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Intel、第8~6世代CPUで脆弱性対策後のベンチマーク結果を公開

~性能低下はおおむね数%以内

 米Intelは10日(現地時間)、同社CPUが影響を受ける脆弱性「Spectre」および「Meltdown」について、対策ファームウェアの状況などについて情報を公開した。

 Google Project Zeroによって発見された脆弱性で、Intelによれば、現時点では同脆弱性によって顧客データが盗まれたといった報告は受けていないという。

 Intelでは、マイクロコードを更新し、投機実行機能に手を加えることで脆弱性の対策を図っているが、それによる性能の低下が懸念されている。

 今回Intelが公開したのは、第6/7/8世代Coreプロセッサでの「SYSmark 2014 SE」、「PCMark 10」、「3DMark Sky Diver」のベンチマーク結果。

CPUCore i7-8700K(第8世代)Core i7-8650U(第8世代)Core i7-7920HQ (第7世代)Core i7-6700K(第6世代)
コードネームCoffee Lake-SKaby Lake-RKaby Lake-HSkylake-S
OSWindows 10Windows 7
ストレージ環境NVMe SSDSATA SSDHDD
ベンチマーク結果 ※脆弱性対策前のスコアを100%としての相対値
SYSmark 2014 SE - 総合94%95%93%92%94%100%
SYSMark 2014 SE - オフィス生産性95%95%95%90%93%96%
SYSMark 2014 SE - メディア制作96%97%96%96%97%97%
SYSMark 2014 SE - データ/財務分析97%98%98%103%99%106%
SYSMark 2014 SE - 応答性88%86%86%79%89%101%
PCMark 10 - 総合96%96%97%96%96%96%
PCMark 10 - Essentials96%96%97%96%93%95%
PCMark 10 - Productivity96%94%95%94%97%97%
PCMark 10 - Digital Content Creation98%98%98%99%97%97%
3DMark Sky Diver - 総合100%99%100%101%100%100%
3DMark Sky Diver - Graphics100%99%100%101%100%100%
3DMark Sky Diver - Physics99%98%100%99%97%99%
3DMark Sky Diver - Combined100%99%100%101%100%101%
WebXPRT 2015(Windows 10はEdge、Windows 7はIE利用)92%90%93%90%95%92%

 最も性能の低下が大きいSYSMark 2014の応答性テストでは、Windows 10、SATA SSD環境のCore i7-6700Kで21%の低下が起きている。

 Bapcoによれば(PDF)、応答性テストでは、Microsoft OfficeやAdobe製品、Google Chrome、WinZipなどを使って、アプリの起動/インストール、タブを開いた状態でのWeb閲覧、ファイルコピーによる写真操作、マルチタスキングなどが検証される。

 ただし、大多数のテストでは6%未満~8%程度の減少に収まっていることから、演算処理性能への影響は比較的軽微で、おもにI/O性能(ストレージの読み書き)に影響が出ていることがわかる。

 Intelでは、第8世代プロセッサ(Kaby Lake-RおよびCoffee Lake-S)でのSSD性能への影響は小さく、予想される全体の性能低下は6%未満としている。ただし、複雑なJavaScript操作を含むWebアプリを使う場合など、特定のケースで最大10%程度のより大きな影響を受ける可能性がある。

 ゲームなどのグラフィックス集約型、財務分析のような計算集約型の処理については、影響は最小限としている。

 第7世代モバイルプロセッサ(Kaby Lake-H)についても、第8世代と同程度の影響だという(SYSMark 2014 SEで約7%)。

 第6世代プロセッサ(Skylake-S)では、影響はやや大きいものの、第8/7世代のプラットフォームとほぼ一致してるとする。加えて、Windows 10環境よりも、Windows 7環境の方が影響が小さいという。

 米Microsoft Windows & Devices Group Executive Vice PresidentのTerry Myerson氏が指摘しているが(投機実行の脆弱性修正、Haswell世代以前では性能への影響大参照)、第4世代のHaswellアーキテクチャ以前のCoreプロセッサでは、より大きな影響を受けるものと見られている。

 Intelでは、数日以内にサーバープラットフォームでの計測データも公開する予定。