体として三菱電機のガリウム砒素(GaAs)をダイオードに適用することで、マイクロ波特性を改善し、効率を高めた。

 今回は1W受電で高効率化を達成したが、今後は10Wの高効率受電技術の確立に取り組むとしており、そのために名古屋大学/名古屋工業大学/三菱電機により開発が行なわれている高耐圧ガリウム・ナイトライド(GaN) HEMT型ダイオードを用いる予定としている。

無線電力転送の仕組み
従来の受電レクテナ構成
本研究による変換効率結果