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Qualcomm、スマホ用GPUドライバをPlayストア経由で更新
2019年12月5日 12:27
Qualcommは12月4日、Snapdragon 865の技術的な概要を発表し、CPUやGPUなどの詳細などについて説明。このなかで、Android向けのGPUドライバを、Google Playストア経由で配布する計画を明らかにした。
立ち上がるゲーミングスマートフォンの市場、ASUSやRazerなどが人気機種を販売
ASUSの「ROG Phone II」、Razerの「Razer Phone 2」などはゲーミングスマートフォンと呼ばれ、モバイル環境でゲームをしたいゲーマーに受け、じょじょに市場が立ち上がりつつある。そうした背景には、たとえば「フォートナイト2」のように、PC、コンソール、モバイルで同じタイトルがほぼ同時期に提供されたりと、ゲームパブリッシャー側の意識も大きく変わりつつある。
Qualcommは2018年発表したSnapdragon 855で「Snapdragon Elite Gaming」というブランドを導入し、モバイルゲーミングに適したSoCとしてSnapdragon 855や、ミッドレンジ向けのSnapdragon 730GのようにGの型番がついたSoCを、ゲーミングスマートフォン向けとして訴求してきた。
なお、Snapdragon 865にもGがつかないが、もともとプレミアムセグメント向けのため、Snapdragon Elite Gamingが冠されている。それに対してSnapdragon 765はGがつかないバージョンとGがつくバージョンが用意されており、後者がSnapdragon Elite Gaming準拠だ。
Qualcomm Technologies ゲーミングエンジニア トッド・レモイネ氏は「もはやモバイルも、デスクトップに近い性能のGPUが用意されている。Snapdragonはモバイルゲーマーのプラットフォームとして最高である」と述べ、今後PCのGPUが持っている機能を、積極的にSnapdragonのGPUにも提供していくと説明した。
GPUドライバだけのアップデートをストア経由で可能に
発表なかでもっとも注目を集めたのは、「アップグレード可能なGPUドライバ」だ。現在Android OS向けのGPUドライバ単体では配布されておらず、OSとセットでしか提供されていない。そのため、ドライバがアップグレードされるタイミングは、Android OSのリビジョンやバージョンが上がるときに、端末メーカーがOTAでパッチを配布するタイミングとなり、ユーザーが知らない間にバージョンアップされるかたちとなっている。
これに対して、PCの世界ではGPUドライバのアップデートは、基本的に1カ月に1回バージョンアップが行なわれる。ハイエンドゲームでGPUが持つ性能を発揮させるためには、それだけ何度もアップデートする必要があるからだ。
また、毎月のように新しいPCゲームが出るので、それに対応させる意味もある。非常にメジャーなタイトルの新しいバージョンがリリースされたときには臨時でGPUドライバがアップデートされることも珍しくなく、NVIDIAやAMDといったディスクリートGPUを出しているところだけでなく、Intelのように統合型GPUしかリリースしていないベンダでさえも、今やそうした対応をとっていることが珍しくない。
しかし、Androidについては前述のとおりの状況で、Qualcommが真剣にゲーミングスマートフォンを、PCに負けないゲーミングプラットフォームにするには、障壁となっていた。
レモイネ氏によれば、QualcommはGoogleと交渉して、GPUドライバをGoogle Playストア経由で配布する仕組みを構築したという。これにより、スマートフォンベンダーがOSのビルドやバージョンアップを頻繁にしてくれないような端末であっても、GPUドライバだけをバージョンアップできる。これにより、最適化でゲーム性能を引き上げたり、新しいタイトルの互換性の問題が発生したときでも、迅速に対応可能になる。
それ以外にも、AMDのFreeSyncや、NVIDIAのG-Syncのようなフレームレートを60fps固定にしてフレームレートがあがったり下がったりすることで発生する揺れを抑える「Game Smoother」や、144Hzのリフレッシュレートに対応したドライバの提供など、PCゲーミングで活用されている技術をスマートフォンの世界に持ち込むと述べて注目を集めた。