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そろそろ視力も曲がり角。“オトナ”に最適なPC画面表示はこれで!

~老眼には「4Kディスプレイ」が効く!?

 疲れのせいか目のピントが合いにくいし、細かな文字も見辛くなった。いやまてよ……これってもしかして老眼!?これじゃ4K/8Kのディスプレイなんて夢のまた夢と、戦々恐々としているそこのアナタ! アナタのスマホが高精細で小さいのに、画面が見やすいのと同じ理由で、高精細なディスプレイこそ老眼の救世主になりうるんです。

TEXT:加藤勝明

ネットでよく聞くこんな意見

・4Kディスプレイだと解像度が高過ぎて字が小さくなってフルHDのディスプレイより見えにくいのでは?
・老眼だと4KよりもフルHDのほうがアイコンや字が大きくて見やすいよ
・スケーリングするならフルHDで十分じゃない? 買い換える意味あるかな
・手持ちのPCって4K表示に対応できているのか心配

4K液晶は等倍表示でなければ情報量という宝を捨てたも同然?

 当初は10万円超だった4Kディスプレイも、今や4万円前後の製品が増え、一般ユーザーにも手を出しやすくなった。だがここで展開されるのが「4Kはドット等倍表示派」と「スケーリングで使う派」の戦いである。

 4K液晶の画素数はフルHD液晶の4倍、ドット等倍表示にすればデスクトップも広大に使える。ドット等倍派からすれば、画面の情報量を捨てGUIを大きく表示するスケーリング派はムダの極みと感じるだろう。4K液晶でGUIスケーリングを効かせるなら、安価なフルHD液晶を使うのと同じではないか?

 また、目の調節力の強いうちは4Kドット等倍でも十分見えるが、老眼が入ってくると30型以下で4Kドット等倍表示はキツくなる。つまり老眼世代は4K液晶などムダ、むしろフルHD液晶のほうがお買い得ではないか? という仮説が立つ。

 だが、解像度を下げれば文字の輪郭などにジャギーが出るのも確か。情報量を犠牲にして視認性を取るのも一考に値する。まずは4Kディスプレイ環境を構築するためのノウハウなどをまとめつつ、実際に同サイズのフルHD液晶と比較して、4K液晶のメリットをWindows 10におけるディスプレイ設定の勘どころも交えつつ考察するとしよう。

4K表示に必要なスペックをおさらい

 まずはPCで4Kディスプレイへ出力するためのスペックの確認から始めよう。4Kディスプレイは帯域の関係上、DVIでは対応できないためHDMIやDisplayPort経由で出力する必要がある。ここ4、5年のビデオカードならほぼ確実だ。内蔵GPUでも4K出力が可能だが、その場合はオンボードの出力端子の構成に注意しよう。これを満たしていれば4K出力は可能だが、快適に使えるかはまた別の話。映像送出に使うインターフェイスの「規格」と、ディスプレイ上の「リフレッシュレート」の関係をしっかり確認しよう。

 一般的な4Kディスプレイはごく一部の製品を除き、4K解像度時にリフレッシュレート60Hz表示というものが大半を占める。だがこの60Hz表示を得るためには、映像を伝送するインターフェイスの帯域が16Gbps以上であることが必須になる。DisplayPortの場合、普及度の高いDisplayPort 1.2でも21.6Gbps出せるので問題は露見しにくい。

 だがHDMIの場合、旧世代のビデオカードに搭載されているHDMI 1.4や1.4bだと10.2Gbpsしか得られないため、4K出力はできてもリフレッシュレートは30Hz止まりとなる。30Hz表示だとマウスポインタが画面上をワープするように移動するため、視認性はきわめて悪い。

 GeForceなら第2世代Maxwell(GTX 900シリーズ)以降、RadeonならPolaris(RX 400シリーズ)以降のGPUで採用されたHDMI 2.0で18Gbpsが得られる。DisplayPort接続よりもHDMI接続のほうがディスプレイの認識トラブルなどが出にくい半面、より新しい(ここ3年程度)GPUが必要になることを覚えておきたい。HDMIケーブルもHiSpeed対応にする必要があるので、導入のハードルはHDMIのほうがやや高い。

27型のフルHDと4Kで比べる

スケーリングはいつでも変更できる

 現行のWindows 10では、普通に4Kディスプレイを接続しただけではドット等倍表示にはならない。ディスプレイサイズにもよるが、一般的サイズのディスプレイならスケーリングは「150%」にセットされる。これを変えるにはデスクトップ上で右クリック→“ディスプレイ設定”を呼び出そう。100%でGUIがドット等倍表示、だが、4Kで200%表示にすれば、画面に対するGUIの大きさ比率はフルHD相当になる。つまりスケーリングを100%より上に設定すると、GUIのエレメントも大きくなるので、画面の情報量は下がる。単なる解像度変更と違ってGUI描画のレンダリングの細かさが変わるので、より高品位な見栄えになるのだ。

 文字表示もスケーリング値に従って大きくなるので、相対的に1画面で表示できる情報量は下がるが、文字の輪郭に使われるドット数が増えるので見やすくなる。スマホの画面も高解像度のディスプレイに高品位なレンダリングを行なうことで視認性を上げている。PCの画面はドット等倍であるべき、というこだわりは捨て、自分の目をいたわるべきなのだ!

