藤山哲人と愛すべき工具たち
みんなの秘密を守るためサンタがHDD破壊法(物理)を伝授
2017年12月23日 11:00
今回使用する工具
・100均ショップで買ったトルクスネジ(100円)・ロブスター製ボルトクリッパ(4,000円前後)
年末の大掃除をしていて、毎年思う「これ、家族に見つかるとヤバイよなー」なトレジャーの数々。特殊嗜好のトレジャーな本やアイテムの数々、そしてTE●GAだ。
捨てたら捨てたで、半透明のビニール袋ゆえ、特殊嗜好が白日の下に晒され、東西冷戦時代のように微妙なパワーバランスで交流している娘3人との外交断絶はまぬがれなくなる。ゆえに大量に増えることはないが、少しずつ増えるトレジャーは処分の場を失い、カギ付きの引き出しや押入れに奥に、核廃棄物のように溜まっていく。
さらに厄介なのがPCのHDD内にある、特殊性癖データの数々。20年前に必死になって集めたP●Fをはじめ、亜熱や日急系のコンプリート画像に加え、地方●光のムービーの数々。もう見ることはないが、当時の努力を思うとHDDから削除できないってのが「漢」ってモン。最近だと特殊嗜好の総合商社「pixiv」の2次元データも、HDDの領土を拡大しつつある。
そして近年厄介なのが、DLNA対応機器だ。
今のリビングのTVから、娘たちのPCやスマートフォンまで、とにかくDLNAに対応している。一方PCの映像や画像を、いつでも居間のTVで見られるようにと、PCのDLNAサーバーを簡単に登録できる便利さも諸刃の剣。うっかりXV●DEOSのファイルをフォルダにダウンロードしてしまったり、居間のTVでネットワーク上の「写真」を選んだら、強烈な名前のフォルダが表示されて冷や汗を書くことがある。
ここでは、家族の平和と「超」個人情報を守るための、HDD破棄方法を説明しよう。
もちろんエロ画像じゃなく、会社の超機密情報の処分にも対応できるので、参考にしていただきたい!
読めなくなったHDDでも中身は生きている場合がほとんど
HDDクラッシュ。PCユーザーなら誰でも体験したことがあり、冷や汗をかいたことがある人も多いはず。またHDDクラッシュを理由に、何度も締め切りの修羅場を乗り切ったという猛者もいるだろう。もちろん、オレだけじゃないはず!
しかし読み書きできなくなったHDDとはいえ、ほとんどの場合HDDの大部分のデータが生き残ったままだ。
たとえば起動時に出るHDDエラーとして「S.M.A.R.T.エラー」がある。これは特定の部分が読めなくなっただけで、大部分のデータが復旧可能だ。しかも簡単に。なので「S.M.A.R.T.エラー」が出たといって捨てたHDDは、そのなかの情報はダダ漏れとなる。
またHDDを落としてしまったというアクシデントでよくあるのが、PCの電源を入れとHDDから「カッコン!カッコン!」や「シューー!シューーッ!」という断末魔の音が聞こえるパターン。これらの場合も、PCが起動せずまったくディスクを読み書きできないが、じつは大半のデータがサルベージ可能な状態。
なぜなら、これらはHDDのデータを読み込むヘッドが折れてしまったことが原因で、データそのものが書き込まれているプラッタという部品は無傷の場合が多いからだ。
これらの音は「ヘッドがプラッタにアクセスしに行こうとするも、ヘッドの先が折れてプラッタ表面で動けない」という場合が多い。
一番ダメージが大きいのは、「ヘッド落ち」という現象だ。PCの電源を入れると「シューーーーーッ!」と何かを削り取る音が鳴り続ける場合で、先の「シュー!」と違い、なんどもリトライしない点が最悪。
これは完全にプラッタ面にヘッドが落ちてしまって、プラッタに塗られた磁気を削り落としている。ここまで来ると、データの復旧はかなり難しくなる。しかし物理的に磁気が削られていない部分にはデータが残っているため、亡国の諜報機関やデータサルベージ屋さんなら部分的に復旧することもできるかもしれない。
このようにHDDは、たとえクラッシュしたとしても、データが生きている場合がほとんど。家族に見られてはならないデビルマン的な特殊嗜好データは、復旧される恐れがあるので、物理的な破壊をしてから破棄するようにしよう。とくに「るろう●剣心」的なデータは、インターポールの手が回らないように注意されたし!
そして企業の場合は、どこかから拾ってきたすばらしいコンプライアンスの一文を謳ってるわりに、やってることはド素人じゃん!ということがないように注意されたい。
データを完全消去するならプラッタ破壊!
どのような状況になれば、データがサルベージできないのか? 答えは簡単だ、特殊嗜好のデータを人知れず、確実に破棄するためには「プラッタ」を破壊すればいい。
プラッタはHDDの容量などによって違っているが、DVDのような円板が何枚か重なってHDD内に収められている。これらの板は1個のモーターの軸で回転するようになっていて、そのすき間をヘッドが動いてデータを読み書きする。
プラッタの素材は、ガラスもしくはアルミでできていて、この板の表面に磁性体が塗られている。ガラス製のプラッタなら、ハンマーひと振りで粉々に砕け散る。アルミ製ならヤスリで削ったり、板を曲げてしまえば、ほぼサルベージできなくなる。
しかしっ!、HDDは落下の衝撃などからプラッタを守るために、ケースはかなり頑丈。ノコギリなどで切断するのも不可能に近い。
一番外側のケースは、破壊するより素直に開けるのが一番簡単だ。とはいえいたずら防止用の特殊ネジが使われているので、この特殊ネジに対応したドライバーが必要になる。
ネジには封をしてあることが多いので、シールをすべて剥がし、特殊ネジをすべて外す。また型番の大きなラベルの下にも、隠しネジがある場合が多いので、手でさわってボコボコとしたネジ部分がないかを探る。
ネジを外すとフタが取れるはずだが、じつは最近のHDDはなかなか外れないようになっている。それはシリコン系のパッキンをしてあるので、ぴったり金属同士が接着してしまっている場合が多いからだ。マイナスドライバなどを差し込んで、こじ開ければいいだろう。
ここまでは3.5インチHDDを見てきたが、2.5インチHDDも構造はまったく同じ。特殊ネジのサイズが小さいだけで、バラす手順も同じだ。
プラッタがむき出しになったら、これをハンマーなどで叩いてみる。ガラス製なら粉々に割れるので、それで破棄終了だ。アルミの場合は、ペンチなどでプラッタをへしまげてやればいいだろう。
今回使ったメインの工具:トルクスドライバー(レンチ)
ネジの頭の溝が6角形になっているものは、組み立て家具などでよく見かけるが、トルクスネジは「*(アスタリスク)」状になっているネジ。サ●リオの黄色い犬畜生「ポムポムプリン」の尻の穴にソックリ! おもにいたずら防止ネジとして使われることが多く、一般的なホームセンターでは入手できない場合が多い。
このネジに対応できるのは、トルクスドライバやトルクスレンチと呼ばれるもの。一般名称としては。「ヘクスローブ」や「ヘックスローブ」とも呼ばれるが、トルクスのほうが通じがいい。
ネジの頭の溝の中央が出っ張ったタイプもあるので、工具として中心に穴が開いたタイプを購入するといい。
また、サイズのバリエーションが豊富なので、トルクスドライバを1本1本買ってそろえるより、サイズのバリエーションがセットになったトルクスレンチを購入することをオススメする。
HDDの分解に必要なサイズは、だいたい「T7」か「T8」あたり。この前後をカバーしているセットがいいだろう。