やじうまミニレビュー

チラ見で1秒ログイン。マウスの顔認証デバイス「CM01」でWindows Helloを試してみた

やじうまミニレビューは、1つ持っておくと便利なPC周りのグッズや、ちょっとしたガジェットなど幅広いジャンルの製品を試して紹介するコーナーです。
Windows Hello対応の顔認証デバイス「CM01」

 初めて指紋認証付きのPCを手に入れたのは、ThinkPad X200sを買った時だった。読取り部に指を載せてスッと指を引いて読み取らせるのだが、精度がいまいちすぎて何度も認証に失敗していたため、そのうち面倒になってパスワードを入れてログインするようになった。

 それ以来、新しいPCの注文時にオプションで指紋認証機能を付けられたとしても、特に必要と思わなくなった。ただ、今はセンサーの精度が段違いに上がっているし、指紋認証機能を備えたスマートフォンを使ってみるとものすごく便利なので、もう指紋認証機能なしには戻りたくないと思うほどだ。

 Windows 10には生体認証機能のWindows Helloが搭載されているが、顔認証ができるSurfaceといった対応PCは持っていないし、便利そうだなと思いつつ他人事のように眺めるしかなかった。

 マウスコンピューターの指紋認証および顔認証デバイスが発表されたのは今年(2016年)のCOMPUTEX TAIPEI開催の時で、これは発売されたらちょっと試してみたいなと思っていた。そして今月に入りようやく発売となったわけである。

 指紋認証の「FP01」は既にレビューを掲載しているのでそちらをご覧いただきたい。ここでは顔認証デバイス「CM01」の使い勝手について使用感をお伝えする。

正面
背面
左側面
右側面

卓上とディスプレイ上部の2パターンで利用できる

 「CM01」は赤外線カメラを搭載した小型のデバイスで、Windows Helloを使った顔認証ができるようになっている。それ以外の使い道はなく、Webカメラとして利用するといった汎用性は持ち合わせていない。ひたすら顔認証を行なうための存在だ。税別直販価格は7,980円(税込8,618円)。ログオンする手間を軽減するためだけに、このコストを支払う価値があるのか、それだけの利便性をもたらしてくれるのか、非常に悩ましいところだ。

 CM01のインターフェイスはUSBなのでデスクトップPCだろうが、ノートPCだろうがどちらでも使用できる。電源もバスパワー経由だ。本体はかなりコンパクトでカメラ搭載部のサイズは実測で幅が13cm、高さは2cmほどしかない。スタンド一体型となっており、デスクに置いて使う場合はこのヒンジで動かして角度を調整できる。

 また、ヒンジを大きく開くことで、液晶ディスプレイ上部のベゼルに載せられるようにもなっている。ベゼルに載せる部分の奥行きは実測で3.8cmほどだったので、ここ数年のLEDタイプの液晶なら問題なく設置できるだろう(曲面ディスプレイは試していないので分からない)。ただ載せるだけでなく、ベゼルの前後を軽く挟める構造になっているので、ディスプレイを少し動かした程度では外れないようになっている。頻繁にディスプレイの角度や高さを調整するような人でも安心だ。

ヒンジを開ききった状態
ヒンジの裏面
ディスプレイに載せて引っかけることで安定させる
カメラ部分にもヒンジはあるが可動範囲は狭く、この状態から正面に向けることはできない

画面をチラ見するだけででログイン完了

 本製品を使うにはマウスコンピューターが用意しているドライバが必要だが、ただインストールして再起動するだけなので、大した手間にはならない。インストール後はWindows 10の「設定」からWindows Helloの設定を行なって、自分の顔の形状を登録するだけだ。これでWindowsのログインに顔認証を使えるようになる。

Windows Helloのセットアップは「設定」の「サインインオプション」から行なう
顔を登録中

 マウスコンピューターは、CM01の説明でログインに要する時間を1秒以内としているがこれは本当だ。ログインの際にチラッとカメラの方に顔を向けた同時に認証はたいてい済んでいる。手を使わずにログインできてしまうのはなかなか爽快である。

 認証後はすぐにデスクトップ画面が表示されるわけではなく、何らかのキーを押す、マウスでクリックするといった動作が必要だった。この設定はサインインオプションにある「ユーザーの顔を認識したら自動的にロック画面を閉じる」の切り替えで変えられると思われるが、今回の試用機ではオン/オフのどちらにしても挙動は同じだった。ただ、ロック画面が自動的に解除されてしまうと、ちょっと席に立ち寄ったときなどに誤ってログインしてしまったりするので、1アクション増えたとしてもこの方が安全だ。

この状態から正面を向いただけで一瞬で認証が済んでしまう
認証後はすぐにデスクトップ画面に移行するわけではなく、何かのキーやマウスボタンなどを押してロック画面を閉じる必要がある
顔認証に失敗すると、PINコードなど別の方法を提案される
サインオプションで顔のマークを選べば、再度顔認証が行なえる

ほかのアプリでのWindows Hello対応が望まれる

 Windowsのログインを自動的にやってくれるというのはとても便利だし、最新技術を使っているようで楽しくもあるが、いかんせんWindows Helloを使えるアプリがかなり限定されているのがネックである。ストアアプリであれば決済の際の認証でWindows Helloを使えるが、主要なものはその程度。一応Anniversary UpdateによってFIDO(Fast IDentity Online) 2.0に準拠したWebサイトでEdgeから生体ログインが可能になったようだが、FIDO 2.0への対応がそれほど進んでいるとは思えない。

ストアアプリはWindows Helloに対応しているので、決済を顔認証で行なえる。試しにマインクラフトを買ってみたが上手くいった

 Windows Helloの将来性はあるだろうから、現状Windows 10へのログインが主な利用用途にしかならないとしても本製品が無駄になることはないだろう。そもそもPCに生体認証機能が実装されておらず、これによって利便性やセキュリティを向上させたいと思っているユーザーには待ちに待った存在と言えるかもしれない。このコストを受け入れることができるなら導入を検討してみてはいかがだろうか。

 便利なのは実感として間違いなく、もうちょっと安くなれば万人にお勧めできるいい製品なのだが……。