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ゲーム性能の強化には「ビデオカード交換」が効果大!
~でもその前に知っておきたいパーツの選びのポイント
2020年8月11日 11:50
PCを使い慣れてくると感じる“なんだか遅い!”という状態。ゲームが遅いと感じたらまずすべきは「描画負荷を減らす」、つまり画質設定や解像度を下げることだ。しかし描画負荷を減らしてもまだ重い、あるいは画質や解像度をこれ以上下げたくないと感じたらハード強化。つまりビデオカードを交換するときだ。(TEXT:加藤勝明
PCの現状を把握して必要な対策を見きわめる
まずは今自分がどんなGPUでゲームをプレイしているのか、そもそもビデオカードは交換できるのか確認しよう。とくに重要なのが後者で、超小型PCやノートPCだとこれはかなりのハードル(手がないわけではないがコスパは難アリ)。その点、自作PCで広く利用されているタワー型のPCケースであれば交換にトライしやすい。とはいえ、ビデオカードのサイズ確認は必須で、電源ユニットの補助電源コネクタは足りるのか、自分のディスプレイに接続できるディスプレイ出力はあるのか、などの要素も確認しておこう。
現状が分かったら乗り換え先を検討
ビデオカードが物理的に交換できることを確認できたら、次は乗り換え先の選定だ。今使っているビデオカードよりも強力なGPUを搭載していなければ、ゲームの動作改善にはつながらない。GPUの型番は世代ごとに増えていくものだが、単純により大きな型番に乗り換えればいい、というわけではない。たとえば今使っているのが「GeForce GTX 970」ならば、現行の「GeForce GTX 1650 SUPER」では型番は上回って見えても性能的にはほぼ横ばい。性能向上を狙うなら、3DMarkのScoreが1.5倍よりも上になるGPUを選ぶのがベスト。下図の例で言うと、GTX 970ならGTX 1660 Tiより上が狙い目だ。
どのくらいまで上を目指すかは遊びたいゲームにもよるが、「予算の許す限り上ッ!」と言いたいところ。とくに最近の描き込みがリッチなゲームでは、ビデオメモリサイズがキモになることも多い。4GB以下では足らなくなりやすいため6GBが最低ラインだが、8GBより上は体感できないことも多い。
上位GPUほど消費電力も増えるので、電源出力も気にかけよう。GPUやビデオカードのスペックに推奨電源出力があるが、まずはこれを満たしており、かつ電源ユニットから出るPCI Express補助電源(6ピン/8ピンコネクタの電源ケーブル)が足りるかを確認。補助電源コネクタは変換ケーブルである程度増やすこともできるが、配線が汚くなるし、トラブルの発生源になりかねない。基本的には、電源ユニットが標準で持っているコネクタの範囲内で収まるカードを選ぶか、電源ユニット自体を交換することを推奨する。
GPU名 | メーカー推奨の電源出力 | メーカー推奨の補助電源構成 |
---|---|---|
NVIDIA GeForce RTX 2080 Ti | 650W | 8ピン+8ピン |
NVIDIA GeForce RTX 2080 SUPER | 650W | 8ピン+6ピン |
NVIDIA GeForce RTX 2070 SUPER | 650W | 8ピン+6ピン |
NVIDIA GeForce RTX 2060 SUPER | 550W | 8ピン |
NVIDIA GeForce GTX 1660 SUPER | 450W | 8ピン |
NVIDIA GeForce GTX 1650 SUPER | 350W | 6ピン |
NVIDIA GeForce GTX 1650 | 300W | なし |
AMD Radeon RX 5700 XT | 600W | ― |
AMD Radeon RX 5600 XT | 550W | ― |
AMD Radeon RX 5500 XT | 450W | ― |
CPUも強力なほうがモアベターだが、優先度が高いのはGPU
ゲームのフレームレートを上げるには高性能なGPUが必須だが、高フレームレートで処理するにはCPU性能もそれなりに必要で、CPUが高性能GPUの足を引っ張ることもめずらしくない。最近のGPUドライバはマルチスレッド化されて、ゲームの処理も複雑化しているため、CPU負荷そのものが上がっている。ゲームの設計にもよるが、描き込みに凝ったゲームほどCPUにもコア数と動作クロックの双方が求められるからだ。さらに、プレイ動画の録画・配信という要素まで絡んでくると、CPUの重要度は一段と高まってくる。
とはいえゲームにおいてはGPUが絶対的な主でCPUは従。つまりビデオカードを強化せずCPUとマザーだけを強化しても状況は改善しない。予算的にどちらかしか更新できないなら、旧世代CPU+マザーに新しいビデオカードを装着したほうがゲームの快適度は向上する。旧世代CPUではPCI Expressの世代が古いから性能が出ないと考えがちだが、同じシステムでGPUの接続をPCI Express 2.0/3.0/4.0に切り換えてテストしても、ゲームのフレームレートはほんの数%しか変わらなかった。PCI Expressのバス性能がゲームに影響するのではなく、それにつながるCPUの性能が低いから性能が出ないのだ。
