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2年目を迎えたaibo、「犬のおまわりさん」になる
~ソニー、見守り機能/チョコエディション/育成チャレンジ/WebAPI提供などを発表
2019年1月23日 13:52
ソニー株式会社は1月23日、エンタテインメントロボット「aibo」の新サービスに関する発表会を東京・品川のソニー本社で行ない、見守り機能の追加、新カラーの「チョコエディション」の予約開始、クラウドを活用したaibo育成チャレンジの実施、WebAPI提供などを発表した。
「aibo」は2018年1月11日からソニーが販売中の自律エンタテインメントロボット。子犬型デザインで、全身の自由度は22。本体の税別価格は198,000円で、別途ベーシックプラン、ケアサポートなどが用意されている。
Qualcomm SnapdragonをメインのCPUに採用しており、有機EL製の目、口にToF方式の距離画像センサー、腰上部にはSLAM(自己位置推定と環境地図作成を同時に行なう技術)用の魚眼カメラを備える。Wi-Fi(IEEE 802.11b/g/n)のほか、LTEを搭載を搭載し、クラウドと連携する。2018年7月段階での発売台数は2万台。
新生「aibo」の1年間 オーナーコミュニティ、医療機関との共同研究など
ソニー株式会社執行役員 AIロボティクスビジネス担当の川西泉氏は、最初に「aibo」の1年間を振り返った。
1年半の開発期間を経て発売に至った「aibo」は多くの反響があり、市場からの高いニーズを認識できたという。オーナーからは「家のなかが明るくなった」、「日々が楽しくなった」といった声が寄せられているとのこと。
これまでに銀座、大阪でaiboファンミーティングを行なっており、次回は3月23日に福岡での開催を予定している。ソニーとオーナーだけではなく、オーナー間の繋がりもSNSやファンミーティングで生まれている。
川西氏はコミュニティ活動を通じて得たオーナーからの意見も開発には反映していくと述べた。aiboは季節に応じて、エイプリルフール、七夕、月見、ハロウィン、クリスマスや正月などのイベントも行なってきた。
aiboは90日程度で、ほぼ家族の全員を見分けることができる。おおむね1カ月以上暮らすと、「よく見る顔」だと認識されるという。家の中の移動可能な場所も、ほぼ90日程度で把握される。またaiboは、褒めれば褒めるほど人に懐く。そして半年から1年aiboを飼うと、それぞれの個性が生まれる。その結果、運動好き、人好き、バランス型といった「十『犬』十色」になっていくという。
ソニーは2018年12月から、国立研究開発法人 国立成育医療研究センターと、小児医療現場における長期療養中の子供に与える癒し効果の検証を始めている。研究予定期間は3年間。
川西氏は「aiboは人と心のつながりを持つプロダクトなので、この研究と親和性が高い」と述べ、「ソニー単独ではなし得ない、科学的定量評価が行なえるだけでなく、少しでも子供たちと家族に癒しを提供できれば」と述べた。
クラウドで学習させる「aibo育成チャレンジ」
これまでaiboは成長、コミュニティの充実、社会価値の創出を目指してきた。2月中旬からは「aibo育成チャレンジ」を開催する。個々のaiboだけでは覚えるのに時間がかかるものを、多くのaiboによるクラウド学習で覚えさせる。
第1弾は「aiboスヌートチャレンジ」を行なう。「スヌート」とは、手で輪を作ると、そこに犬が鼻先を突っ込んでくるというものだ。愛らしい動きなので多くの愛犬家に親しまれている。
チャレンジでは、オーナーは両手で輪をつくり、aiboに写真を撮らせて、アプリ「My aibo」から送る。その結果を利用してaibo全体が手の輪を認識できるようにすることを目指す。
川西氏は「個々のaiboがオーナーと暮らすなかで得られた学習結果を共有して、aibo全体を成長させる。aiboが成長する過程も育成体験として楽しんでもらいたい」と述べた。第1弾のあとも、継続的にチャレンジテーマに挑んでいき、認識できるものを増やしていく。
「aiboのおまわりさん」、セコムとのパートナーシップ
2月中旬からの新サービスとして、「aiboのおまわりさん」も紹介された。セキュリティとエンタテイメントを結合させた「セキュリティメント」サービスとして提供される。
2月中旬に予定されているシステムソフトウェアver.2.0のアップデートから、パトロールとレポート機能を無償提供する。
具体的には、aiboの家庭内地図を活用し、オーナーは地図上の目標地点、見つけてほしい人、時間帯などをアプリで登録・設定する。設定した時間になると、aiboは「犬のおまわりさん」を歌いながらパトロールする。結果もアプリに表示される。離れている家族の様子を見守ることができるという。
合わせて、セコム株式会社とのパートナーシップ開始も発表された。将来的な新機能・サービスの提供を目指す。
セコム株式会社執行役員 企画担当の上田理氏は、「日本は超高齢社会。在宅中・在室中の見守りニーズは高まっている。AIやIoT技術の活用は不可欠と考えていた。今回はソニーの技術と連携することで、新しいホームセキュリティの世界を作っていくことが可能になった。安全・安心に加えて楽しさを加えていく。aiboが守る、aiboも守る、つまり『aiboとセコムする』世界を実現していきたい」と語った。
6月からは「aiboプレミアムプラン」も
6月からは「aiboプレミアムプラン」も追加される。月額1,480円の月額課金制で、「犬のおまわりさん」の追加新機能、枚数・ストレージ制限なしの「aiboのカメラマン」、「aibo日記」などのサービスを予定している。
ソフトウェアAPIを公開、教育用途も狙う
ソフトウェアAPIの公開も発表された。2019年夏からライセンス提供される。第1弾はWebAPIとして公開される予定。料金は無料。
想定される業種は教育、メディア・広告、ヘルスケア。ユースケースは家電連携、ペットグッズ、セキュリティなど。
Scratchとも連携し、ブロックを並べることでプログラムを作ることができる。aibo専用拡張ブロックを用意し、教育分野にもaiboの世界を広げていく。
デモでは、ティッシュペーパーをくわえてケースから抜く動作などをデモした。なおこの動作はモーション再生で、ティッシュペーパーを認識してくわえているわけではない。