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日本独自プロセッサ「PEZY-SC2」を搭載したスパコン「暁光」の詳細
2017年11月14日 14:56
世界のスーパーコンピューターランキング「TOP500」の第50回目の結果が、11月13日(中央ヨーロッパ時間)に公開された。
今回のハイライトは、なんと言ってもTOP500で4位、Green500で5位にランクインした、日本の国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)横浜研究所に設置した大規模液浸型スパコン「暁光」だろう。PEZY Computingのサイトで、その詳細が明らかにされている。
暁光は、PEZY Computingが新規に独自開発したメニーコアプロセッサ「PEZY-SC2」を基幹プロセッサとして採用した「ZettaScaler-2」シリーズからなり、1つの液浸槽で2PFLOPSクラスのピーク性能を目指して開発されたという。
PEZY-SC2は、従来のPEZY-SCの技術を活かし、コア数を1,024基から2,048基に増やし、16nm FinFETプロセスで製造。PEZY-SC2を搭載したモジュールカードでは、48V給電により基板上の送電電力損失を低減している。
PEZY-SC2の最大動作周波数は1GHzで、理論性能は倍精度浮動小数点数で4.1TFLOPS、単精度浮動小数点数で8.2TFLOPS、半精度浮動小数点で16.4TFLOPS。メモリはDDR4×4で、バス幅は100GB/s、容量は128GBなどとなっている。外部インターフェイスはPCI Express 3.0/4.0 x16×2。制御用CPUとして、MIPS64R6(P6600)を6コア搭載。標準負荷時の消費電力は130Wとされている。
ただし今回の暁光に使われたPEZY-SC2はこのフルスペックのものではなく、1,984コアのものを700MHzで駆動させている。また、8個のPEZY-SC2に対して16コア/1.3GHz駆動のXeon Dを1個使用し、合計1万個のプロセッサ(19.5液浸槽に相当)を実装している。総プロセッサコア数は1,986万コアにのぼり、TOP500ランキング上で最多コア数を記録した。
総主記憶メモリ容量は680TBで、Xeon D 1個につき32GB、PEZY-SC2 1個につき64GBを搭載。理論ピーク性能は28.19PFLOPS、実効性能は19.14PFLOPSとなっている。消費電力は1,350kW、電源は三相200V。ネットワークは8個のPEZY-SC2に対して100GbpsのInfiniBand EDRカードを1枚使用している。
同システムは6月にも、ごく一部の稼働で世界69位にランクインされたのだが、その後のシステムボード全数の各種改良を盛り込んだ「ZettaScaler-2.2」に更新し、稼動システム規模の拡大とソフトウェアの最適化により、今回の結果を達成したという。
今後引き続きJAMSTEC構横浜研究所での開発を継続し、将来的には約100筐体を目標とした増設と、世界で初めてThru Chip Interface(磁界結合インターフェイス)を用いたDRAMとの接続により、超広帯域のメモリバンド幅を実現するとしている。