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日本HP、2019年もPCのセキュリティを最重要課題に
2019年1月24日 13:33
株式会社日本HPは23日、都内で2019年に向けた事業説明会を開催。冒頭では、同社代表取締役 社長執行役員の岡隆史氏が、HPの事業方針および2018年の統括、2019年の展望について語った。
HPは2019年で創立80周年を迎える。悠久な歴史を持つ同社だが、いまはその事業をどう継続させていくか、考えていく節目にあるという。
HPの2018年の全売上高は約6.4兆円規模で、12%の成長を達成。全地域/全事業で成長を実現している。その一方で、3DプリンタやaaS(as a Service)といった新しい分野に投資/拡張している。
日本国内においては市場を上回る成長率を達成し、国内シェアを15%にまで引き上げた。全世界のシェアである23%という数字からはまだ距離はあるが、その差はじょじょに少なくなっているとした。
冒頭で述べたとおり、HPは事業を継続させることに力を入れている。その原動力となるのは「Keep Reinventing」、そのまま訳せば「再発明の継続」という同社のスローガンだ。コンピュータ科学者のアラン・ケイ氏は、「未来を予測する最善の方法は、それ自体を発明してしまうことだ」という名言を残しているが、HPは今後も発明を続けることで事業の継続性を実現するという。
そのイノベーションへのアプローチは3段階にわけられる。1つ目は今ある製品の改良や地道な進化で、今後1~2年を見据えたビジネスの継続となる。2つ目は今後5年を見据えた、既存技術の発展/応用。そして3つ目は20年先を見つめた創造的な研究、つまり今後のメガトレンドを創り出すことである。
会社として、なぜそこまで長期的なビジネスを見据る必要があるか。「トーマス・エジソンは電気を発明したが、そのとき交流電源は商用が不可能だと言った。iPhoneも登場してから12年が経つが、業界の有名人でも成功しないといった。それだけ10年から先を予測することは難しいということだ。世のなかの変化や緩やかに変わっていくストーリーを見定め、HPが持っている資産や技術的優位性を活かせるかどうかを分析し、段階的に投資していくことが、企業のビジネスを継続させるのに不可欠である」と岡氏は語った。
ではこれからどんなメガトレンドが起こるか。世界的な人口の増加に伴う急速な都市化、労働力人口の高齢化、企業の超グローバル化、ものの所有からシェアリングへの発想の変化、そして何よりも環境負荷を減らし、人類が持続可能な世界の創出などを挙げ、これらの課題に対しHPは地道な改善や対応を進めている段階だとし、その自ら事例を創り出すことで、顧客をリードしていくことを使命に掲げるとした。
各部門の2019年の戦略
各部門の2019年の戦略だが、まずパーソナルシステムズ事業(PC製品)については、セキュリティ、DaaS(Device as a Service)、VRの事例発信とAIの市場開拓を課題に据える。
セキュリティについては、2019年4月より、防衛省との取引がある約9,000社の企業が、NIST SP800-171相当セキュリティ対策を導入しなければならず、2次や3次の下請け企業にも影響することを含め、大きな商機を見出しているという。HPの製品はNISTのセキュリティ規格の策定のさいのリファレンスとして用いられているため、機器選定のさいの有力な候補となる。
「NISTのセキュリティ規格では、安全性を確保することだけでなく、万が一突破されても復元にかかる手順などを削減し、ダウンタイムの軽減まで策定されている。HPの製品は今後もこうした復元機能を強化していく」と、同社専務執行役員 パーソナルシステムズ事業統括の九嶋俊一氏は言う。
また、DaaS事業においてもサービスを拡張し、パートナーが自分たちの付加価値としてクラウドサービスを仕立て直し提供できるようにする。
将来性のある事業に関して、まずVRについては大企業の導入事例を発信できるようにし、それに加えてAIの市場を開拓していくとした。
デジタル化の進行が35%程度に留まっている印刷分野に関して、ダンボールへの印刷の拡大や、宛名とともにそのユーザーの好みに合った内容のダイレクトメールを印刷する技術を提供し、販売や事業を強化していく。
そして3Dプリンタについては、製品の試作のみならず、最終製品や保守サービスに出力物をそのまま利用できることを訴求していき、国内の展開を拡大。加えて、金属素材に対応した3Dプリンタの開発、導入に力を入れていくとした。