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Amazon Echo、今日から一般予約販売を開始

~スキルは600以上に、日本語力の進化に自信みせる

一般販売が開始されるAmazon Echo

 Amazon.co.jpは、2018年3月30日から、スマートスピーカー「Amazon Echo」の一般販売を開始する。これまでは、Amazon Echoの販売サイトから、購入リクエストを行ない、選ばれた人だけが購入できる招待制の販売としていたが、多くの人が購入できる環境が整う。

 同社では、3月30日から、先行予約受付を開始。4月3日から出荷を開始する。なお、4月3日からは、プライム会員に対象に、即日で届けるPrime Nowでの購入も可能であるほか、Echo DotおよびEchoについては、エディオン、ケーズデンキ、ジョーシンなどの全国1,000店舗以上での購入も可能になる。また、東京・二子玉川の蔦屋家電で、Echoを体験できるタッチ&トライコーナーを5月31日までの期間限定で設置する。

 コンパクトサイズのEcho Dotの価格は5,980円、高機能スピーカー搭載となるEchoが11,980円、スマートホームハブ機能を内蔵した上位モデルのEcho Plusが17,980円だ。

 一般販売の開始を記念して、Echo Dotは、4月2日までの期間限定で、4,480円で予約販売を実施。Echo Plusは、フィリップスのスマート照明「Philips Hue」とセットで、17,980円で販売する。また、Echoを2台同時に購入すると、3,000円引きとなるキャンペーンなども実施する。

上位モデルのAmazon Echo Plus
3月30日から先行予約、4月3日から出荷を開始する
Amazon Echoの価格
1,000店舗以上の量販店でも展示販売が開始される

 「2017年11月8日に招待制での発売を開始以来、この約4カ月の間に、数千人のAmazon Echoユーザーが、毎朝、『アレクサ!』と話しかけ、それによって日本語の認識力が向上。いよいよ、一般販売を開始することができるようになった。ほかの国にはない、日本固有の受け応えも反映している。一般販売を開始できたのは、招待制で購入をしていただいた日本のユーザーによって、日本語力が向上したことが背景にある。感謝したい」と、アマゾンジャパンAlexaエクスペリエンス&デバイス事業部・ルービン・カレンシニアマネジャー兼ジャパンカントリーマネージャーは語った。

アマゾンジャパンAlexaエクスペリエンス&デバイス事業部・ルービン・カレンシニアマネジャー兼ジャパンカントリーマネージャー

プッシュ通知利用のスキルも増加

 さらに、11月時点では100以上から265のスキルが提供されていたが、現時点では20ジャンル600以上に増えており、既存のスキルも進化を遂げているという。

 アマゾンジャパン Alexaビジネス本部の柳田晃嗣本部長は、「人気スキルの1つであるクリプトン・フューチャー・メディアの『Hey Miku!』では、会話機能だけでなく、毎回、異なる歌詞と楽曲アレンジによって、即興で、初音ミクが歌ってくれる。また、JR東日本の『列車運行情報案内』、Yahoo! の『天気・災害』、タクシーを呼ぶことができる『全国タクシー』では、プッシュ通知によって、Amazon Echo側から通知する。全国タクシーでは、タクシーの配車が確定した時点で、プッシュで通知がくることになる。あとは呼び出した場所に向かえばいいだけ」などと説明した。

 また、新たなスキルについてもいくつか説明した。ベネッセの「進研ゼミ化学」では、センター試験基礎レベルの問題を一問一答形式で出題し、100問連続で正解すると、化学クラブに入部できる設定としており、「海外にもないようなコミュニケーション力に優れたスキルになっている点が特徴」(同)とした。

 日本生命保険相互会社の「ニッセイ脳トレ」では、認知症治療の第一人者である朝田隆医師が監修した脳トレクイズ、生活習慣アドバイスを提供。幅広い年齢層が楽しめるスキルになっているという。さらに、TBSテレビの「音で旅する!TBS世界遺産」では、毎週日曜日に放映中のTBS世界遺産の番組が選りすぐりの音を提供するという。

 なお、北米で提供を開始している有料スキルについては、「Amazon Echoの一般販売を開始したことで、今後、検討をしていく可能性はあるが、日本ではまだその段階にはないと考えている」(アマゾンジャパンの柳田本部長)として、当面は無料スキルだけでの展開になることを示した。

アマゾンジャパン Alexaビジネス本部の柳田晃嗣本部長
日本で提供されるスキルは600以上に増加した
人気スキルのHey Miku!も進化している
プッシュ通知をするスキルも増加している
全国タクシーのスキルでプッシュ通知される音声
新たなスキルが続々と用意されている

日常会話に溶け込んだやりとりも可能に

 アマゾンジャパンのカレン氏が言うように、2017年11月に開始した招待制販売以降、クラウドベースの音声サービスのAlexaの日本語力は、大きく向上しているという。

 1つは、日本語認識力の向上だ。

 「ユーザーの間からは、音楽を聴くケースが増加したという声が挙がっており、私自身も、これまではあまり聴かなかったジャズを聴くようになった。BGMとして流しており、Alexaが私の好みを理解して、ジャズをかけてくれるようになっている」とカレン氏は語る。

 また、「音楽を止める場合にも、当初は『止めて』、『ストップ』といった英語の直訳のような言葉だけに対応していたが、学習によって『もういいよ』といった、日本語ならではの会話らしい言葉にも対応できるようになった」とした。

