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英ランカスター大、DRAM並の速度かつ100分の1の消費電力で動作する不揮発性メモリ「ULTRARAM」

 英ランカスター大学は7日、DRAM並みの速度を実現する不揮発性メモリ「ULTRARAM」を発表した。

 Transactions on Electron Devices誌に掲載された、ランカスター大物理学研究チームの論文によれば、ULTRARAMと称するメモリは、トリプルバリア共鳴トンネリング(RT)構造の量子力学現象を利用した化合物半導体電荷蓄積メモリで、不揮発性かつ低電圧でのデータ書き込みおよび消去が可能というこれまでにない組み合わせのメモリを実現する。

 化合物はヒ化インジウムとアンチモン化アルミニウム(InAs/AlSb)から成り、NANDフラッシュ(1.6eV)を上回る2.1eVという大きな障壁を持ち不揮発性メモリとして動作する。ソフトウェア上で行なわれたシミュレーションの結果では、デバイス消費電力は非常に小さく(読み書き時2.3V以下)、単位面積あたりのスイッチングエネルギーはDRAMの100分の1ながら、同等の動作速度を発揮できるという。

 速度については、5nsの立ち上がり時間と5ns間の書き込みサイクルで、DRAM同様に10nsの合計パルス時間で動作する。

 20nmのフィーチャーサイズで競合するメモリ技術と比較すると、スイッチングエネルギーの小ささはDRAM比で100分の1、NANDフラッシュ比1,000分の1で、そのほかの新メモリ技術と比較しても大幅に小さく、不揮発性メモリはメモリセルの状態を変更するために揮発性メモリよりも多くのエネルギーを必要とするという従来の定説を否定する結果を示している。

 なお少量の電子の漏れによってデータが破損する問題もあるが、10nm未満のフィーチャーサイズまで微細化が進まなければ問題にならないという。

 同大学では、データが堅牢に保存されると同時に簡単に変更できる「ユニバーサルメモリ」を実現するものになるとしている。

DRAMやNANDフラッシュなどとの比較