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NEC、マスク着用のまま顔認証でオフィスゲート通過や、社内店舗での購入などできる体制を構築

 日本電気株式会社(NEC)は、生体認証などの技術を活用したソリューションの本社実証についてメディア公開を行なった。ニューノーマルに向けて新たなオフィスを想定したものだとしている。

 まずはじめに、同社執行役員常務 兼 CIO 兼 CISOの小玉浩氏から概要の説明が行なわれた。

NEC 執行役員常務 兼 CIO 兼 CISO 小玉浩氏

 新型コロナウイルス感染症の拡大にともない、ほぼ全ての人が大きく生活のかたちをかえるなかで、人が安全や安心を実現する習慣や生活様式を取り入れ、社会が経済効率性だけでなく持続可能性をより重要視するよう変化していくことが想定されるという。

 働き方の点では、テレワークの導入などデジタルの活用が一気に進んでいる一方で、オンラインでの仕事の見える化やセキュリティ、オンとオフの切り替えなど、新たな課題も見えてきた。そのなかで、オフィスに出社することを前提とした働き方における制度などは、デジタルトランスフォーメーション(DX)により大きく変化するとした。

 同社では、リアルとオンラインを融合し、新たな仕事のプラットフォームの再構築を目指し、ウェルビーイング(身体的/精神的な幸福)や圧倒的生産性の向上を実現する「つながる仕事のプラットフォーム」をWorkplace as a Serviceとして提供していく。それに向けてコンセプトを提案するだけでなく、実際に試行錯誤を繰り返し、そこから得られた知見を生かした価値を継続的に提供していきたいとした。

オフィスを前提とした働き方から変化
リアルとオンラインを融合し、仕事のプラットフォームを再構築する
NEC本社で行なっている実証実験

オフィスへの入退場から軽食の購入まで身体1つで可能に

 続いて、デジタル技術を活用したさまざまなソリューションがデモツアーのかたちで説明された。Digital IDによる生体認証を活用したものが多く紹介された。

 Digital ID入退場ゲートは、社員証を使わず顔認証で入退場が管理できるゲート。マスクを着用したまま認証でき、同時に体表面温度の計測も行なえる。名前や社員番号といった個人情報を周囲に知られることなく、認証されたことをユーザー自身が確認できる独自の「幾何学アバター」も利用できる。あわせて、ゲートの通過時にマスク着用の有無を検出し、通知するマスク着用検知機能のデモも行われた。

 Digital ID自販機は、顔認証を利用して財布を開かずとも飲み物が購入できる。決済は事前にIDと紐づけたクレジットカードを通じて行なわれる。Digital IDロッカーでは、顔認証による施錠/解錠ができるほか、手のジェスチャーによる操作に対応しており、ロッカーにほぼ触れることなく利用できる。

Digital ID入退場ゲート
マスク着用検知機能
顔パスで飲み物が買えるDigital ID自販機
ジェスチャー操作に対応したDigital IDロッカー

 社員なら誰でも使える共同オフィス「BASE」には、オフィス内の混雑度やマスク未着用者の人数などが一目で確認できるディスプレイが入り口に用意されている。軽食コーナーには、顔認証と虹彩認証を組みあわせた「マルチモーダル生体認証」を使用したレジを設置。1回の認証で顔/虹彩を同時に検知でき、より簡単で精度の高い認証が行なえるという。

 またBASEには、「Digital IDシンクライアントPCログイン」に対応した社内の共用PCも用意。顔認証だけでログインでき、なりすましやパスワードの流出といったリスクを抑えられる。

 「NEC SMART STORE」は社員向けの無人売店で、社員は顔認証で入店し、商品を棚から取ってそのまま退店すると自動的に購入が完了する。棚など店内に設置された多数のセンサーを通じて、どの社員がどの商品をいくつ取ったかを検知する。代金は給与から自動で天引きされる仕組みだという。

 Digital IDゲートレスエントランスは、物理的なゲートのないエントランス。鏡の前に立つとユーザーの名前とメッセージ、体表面温度が鏡上に表示される。複数人の同時認証も可能となっている。オフィスから出向く前に身だしなみを整えながら退場処理を行なうといった鏡の特性を生かした利用を想定しているという。

オフィス内の状況が確認できるディスプレイ
マルチモーダル生体認証
NEC SMART STORE
Digital IDゲートレスエントランス
サーモグラフィ表示

 空間と空間、リアルとリアルをつなぐツールとしてのスムーズスペースや、大きさや形状などの確認をオンライン上で行なえるVRと3Dモデルを使った製品説明のデモも行なわれた。

 また、同社では10万人もの社員が勤務しているが、この大量の社員の働き方を支えるツールについても紹介。テレワーク環境やサイバー攻撃、物理オフィス、入退場ゲートなどのモニタリングや、蓄積された働き方のデータをAIが分析し、現状とおすすめの働き方を提案する機能などを提供する。

スムーズスペース
VRと3Dモデルを利用したオンラインでの製品説明
リモートワーク環境のモニタリング
サイバー攻撃の監視
ゼロトラストベースのセキュリティ基盤
オフィスのどこに誰がいるか見える
入退場ゲートのリアルタイムカメラ
入退場者の詳細。マスク着用の有無や体表面温度が一定以上だった人数も分かる
働き方データの分析

自己主権型のIDでプライバシーや人権を第一に

 デモ後には、小玉氏がポストコロナに向けたロードマップについて説明。続いて同社執行役員の橋本裕氏より、NEC I:Delightについて解説が行なわれた。

NEC 執行役員 橋本裕氏

 NEC I:Delightは、生体認証の各種IDを連携し、ユーザーにより良い体験を提供することを目的としたコンセプト。個人のIDやデータはその個人に主権があるとする自己主権型を前提としたもので、メーカーやサービス事業者がIDおよびIDから得られたデータをコントロールすることはないという。

 各ソリューションはアジャイル方式によるサービス開発が行なわれ、社員の合意のもと、社内実証から得られたデータを取得/分析し、改善が進められている。まずビルソリューションとしての提供を見込んでおり、今後も時代の変化にあわせたより良いソリューションやサービスを作っていきたいとした。

同社が提供していくWorkplace as a Service
ポストコロナに向けたロードマップ
NEC Delight
働き方をより快適に
最大限に力が発揮できる社会へ