藤山哲人と愛すべき工具たち
マウスに穴開けてファンをぶち込んでやる! 暑い夏を乗り切る熱中症予防アイテムを工作
2020年7月7日 06:55
さて今回は暑い夏に向けて、涼しいマウスをご紹介しよう! もともとゲーミングマウスなど、手に汗握るシーンで使うマウスには、穴がたくさん開いていて風通しのものがある。たとえばThermailtakeの「VENTUSシリーズや、DREVOの「Falcon RGB」など。
これらな蜂の巣状の穴が開いていることから「ハニカムマウス」と呼ばれ、Amazonなどで検索すると高いのから安いの、本物からパチモン!?までたくさん出てくる。
しかし諸君っ! これらのマウスは本当に涼しいのか!? 否っ! 軽いだけで、涼しくない! なぜなら、風がないからである! ジーク! 祇園っ!
そこで工作番長の筆者が、マウスのなかにファンを実装して、その名も「冷えマウス」を作ることにした。そしてこの魔改造の種ネズミとしたのは、信頼と安心のCooler Master製「MasterMouse MM710(5,000円前後)」だ。
なんかAmazon's ChoiceになってたしAmazon限定モデルもある。しかもカラーバリエーションもあるし、LED内蔵で無駄に光るのまであったからだ。価格はだいたい5千円。いまどき有線マウスは千円以下で買えるが、これメッチャ軽いので肩こりの人にもオススメだ。
ファン選びのファンデーション(基礎)! 君はどのファンのファン!?
まずは肝心のファン選びから。結論から言うと、今回使うCooler Masterには、2.5cmタイプがベスト。4cmでもギリギリ収まるが、空気の流れを作れず、手のひら全体に送風するのは難しい。
続いて電圧だ。マウスはUSBの有線式を使うので、5Vの電源が取れる。静音性を考えると、12V仕様のファンを5Vで駆動するといいが、風量が減る。5V仕様のファンに5Vをかけるとフルパワーで風量を稼げるが、今度は動作音がデカくなる。
そこでいろいろ試してみて一番良かったのが「日本電産」こと通称Nidec(ニデック)でだいたい400円ぐらいのファン。中華の2.5~3cm 5Vファンはかなり騒動しいが、国産メーカー日本電産(生産は中国になる)は、フルパワーなのにほとんど音がしないのだ! だてにHDDスピンドルモーターの世界シェア80%を握ってるだけあるZE!
しかもマウスが使える電流は全部で500mA。ファンを見てみると電流はわずか50mA(0.05A)しか食わないので、マウス本体とあわせても余裕で500mAを越えることはなさそうだ。まぁ実際には1Aや2A取れないことはないが、マウスの電線に付加をかけたりすることになるのでやめておいたほうがいい。
というところで、自分でも実際に作ろうなんて奇特な方は「Nidec D02X-05TS1」がオススメ。秋月電子で100円で売ってました!
次にするのは、風向チェック。普通のファンには、回転方向を吐き出し方向の矢印が刻印されているが、このファンにはついていなかったので、実際に5Vかけて吐き出し方向をチェック。忘れないように矢印をつけておこう。
とりあえず仮組みして、どこにつけるか決める
ファンが決まったら、どの辺に設置してどこに固定するかを決める。こういうとき外人さん(とくに雑なアメリカ人)は、「ホットグルーガン(熱で樹脂を溶かしてくっつけるホットボンド)で固定!」とかやるけど、工作番長は繊細な日本人。
タダでさえハニカム構造でくっつけるところが少ないが、マウスをいろいろばらして、どこかに固定できないか調べることにした。
目途が立ったらいよいよ実装作業に入る。マウスは1個しか買ってないので失敗できない! 慎重に! 支柱をカットして、断面をキレイにカッターで削る。さらにファンを当ててみると、左右にある突起がちょうどファンのネジ穴の位置にになると判明! そこで突起を削り、ココにドリルで穴を開けた。あとはM2~M2.5のネジでファンを固定。これで固定は完了だ。
あとで判明したのは、ファンってのは意外に振動を発するということ。しかもここではファンを片側だけ支持しているので、振動もおきやすい。もし振動で手がしびれた感じを覚える場合は、マウスとファンの間にゴムのブッシュ(緩衝)を入れたり、しっかりマウス本体に4本のネジで固定するといいだろう。
どうやるかは知らんけど(笑)。各自の自由研究ということで。
電気系はUSBの解析から! 5Vはどこだ!?
ファンの設置ができたら今度は電源を供給しよう。そのためには、USBコネクタの5Vがマウスの基板のどこに来ているかを突き止める必要がある。まずはUSBのメスコネクタをマウスのオスコネクタに挿して、テスターで配線のチェックができる状態にしよう。
5Vと同じようにしてGND(-)を探す。こうして基板にファンの電線を接続すればファンが回り出すはずだ。
これでマウスのなかにファンを実装できた! 元どおりに組み立てて、風が出るかをチェックしよう。それにはマウスをUSBコネクタに挿すだけ!
おお! きちんとファンが回って送風できる!
さて実際に使ってみると……。あれれ? まぁ~こんなもんか。劇的に涼しくはないが、手汗はかかない。ファンが小っこいので、風量が圧倒的に足りないのだ!
ただ問題点が1つある。超超微妙な振動があるので、何時間も使ってると手がしびれているような感覚に陥る。しかもマウスをツルツルのマウスパッドの上においておくと、マウスカーソルがいつの間にか移動する。
そうモーターがつねに一定方向に回って、微妙な振動があるので、カーソルが動いちゃうのだ! これではいかん! 「ここから先は桃源郷です[18歳未満][18歳以上]」の選択肢で、「YAHOO!きっず」に飛ばされてしまう! ここは1つ風がほしいときだけ送風するように改造しよう。
小型の2Pのトグルスイッチだったらだいたいどれでも実装できると思うが、干石電商で売ってる「ミヤマ MS-600K-B 小型トグルスイッチ2P(単価174円)」あたりがオススメ。
実際にマウスを握ってみて、操作の邪魔にならずかつ、内部の部品の邪魔にもならず、マウスを握ったままでもスイッチオン/オフできるような場所を探す。
最初は鉛筆書きして調子を見て、行ける! となったら実装だ。トグルスイッチは、丸い穴を開けるだけで取りつけられるので実装も簡単。プッシュ式のオン/オフ(オルタネート型)は、ちょっとサイズがトグルより大きいので難しい。
これで完成だ! 手汗が出てきたらスイッチオンで送風モード。そのときはマウスを握っているはずなので、マウスカーソルが動く心配もない。しかも今回の改造は、ファンをスイッチを実装したにも関わらず、一般的な有線マウスとほぼ同等の重さ。下手すりゃ軽いぐらいだ。