ニュース

7型モバイル「OneMix 2S Platinum Edition」発売。Core i7搭載の性能を検証

OneMix 2S Platinum Edition(手前)

 株式会社テックワンから、CPUにCore i7-8500Yを搭載した7型2in1「OneMix 2S Platinum Edition」(以下OneMix 2S PE)が直販専用で販売開始となった。税別価格は128,000円だ。

 7型というUMPCサイズでありながら、最大4.2GHzで駆動するCore i7を搭載するだけあって、発熱によって性能が制限されてしまわないか、バッテリ駆動時間が短くならないかと、気になるユーザーは少なくないだろう。今回、発売前に製品サンプルをお借りできたので、ベンチマークテストを実施してみることにした。

 OneMix 2S PEの外観は、既存のOneMix 2Sの色をガンメタル、Appleで言えばスペースグレイに変更したものとなっているのだが、これがなかなかカッコイイ。天板にOneMixのロゴも入り、周囲へのアピール度はかなり高い。

OneMix 2S PE本体
スペースグレイの筐体はかなり見栄えがいい
天板にOneMixのロゴが入った
キーボードは従来と同様
本体底面も従来と同じで、給気口の拡大などはない
付属するペンはブラックに
重量は実測値で551gだった
キーピッチは16mm

 仕様としては、先述のとおりCPUがCore i3-8100YからCore i7-8500Yに強化されているほか、SSDも256GBから512GBへと倍増している。Core i7と512GB SSDという文字だけ見れば、「自分が普段使っているPCよりハイスペックだ」というユーザーも少なからずいることだろう。UMPCとしても、かなりインパクトのある数字である。

 使い勝手に関してはOneMix 2から大きな変更はないため、そちらのレビューもあわせて参照していただきたいが、筆者手持ちのOneMix 2の試作機では動作しなかった機能として、ファンの静音モード(Fn+ESCキー)がちゃんと実装されていることが確認できた。

 今回、OneMix 2試作機のレビュー時よりPCMark 10がアップデートされたため、OneMix 2のベンチマークも改めて取り直しておくこととした。注意したいのは、OneMix 2試作機は実際の製品版には搭載されていないCore i5-7Y54と、128GB SSDが搭載されている点。また、OneMix 2試作機にはWindows 10 1809と最新のIntel GPUドライバをインストールしているが、OneMix 2S PEは出荷時のWindows 10 1803となっている。厳密にいえば環境は共通ではない点をあらかじめご了承いただきたい。

【表】テスト機材の仕様および標準版OneMix 2Sとの差異
機種OneMix 2SOneMix 2試作機OneMix 2S PE
CPUCore m3-8100YCore i5-7Y54Core i7-8500Y
SSD256GB128GB512GB
OSWindows 10 Home 1803Windows 10 Home 1809Windows 10 Home 1803
GPUドライバ不明26.20.100.689025.20.100.6617

 というわけでPCMark 10の結果であるが、OneMix 2S PEは確実にOneMix 2試作機を超える性能を記録した。具体的に見ていくと、OSバージョンやGPUドライバの違いが影響していると思われるEssentialsを除き、5%以上の性能向上が見られ、Core i7-8500Yの効果が如実に現れている。

PCMark 10 GUI 2.0.2106.64/System Benchmarks 1.1
モデルOneMix 2S PEOneMix 2試作機性能向上率
PCMark 10 Score282926845.4%
Essentials62646269-0.1%
App Start-up Score841979146.4%
Video Conferencing Score50025201-3.8%
Web Browsing Score58375986-2.5%
Productivity525049087%
Spreadsheets Score598657015%
Writing Score460542269%
Digital Content Creation186917069.6%
Photo Editing Score239322028.7%
Rendering and Visualization Score110097612.7%
Video Editing Score248323137.3%

 テスト全体を見渡しても、OneMix 2試作機ではピークが3.2GHz止まりであるが、OneMix 2S PEは4.2GHzまで瞬間的にあがっており、スペックどおりの性能を引き出せていることがわかる。テスト後半の連続負荷時、OneMix 2試作機は1.8~1.9GHzを行ったり来たりする状態であったが、OneMix 2S PEは2.2GHzをキープした。このあたりも高スコアの一因であろう。

 気になる温度はというと、OneMix 2の試作機がピークで83℃だったのに対し、OneMix 2S PEでは約100℃というCPUの上限に達した。しかし、慌てないでほしい。これはあくまでもCPU内蔵温度センサーで取得できた瞬間の最大値であって、実際にその熱を体感することはまずない。

 実際にCPU負荷が継続的に続くPCMark 10後半のテストでは、温度は72℃で安定的に推移し、これはOneMix 2試作機よりわずか2℃高いだけ(Core m3-8100Yと比較したらもっと差があるかもしれないが)。手にしたときに熱いと感じるものの、感じる熱は違いはなく、いずれも把持できる温度範囲に収まっている。ちなみにファンの騒音は同等レベルだった。

CPUクロックはピークで規格どおりの4.2GHzまで達している
温度のピークは100℃だが、ほんの一瞬だ
後半の連続負荷では72℃を推移した

 一方バッテリ駆動時間だが、液晶の輝度を50%に設定し、PCMark 10のModern Officeプロファイルを実行してみたところ、4時間58分を記録した。半年間使い続け、バッテリがやや劣化したOneMix 2試作機は同プロファイルで4時間12分だったので、実際のCore m3-8100Y搭載モデルとは大差はないと思われる。さすがに1日の駆動は無理だが、外出先でちょっと作業する程度であれば、まったく問題ないレベルだろう。

 インタビューですでにお伝えしているが、OneMix 2SはCore i7の搭載も見込んだ設計となっている。理想的な設計と実際の製品性能が乖離しているというのは、この業界においてよく発生することなのだが、今回のベンチでその筆者の懸念は払拭された。

 OneMixシリーズは趣味性の強いマシンで、そもそも下位モデルのOneMix 2Sでさえも10万円近くするため安くはない。その趣味にさらにプラスアルファの価値を見出せるかどうかはユーザー次第だが、本当に小型PCが好きで趣味とするならば、UMPC史上最高性能が手に入るOneMix 2S PEは、決して高い買い物ではないと筆者は思う。

 ちなみにCore i7は不要だがSSDの容量はほしいというユーザー向けに、筐体色は異なるものの「OneMix 2S Koi Edition」も同時に販売開始している。こちらもあわせて検討すると良いだろう。