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日本マイクロソフト、「会議は基本30分で5名以下」や「社内メールではなくチャットに」を全社員に通達

 日本マイクロソフト株式会社は、「ワークライフチョイス(WLC) チャレンジ2019夏」の内容と、同プロジェクトを8月より実施すると発表した。

 これは4月22日に「週勤4日&週休3日」を柱とする自社実践プロジェクトとして発表されていたもの。同社は働き方改革(ワークスタイルイノベーション)を経営戦略の中核に位置付け、日頃からICTを活用し、時間や場所にとらわれないフレキシブルな働き方を実践するとともに、顧客の働き方改革推進の一助として、自社の取り組みや見えてきた成果/課題を公開しているが、プロジェクトはテレワーク・デイズ2019やスムーズビズなどへの賛同に加えて、独自の活動として全社員を対象に実施される。

 同プロジェクトでは、全社員が8月の毎週金曜日(計5日)に特別有給休暇を取得(一部社員は9月末までの別日に取得予定)し、全オフィスをクローズ。社員のWLC実践を促すために、会社からは自己啓発関連費用サポート、異文化異業種職場体験プログラム、家族旅行やレジャー関連費用の補助、社会貢献活動費用サポート等の支援プログラムも提供される。

週勤4日の実現

 社員は週勤4日で仕事を行ない、期間中の社員は業務を週勤4日で遂行できるよう、生産性と創造性の向上に取り組むとともに、各種支援プログラムを活用してプロジェクトのテーマ「短い時間で働き、よく休み、よく学ぶ」にチャレンジするという。

 取り組みにおける最大のチャレンジが、短時間でより効率良く働くための「時間の使い方改革」で、社内会議やメールのお作法など社員が多くの時間を費やしている部分の改革を目指す。

 具体例の1つ目は「会議設定は基本30分を標準」。同社社員が実施する会議の多くが明確な理由なく習慣的に60分間で設定されるケースが多く、社内調査からMicrosoftグローバルの平均と比べ30分間の会議が約半分しかないという。会議の内容や参加人数などで30分では不十分な場合もあるが、習慣的な「60分設定」を30分に変革していくことで、会議の時間の使い方改革に取り組むという。

 2つ目は「会議の参加人数は、多くて5人で」。調査の結果、同社社員の実施する会議は、グローバル平均よりも11%参加者が多く、参加が必須ではない会議に多くの社員が参加しているという。とくに、日本ならではの特徴として会議に3階層(本部長/マネージャー/現場社員など)で出席したり、チームの同僚が複数名で同じ会議に参加したりするケースが多く見られ、この状況を改革するため、会議の参加人数は「多くて5人まで」を基本とする。

 会議内容や生産性、創造性の観点から、あえて6名以上の会議を選択することも可能だが、全会議において主催者は参加必須者を明確にするという。会議通知メールにCCや「任意参加」で入れて「よろしければ参加を」のような招待も極力避けるという。

 3つ目は「そもそもコラボはMicrosoft Teams活用で」。メール中心のコミュニケーションから、コラボレーションツール「Microsoft Teams」の徹底的な活用へ主体を切り替えて業務効率を高めることを目標とする。

 安易なメール送付や会議招集ではなく、確認すべきポイントや相手が明確な場合は、複数名であってもチャットでやりとり・確認し、複雑な内容であればオンライン通話や会議ですぐにつながり、会話をして資料を共有し共同編集するなど、迅速なコミュニケーションやコラボレーションをTeamsの活用で実現し、結果として、無駄なメールのやり取りや会議の時間を削減して「時間の使い方改革」に取り組むという。

 これらの新たな取り組みに加えて、これまでフレキシブルワークの中で実践してきたMicrosoftのAI「MyAnalytics」を活用した社員それぞれの時間の使い方の見直し、予定を入れずに集中して物事を考えたり、創造性を高めるために「フォーカスタイム」をスケジュールに組み込むなどのアクションをさらに徹底して行なうことで、「短い時間で働く」を実現する。

 こうした取り組みを「ワークライフチョイス チャレンジ2019夏」を皮切りに全社でトライアルし、プロジェクト終了後には効果測定を行ない、継続して取り組むことで業務効率の底上げを目指すとしている。効果測定(向上、削減、満足の観点など)は10月を目途に結果が公表される予定。

週休3日のトライアル

 週休3日のトライアルとして「よく休み、よく学ぶ」を目標に、ワークライフチョイス社員支援プログラム(対象期間は7~9月末)も展開。福利厚生の一環で全社員を対象に毎年付与している、ベネフィットポイントやウェルネスポイントを本プロジェクトで使用する場合は、通常の1.5倍もしくは2倍付与することで、社員のワークライフチョイスの実践を支援する。

 同社では、期間中に社員がチャレンジする取り組みとして以下の例を挙げている。

  • 自己成長と学びの視点
    ・週休3日に加えて平日のリモートワークを組み合わせることで、自分の家族が働く職場を体験し異文化異業種の仕事の進め方を学ぶとともに、その職場の従業員に業務効率やクリエイティビティを高めるためのICTスキルアップトレーニングやサポートを提供。
    ・特別有給休暇となる金曜日に、異業種のお客様企業の職場体験を実施。
  • 私生活やファミリーケアの視点
    ・実家が家業を経営している社員が、平日はフレキシブルワークの勤務制度を活用してリモートワークを行ない、週休3日や有給・夏季休暇を組み合わせることで、約1カ月間実家に滞在し、業務時間外に家業を学び、自身のスキルを活かしてECサイトの構築などを行ない、経営の立て直しをサポート。
    ・夫が単身赴任中の女性社員が、平日はフレキシブルワークの勤務制度を活用してリモートワークを行ない、自分の実家に滞在して両親から育児サポートを受けながら実家で業務遂行し、より業務に集中しパフォーマンスを高めること、また子育てが軽減された充実した休暇の実現を目指す。
  • 社会参加や地域貢献の視点
    ・福島県出身の社員10名が約10日間帰省し、実家でファミリーケアやリモートワークをしながら、地元のエンジニアと最新テクノロジーの勉強会を行なったり、東日本大震災からの復興に向けたNPOとのディスカッションに参加したりするなど、各人のスキルや経験を活かした活動を実施。
    ・特別有給休暇になる8月23日に、社内外のコミュニティと連携し、LGBTに関する映画上映とパネルディスカッションを関東の複数箇所で実施。Microsoft Teamsを活用したリモート参加も実現。
    ・特別有給休暇になる8月9日、16日、23日に、通常業務としてはクローズする品川本社オフィスにおいて、社員複数名が講師となり、女子中高生向けのプログラミング ワークショップやキャリア相談を実施。
    ・特別有給休暇になる8月30日に、クラウド&ソリューション事業本部の社員の有志が、都内の高校において、新しい学び方や多様な働き方を可能にするスキルの育成に向けた「IT キャリア出張教室」と「総合学習プログラム」を実施。
    ・社員が地元に帰省したさいに、特別有給休暇となる金曜日に、母校で児童生徒向けのプログラミング講座や、教職員向けのICTを活用した教材づくり講座などを実施。