「ディスプレイ」でスケーリング比率はいつでも変更できる。最大350%に上げられるが、うっかり上げ過ぎると操作が不可能になってしまうので、200%程度にとどめておこう
4Kディスプレイ100%表示
4Kディスプレイ150%表示
4Kディスプレイ200%表示

 4Kディスプレイでスケーリング100%なら等倍表示だが、150%だと情報量はWQHD相当、200%でフルHD相当になる。これ以上上げると戻せなくなることがあるので200%より上はオススメしない。

4Kのほうが目にやさしい!!

 フルHDドット等倍表示(=スケーリング100%)と、4Kのスケーリング150%表示を比べてみよう。フルHDのほうがアイコンや文字などは大きく描かれているため一見見やすそうだが、文字のレンダリングに使われるドット数が4Kより少ないため、ドットの粗さが目立つ。Webブラウザ上の文字では、フルHDでは画数の多い文字の形状の省略が発生するが4Kスケーリング表示では崩れにくい。視認性において4Kスケーリング表示は圧倒的に優れているのだ。

 画像表示に関してはアプリ側の設計しだいだ。Webブラウザではスケーリングの値と画像の大きさは連動するが、写真編集系アプリでは基本的に関与しない。たとえば「Paint Shop Pro 2019」では、スケーリングを200%にしていても、画像は常にドット等倍で表示されるため情報量は4K相当のままだ。

 スケーリングを意識しない設計が古いアプリの場合は、そのままだとドット感あふれる文字表示になるが、アプリのプロパティ→[互換性]タブ→「高DPIスケール設定の上書き」を有効にすればなめらかな文字表示を得られる。まだスケーリング表示は歴史が浅いため、細かな不具合は出るが、それをおいても見やすさという点で4Kスケーリング表示にかなうものなどないのだ。

フルHDスケーリング100%。文字やアイコンの大きさは相対的に大きいが、文字のドット感も認識できてしまうのでかえって見づらい。アンチエイリアス処理が粗く、とくに文字のナナメの線に擬色が見えやすい
4Kスケーリング150%。文字の大きさはフルHD等倍より小さいが、ドットピッチが細かく、1文字に費やされるドット数も多いのでアンチエイリアスの粗さを認識しにくい。疲れた目にも優しい表示と言える
ブラウザも見やすい。Edgeにおける文字表示の比較。フルHD等倍(上)では漢字も、アルファベットも曲線がガタガタだが、4K 150%表示ではスマホの表示にかなり近いクオリティになっている
古いアプリもキレイに
スケーリング表示だとメニューの文字が変にボケた状態で表示される古い設計のアプリの場合、アプリのプロパティから「高DPIスケール設定の上書き」を有効にしよう
古いアプリ
高DPIスケーリングの上書き後。古いアプリはスケーリング設定にすると文字表示がぼやけるが、高DPIスケーリングの上書きを指定することで、メニューなどの文字がスケーリング値に沿ったものが使われる

HDR対応で映像が変わる

 ただ老眼をいたわるためだけに4Kを導入するのもおもしろくない。4Kディスプレイに求めるべき付加価値で注目したいのが「HDR」だ。一般的に液晶ディスプレイの表現力は、肉眼で見える範囲の輝度情報をギュッと圧縮した、いわゆる「ダイナミックレンジ」の低いものになる。HDR対応液晶では表示できる輝度の範囲が大幅に拡大するので、よりメリハリのある映像を堪能できる。

 HDRを利用するにはDisplayPort 1.4以降もしくはHDMI 2.0をサポートしたビデオカードが必須。4Kディスプレイを接続するだけのときよりも規格が1ランク上になる点に注意したい。GeForce GTX 10シリーズまたはRadeon RX 500シリーズ以降が該当する。

 そしてディスプレイ側もHDRに対応する必要があるが、一番注目すべきは“最大輝度”の数値だ。HDR液晶には“DisplayHDR”規格があり、最大輝度で3種類に分類できる。DisplayHDR 1000なら1,000cd/平方mまで出せる。ただPC向けの1,000cd/平方m対応品は非常に高価なので、現状ではDislayHDR 600が狙い目だろう。ただこのDisplayHDR規格は出始めて日が浅く、一部メーカーでは独自HDR規格(DellHDRなど)を使っている場合もあるので対応状況を確認しておこう。

HDR対応ゲームの1つ「ファークライ5」での例。既存の印刷技術ではHDRは表現し切れないのが残念だが、HDRを有効にすると明るいところ(下の写真。中央の地面)はより明るく、暗いところ(左右の建物の影)はより深い暗さを表現できるようになる。色の表現もかなりビビッドになった
(c) 2017 Ubisoft Entertainment. All Rights Reserved.

