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Intel、極小サイズの「スピン量子ビット」チップの製造に成功

~1量子ビットは50nm

試作されたスピン量子ビットチップ。鉛筆の消しゴムより小さい

 米Intelは11日(米国時間)、極小サイズの「スピン量子ビットチップ」の製造に成功したことを発表した。

 チップ内には、単体の電子を保持できる「スピン量子ビット」が搭載されており、安定した極低温環境で同時に複数のスピン状態をとるため、量子コンピューティングによる超大規模な並列演算処理を実現できる。

 今回製造されたチップ内のスピン量子ビットは、電子顕微鏡でないと視認できない約50nmという小ささで、約1,500量子ビットを人間の毛髪1本の直径に集約できたという。試作チップは米オレゴンの同社D1D Fabで製造され、Intelは「従来のシリコン製造技術で作られた」と説明している。

 現状のゲート方式の量子コンピュータでは、量子ビットの不安定性から、演算結果の正確性を担保するために大規模な誤り訂正が必須で、1論理量子ビットに対して大量の物理量子ビットが必要とされる。

 しかし、従来の量子ビット技術はスケーリングの問題を抱えており、同社では、今回の極小サイズのスピン量子ビットチップの実現によって、数千~数百万量子ビットを搭載する、既存のスーパーコンピュータを凌駕する量子コンピュータの実現を目指すとしている。