ニュース
Microsoftが米国PCシェアのトップ5に食い込む
~全世界PC出荷台数調査、IntelのCPU不足の影響はまだ現れず
2018年10月12日 12:36
市場調査会社GartnerおよびInternational Data Corporation(IDC)は12日(米国時間)、全世界における2018年第3四半期のPC出荷台数の暫定調査結果を報告した。
同四半期の全世界PC販売台数は、Gartner調査で同0.1%増の6,720万6千台、IDC調査で前年同期比0.9%減の6,738万7千台。両社ともにデスクトップPC/ノートPC/ワークステーションを集計対象としているが、IDCはGartnerと異なり着脱式2in1などを集計対象外としているため、数値が異なっている。
いずれの調査でも、2018年第2四半期から大きな変動はなく、安定した推移を記録。しかし、IDCでは第2四半期の3%増という同社の予測を下回る結果となったと報告している。
IDCでは、新興市場では、為替や政治経済的要因といった障壁があり、第3四半期に入りプロセッサの供給不足といった懸念材料があったが、多くのOEMは需要の大部分を満たし、市場を上回るパフォーマンスを達成できたとする。
同社では、第3四半期の推移は市場の需要によるものだけでなく、さらなるプロセッサの供給問題や価格の引き上げを予想して、それらに先立ち在庫を確保するために市場が動いたことも原因ではないかとの見解を示している。
Gartnerの調査では、欧州と中東/アフリカやアジア/日本では成長、北米では微減となったのに対し、ラテンアメリカ地域では前四半期比で-8.5%という急激な出荷数減を記録。しかしGartnerでは、これはCPUの供給不足を考慮した同社の予想と一致した結果であるとしている。
同社では、IntelのCPU供給不足は第3四半期業績には大きな影響を与えなかったものの、今後PCの価格やベンダーの展望に影響を与えるだろうと指摘。ただし、影響は短期的で、PC市場全体的の需要に永続的な影響を与えるわけではないとしている。
供給不足は2019年まで続くと予想されているが、IntelはハイエンドCPUとビジネスPC向けCPUを優先的に生産すると見られ、その間にIntelがCPUを供給できない市場の一部で、AMD製CPUの採用が増加するとの予測を示している。
メーカー別の出荷台数調査結果は以下のとおり。
メーカー | 2018年第3四半期出荷台数 | 2018年第3四半期シェア | 2017年第3四半期出荷台数 | 2017年第3四半期シェア | 四半期比成長率 |
---|---|---|---|---|---|
Lenovo | 1,615.2万 | 24% | 1,527 | 22.5% | 5.8% |
HP | 1,535.9万 | 22.8% | 1,531 | 22.5% | 0.3% |
Dell | 1,146.6万 | 17% | 1,084 | 16% | 5.8% |
Acer | 487.4万 | 7.2% | 449 | 6.6% | 8.5% |
Apple | 476.2万 | 7.1% | 539 | 7.9% | -11.6% |
その他 | 1,477.5万 | 21.9% | 1,667 | 24.5% | -11.4% |
合計 | 6,738.7万 | - | 6,797.1万 | - | -0.9% |
メーカー | 2018年第3四半期出荷台数 | 2018年第3四半期シェア | 2017年第3四半期出荷台数 | 2017年第3四半期シェア | 前年第3四半期成長率 |
---|---|---|---|---|---|
Lenovo | 1,589万 | 23.6% | 1,436万 | 21.4% | 10.7% |
HP | 1,463万 | 21.8% | 1,377万 | 20.5% | 6.2% |
Dell | 1,074万 | 16% | 1,020万 | 15.2% | 5.3% |
Apple | 492万 | 7.3% | 539万 | 8% | -8.5% |
Acer | 407万 | 6.1% | 432万 | 6.4% | -5.7% |
ASUS | 401万 | 6% | 477万 | 7.1% | -15.9% |
その他 | 1,293万 | 19.2% | 1,435万 | 21.4% | -9.8% |
合計 | 6,721万 | - | 6,716万 | - | 0.1% |
各社の調査とも、富士通のPC事業を買収したLenovoがシェアトップを獲得し、HPから首位を奪う結果となった。しかし、HPも継続して出荷台数を伸ばしており、とくに企業需要を受けてデスクトップPCの出荷台数が大きく成長しているという。
興味深いデータとして、Gartnerの米国内PC出荷台数調査では、Microsoftがシェア5位を獲得。第2四半期はランキング外だったので、「Surface」シリーズ製品の成功を受けたものとみられる。
また、K-12(幼稚園から12年生)教育機関での移行が進んだことで、Chromebookが2桁成長を記録しているが、PC市場の統計には含まれていない。
メーカー | 2018年第3四半期出荷台数 | 2018年第3四半期シェア | 2017年第3四半期出荷台数 | 2017年第3四半期シェア | 前年第3四半期成長率 |
---|---|---|---|---|---|
HP | 453.1万 | 30.7% | 437.7万 | 29.5% | 3.5% |
Dell | 383.1万 | 25.9% | 386万 | 26% | -0.8% |
Lenovo | 227.6万 | 15.4% | 186.3万 | 12.6% | 22.2% |
Apple | 202.2万 | 13.7% | 218.9万 | 14.8% | -7.6% |
Microsoft | 60.2万 | 4.1% | 59.1万 | 4% | 1.9% |
その他 | 151万 | 10.2% | 194.9万 | 13.1% | -22.5% |
合計 | 1,477.1万 | - | 1,482.8万 | - | -0.4% |