4K/HDRでネット配信が楽しくなる

オリジナル番組にHDR多し。Amazon Prime Video。お急ぎ便やタイムセール先行権のオマケかと思いきや、内容の充実度では有料サービス以上(月額400円)。PCでの4KおよびHDR動画の再生には今のところ対応していないので、Fire TVやApple TVなど再生デバイスと4K/HDRディスプレイの組み合わせが必要だ
HDR再生はスマホで。dTVはドコモの運営する有料動画配信サービス(月額540円)なので、内部の機能的にもスマホやタブレット寄り。PCならWebブラウザ経由、特殊なプラグイン不要で視聴できるが再生時は解像度を選択できない(回線品質などで自動設定)などの制約が多い。4K作品は非常に少ない
4Kコンテンツの充実度は随一。Netflix。4K/HDRコンテンツも備える有料動画配信サービス。有料会員には3段階のグレードがあり、UHD 4K配信を見るにはプレミアム(月額1,944円)が必要。UHD 4Kを正しく視聴するには次ページで解説するUHD BD再生環境相当が必須になるので、PCでの視聴ハードルは高い。
NHKオンデマンドとも提携。U-NEXT。国内配信サービスの最大手。月額は2,149円とやや高いが、追加料金(月972円)でNHKオンデマンドも視聴できるのが特徴。公称8万本というコンテンツ量は圧倒的だが、4Kはさらに個別料金がかかるレンタルコンテンツに集中。PCよりもスマホやテレビでの視聴向け。
コンテンツ量は圧倒的。YouTube。コンテンツは玉石混交だが、無料で4KやHDR動画を見られるのがメリット。HDRを鑑賞する場合はWindows 10のWindows HD Color設定を有効にし、Chromeで再生すれば画質選択で自動的にHDRが追加される。PCで一番手軽にHDR動画を楽しめる手段だ
テレビ番組が豊富。ビデオマーケット。U-NEXTと同じくNHKオンデマンドも視聴できる国内動画配信サービス。月額は540円のプレミアムサービスなど複数用意されている。4KはNHKオンデマンドの一部のみとこれからに期待。ただ、フルHD画質の高さには定評があり、テレビ番組が豊富だ

オカルト診断 4Kは目に優しくてコンテンツの楽しみも増える

 4Kディスプレイに対し「4Kを使いこなすマシンパワーがない」と敬遠するのは大間違いだ。4Kはゲーミングでも威力を発揮するが、4Kの解像度に負けない環境を作ろうとなると、現状では大きな出費(RTX 2080以上)を強いられる。むしろ今の4Kは、ドットの境界が見えるようなDPIの低いディスプレイ環境に苦しめられているユーザーのためのものだ。

 4Kディスプレイに接続し、スケーリングを150%または200%に設定するだけで、文字が格段に見やすくなる。もとのディスプレイが黄ばんでいたり、遅延の大きな年代モノであったりすると、二度と昔のディスプレイには戻れない。

 また、4Kディスプレイを選ぶなら、ぜひともHDR対応の製品を選びたい。とくにPCゲームの場合は1,000cd/平方m未満、DisplayHDR 600程度のものでも絶大な効果を得られる。ディスプレイを4Kへ変えることで、遊びの幅も広げることができるのだ。

画面上でずっと文字を追いかける人なら4Kのスケーリング表示は何よりの負荷軽減になる。文字のアンチエイリアスは最初は違和感があるが、慣れるともう戻れない
ゲームは大作系を中心にHDR対応が着々と進んでいる。一見、単に明るくなるだけのタイトルもあるが、フォトリアル系のゲームほど、恩恵は大きく、ダイナミックな表現を得られる。画像は注目の「バトルフィールドV」。
(c) 2018 Electronic Arts Inc.

告知

本記事は、DOS/V POWER REPORT1月号「特集 事実か、オカルトか。「PCの真実」を探る」からの抜粋です。この特集では、PCに関する噂や常識として流布されている事柄が根拠のある事実なのか、思い込みに近いものなのか、はたまた古い常識が新しい常識に置き換わったのかなどを、各種検証によって明らかにしていきます。