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iPhone Xの顔認識「Face ID」が3Dプリントのマスクで突破される
2017年11月13日 18:46
ベトナムのセキュリティ企業であるBkav Corporationは10日(ベトナム時間)、iPhone Xの顔認証システム「Face ID」を、マスクを使って破ることが可能であるとの発表を行なった。
作成されたマスクは、3Dプリントされたフレームと顔写真、シリコン製の鼻でできており、一般的な3Dプリンタを用いて作成されている。制作費用は150ドル未満とのこと。
制作には3Dスキャナや顔写真が必要だが、「Xperia XZ1」のような3Dスキャン機能をもったスマートフォンでも3Dデータを取得できるため、制作難度は高くないという。
Appleでは製品発表会にて、ユーザー本人だけを認識してアンロックできるように、精巧なマスクを用いてニューラルネットワークの訓練を行なったとアピールしていたが、それらを破ってマスクによる認証を実現している。
すでに多数のメディアなどで、Appleの謳うとおり、マスクによる認証ができなかったという報告が挙げられているが、これはFace IDのAIの仕組みと、それを回避する方法を理解していないためであるという。
Bkavでは、2009年にもBlack HatでノートPC向けの顔認証システムがバイパス可能であることを実証(YouTubeへのリンク)しており、それらを理解しているためにマスクによる認証を実現できたとしている。
Appleは、Face IDは時間の経過とともに追加のキャプチャを実行し、登録されたデータを補完して精度を向上させるとしているが、Bkavでは「パスコードを使用しない(マスクによる認証に失敗してもパスコードを入力せず、マスクを本人の顔として学習させない)」というルールの下でマスクを作成しているという。
Bkavでは、Face IDは顔半分を隠していても認証が通ることからも分かるとおり、認識メカニズムはそれほど厳しくないと述べ、Appleは人工知能に頼りすぎており、「iPhone Xは当初2018年発売だったが、1年前倒して発売された」との報道もあり、Touch IDからFace IDへの置き換えを決定したさいに、科学的に十分な検証が行なわれていないのではと指摘。
ユーザーの顔写真と3Dスキャンデータが必要となるため、実際に攻撃に転用するには簡単ではないものの、プロであれば簡単な手順であるため、FBIやCIA関係者、政府代表者、大企業の経営者など、ハック対象として狙われるような層は、この問題を認識する必要があるとしている。
Bkavでは、現状でも顔認識はセキュリティ上有効であると言いがたく、生体認証セキュリティに関しては、指紋認証が最も安全であるとの見解を示している。