 ショッピングのさいにも、「○○をちょうだい」というような自然な会話を認識するようになったという。

 「性別や年齢、住んでいる地域などにおいて、使う言葉が違うが、まるで家族の一員のようなやりとりのなかで、操作ができるように進化を遂げている」と述べた。

 2つめは知識の向上だ。

 「4カ月間の利用者の状況をみると、Alexaに対して、地域の情報を聞いたり、歴史について問い合わせたりするケースが多い」として、「今日はなんの日?」、「いま、上映中の映画はなにがある?」、「京都の観光名所を教えて」といったやりとりにも、対応できるように進化しているという。

 3つめは、自然なやりとりである。

 「春の俳句を詠んで」といったことにも対応。今年1月には、百人一首をAlexaが詠みあげるといったサービスの人気が高かったという。

日本語力は、認識力、知識、自然さの3点で向上した
3つの機能拡張に高い人気が集まっているという
Amazon MusicアプリでAlexaが利用可能になった

 同社によると、平日の午前5時~午前7時台には、ニュースや天気を聞いたり、スマートホーム機能を利用して、照明をつけたりといった利用が多いほか、音楽をかけるとそのまま一日中音楽を聴ける状態にしている利用者が多いこと、深夜の時間帯には、睡眠をサポートするようなライフスタイル関連の利用が多いことが示された。ウイークエンドでは、朝にニュースなどを聞く時間帯が少し遅くなるが、音楽をずっと聴いている人が増加していること、ゲーム・トリビア・アクセサリなどの利用が多いことも示された。

 「これまでは、面倒でなかなかできなかったことが、Alexaのボイスサービスによって、簡単に使えるようになっている。Amazon Echoによって、少し生活を豊かにできているのではないか」(アマゾンジャパンの柳田本部長)とした。

平日の利用者のトレンドの様子
週末の利用者のトレンドの様子

Amazon MusicアプリにAlexaが登場

 一方、11月以降に機能拡張として提供しているKindle本の読み上げ機能や、Amazon Echoを結んで複数のスピーカーから音を出すマルチミュージック機能、複数の操作を1度のトリガーワードで行なう定型アクション機能にも人気が集まっていることも示した。

 「定型アクション機能では、『アレクサ、朝の支度をして』と言えば、照明をつけて、ニュースを読みあげ、ケトルのスイッチを入れて、天気予報を聞くといった作業を連続して行なうことができるようになる。家に帰って、『アレクサ、ただいま』と言えば、同様に照明をつけて、TVをつけてくれるといった設定が可能になる」とする。定型アクションは、トリガーワードでの起動のほか、時間設定でも起動できるという。

 また、3月30日からは、Amazon Musicアプリに、Amazon Alexaが登場。音声を利用して、モバイル環境における音楽再生を可能にしたことも発表した。同アプリは、Amazon Music Unlimited会員に限定して提供を開始。また、Side by Sideとよばれる新たなコンテンツも提供し、「アレクサ、Side by Side 槇原敬之をかけて」などと話しかけることで、厳選した楽曲について、アーティスト自身が直接、音声でコメントした内容を聞くことができるという。

Alexa Voice Service製品群も一般販売を開始

 そのほか、Alexaに対応したWorks with Alexa認定製品が増加していることにもふれ、tp-linkのスマートプラグ「HS105」では、Wi-Fiに対応していない家電でも、これに差しこむだけで、「扇風機を止めて」などと音声で指示し、電源のオン/オフ操作ができること、LinkのIoTリモコン「eRemote」では、メーカー、型番、年式に関係なく、音声指示でさまざまな家電を操作できることを紹介。Qrioのスマートロックでは、「アレクサ、自宅の鍵を締めて」というだけで施錠できることを示した。

 さらに、Alexaの機能を搭載した「Alexa Voice Service」対応製品であるオンキヨーのP3、ANKERのEufy Genieの一般販売も4月3日から開始。Harman/KardonのAllureも、今後、一般販売の開始を予定していることも発表した。

 また、IoT住宅でのAmazon Echo採用事例についても明らかにし、横浜MIDベース タワーレジデンスでは、4月1日からAmazon Echo Plusを導入し、エネトークやスマート家電コントローラとの連携により、入居者が電気料金や電気の使用量を音声で確認できるようにしたり、家電機器をコントロールできるようにしたりする。インベスターズクラウドが運営するタテルアパートメントでは、賃貸住宅キットにおいて、Alexaに対応。照明やエアコンの操作を、音声で一斉に行なえるサービスを、4月1日から提供する。

TP LINKのスマートプラグ「HS105」
LinkのIoTリモコン「eRemote」
Qrioのスマートロック
Alexaを搭載したオンキヨーのP3も一般販売を開始。
一般販売を開始するANKERのEufy Genie
Harman/KardonのAllureも、今後、一般販売の開始を予定している
IoT住宅にもAmazon Echoが採用されている

開発者向け支援策も強化

 同社では、開発者向けの体制強化を進めていることについても言及した。

 開発者を対象にしたハンズオンセミナーは、2017年11月以降、東京、大阪、福岡、札幌で12回開催。4月13日および19日にも東京でハンズオンセミナーを開催する予定であるという。さらに、ビジネスセミナーについても、これまでに東京、大阪で5回開催。「1,000人以上の開発者に対して、フェイス・トゥ・フェイスで情報を提供している」(アマゾンジャパンの柳田本部長)という。

 加えて、3月25日から、開発者を対象にしたオンラインセミナーの配信を開始。3月28日からは、開発者向けサイトをリニューアルオープンするとともに、Alexaファンドやスキル開発者に対する特典キャンペーンも実施する。

 「オンラインセミナーでは、仕事の関係でハンズオンミナーに出席できない人や、ハンズオンセミナーの復習をしたいという人たちに提供するものになる」とした。

開発者向けのセミナーも積極的に開催している
オンラインセミナーやサイトのリニューアルも行なった