“古い環境であること”が原因のトラブルも
CPUの性能に不満はなくても、旧世代PCに最新ビデオカードを組み合わせるのはお勧めできない。その理由は旧世代マザーに新しいビデオカードを組み合わせると、映像を出力できないトラブルがあるからだ。これはUEFI BIOSが存在しない時代に生まれた古いマザーと、UEFI登場以降のファームウェアを搭載したビデオカードの組み合わせで発生しやすい。ただ、同じGPUを搭載していても、動く製品、動かない製品があるのが悩ましいところ。特定の組み合わせでの動く・動かないの判定は過去の実績や情報に頼らざるを得ない。UEFIやFast Bootに対応したWindows 8登場以降に発売されたマザーであればマザー側が原因で起動しない心配はないが、Core 2世代や初代Core世代のPCでは、情報収集や若干の試行錯誤が欠かせない。
さらにUEFIが原因で動かないようなマザーの入ったPCだと、エアフローまわりの設計思想が古いため、ビデオカードの冷却性能が十分に発揮されない可能性も考えられる。新しいビデオカードを使うなら、マザーやPCケースもそれなりに新しいほうがトラブルを未然に回避できるのだ。
DOS/V POWER REPORT 2020年夏号では「おうちPCの強化書」と題し、巣ごもり・テレワークによって性能に不満を感じたPCをさまざまに強化する方法をまとめた特集を掲載している。2020年夏号ではこのほか、巻頭企画「第10世代Core vs. 第3世代Ryzen」、第2特集「最強の簡易水冷クーラーはこれだ!」などを掲載。さらに50ページのPCパーツレビュー連載がスタート。PC自作初心者から上級者までマストバイの1冊です。
【検証環境】
<モンスターハンター:ワールドでの検証>マザーボード:GIGA-BYTE Z390 AORUS MASTER(rev. 1.0)(Intel Z390)、GIGA-BYTE X570 AORUS MASTER(AMD X570)、メモリ:G.Skill F4-3200C16D-16GTZRX(PC4-25600 DDR4 SDRAM 8GB×2 ※Intel環境ではPC4-21300として使用)×2、SSD:GIGA-BYTE AORUS GP-ASM2NE6200TTTD[M.2(PCI Express 4.0 x4)、2TB ※AMD環境で使用]、Western Digital WD Black NVMe WDS100T2X0C[M.2(PCI Express 3.0 x4)、1TB ※Intel環境で使用]、OS:Windows 10 Pro 64bit版、計測方法:集会エリア内の一定コースを移動したときのフレームレートをCapFrameXで計測、OBS Studio:エンコーダはx264を使用し、レート制御/bitレート/CPU使用のプリセットは配信時がCBR/6Mbps/faster、録画時がVBR/10Mbps/mediumにそれぞれ設定、<レインボーシックス シージでの検証>CPU:Intel Core i7-2600K(4コア8スレッド)、AMD Ryzen 5 3600X(6コア12スレッド)、マザーボード:ASUSTeK P8P67(Intel P67)、MSI MPG X570 GAMING EDGE WIFI(AMD X570)、メモリ:CFD販売 ELIXIR W3U1600HQ-4G(PC3-12800 DDR3 SDRAM 4GB×2)、G.Skill F4-3600C19D-16GSXWB(PC4-28800 DDR4 SDRAM 8GB×2)、SSD(新旧環境共通):Samsung 850 EVO MZ-75E250B/IT(Serial ATA 3.0、250GB)、ビデオカード(新旧環境共通):GALAX GEFORCE GTX 960 EXOC 2GB(NVIDIA GeForce GTX 960)、OS:Windows 10 Pro 64bit版、計測方法:ゲーム内ベンチマーク機能を利用して計測、<Red Dead Redemption 2での検証>CPU:AMD Ryzen 9 3950X(16コア32スレッド)、マザーボード:GIGA-BYTE X570 AORUS MASTER(rev. 1.0)(AMD X570)、メモリ:G.Skill F4-3200C16D-32GTZRX(PC4-25600 DDR4 SDRAM 8GB×2)×2、SSD:GIGA-BYTE GP-ASM2NE6200TTTD[M.2(PCI Express 4.0 x4)、2TB]、OS:Windows 10 Pro 64bit版、計測方法:ゲーム内ベンチマーク機能を利用して計測