PC短評
モニターと合体できるミニPC「MINISFORUM AI M1 Pro-285H」。Core Ultra 9搭載でハイエンド並みの性能
2025年9月2日 06:00
MINISFORUMの「AI M1 Pro-285H」は、CPUにCore Ultra 9 285Hを搭載したミニPCだ。直販での価格はメモリ64GB+2TB SSD搭載モデルが16万2,990円。今回、選択できる構成にはないが、メモリ32GB+1TB SSD搭載のサンプルを入手できたので、簡単に性能面をチェックしていきたい。
「ミニPC」といえば昨今、Ryzenを搭載したモデルが圧倒的多数で、Core Ultraは珍しい。ところが7月以降、その選択肢は少しずつ増えてきた。M1 Proもそのうちの1台である。搭載されているCore Ultra 9 285Hは、競合のRyzen AI 9 HX 370と比較するとNPUが弱く、Copilot+ PC非準拠とはなる。しかしPコア6基+Eコア8基+LPEコア2基という比較的強力なCPUを搭載しているほか、GPUとなるArc 140Tも競合製品に勝るとも劣らない性能だ。
筐体は、先にRyzen搭載で先行している「AI X1」や、サブブランドAiberzyで展開している「XG1-370」を踏襲している。本体サイズは128×126×52mmとミニPCとしては一般的なものだが、金属で作られているため質感は高い。コンパクトな筐体と付属するVESAマウンタを生かして、モニターの後ろにつけて“一体型”として使うのもアリだろう。
CPU側にファンを搭載するのはもちろんのこと、メモリ/SSD側にもファンを搭載し、安定動作を図っている。また、CPU側にはTDP 65Wの熱を迅速かつ効率的に伝導する相変化材料、2本の純銅ヒートパイプを採用。高負荷時でも動作温度を86℃以下、騒音レベルを45dB未満に抑えたという。実際、ベンチマーク中の音も大変静かであり、アイドル時は静かな深夜でも集中しなければ分からない程度に抑えられていた。
本機のユニークな点は3つ挙げられる。1つ目は背面のUSB4ポートが100WのUSB PDによる給電に対応している点。手持ちで100WのUSB PD対応の充電器があれば駆動できるので、たとえば本体付属のACアダプタは家に置いたままにして、外出先ではUSB PD充電器を使う、もしくはUSB Type-C対応モニターとケーブル1本で接続して動かすことができるわけだ。
2つ目はスピーカーが内蔵されている点。具体的には、本体底面に取り付けられている。この点はAI X1やXG1-370と共通なのだが、マイクも内蔵されていることから、おそらく会議室でWeb会議をする際にスピーカーフォン代わりになることを狙っての装備だろう。筐体サイズが小さいので大音量とまではいかないが、6~8人程度の会議室なら十分だ。ちなみに音質は、サイズ的には頑張っている印象だ。
3つ目は、M.2 2280 1基とは排他になるものの、付属のOCuLink拡張カードにより、OCuLink経由でビデオカードなどを接続できる点。このところの高性能ミニPCのトレンドの1つだが、比較的安価なOCuLinkドックと電源、そしてハイエンドビデオカードさえ用意すれば、ゲーミングPCのように使うことも可能だ。
気になる性能だが、Ryzen AI 9 HX 370を搭載したXG1-370とほぼ同等だ。より具体的に言えば、PCMark 10ではやや上、3D関連のベンチマークは項目によって得意不得意がある。また、Cinebench R23はマルチコアでやや劣り、シングルコアで勝るといった具合である。
ここまで来ると好みで選べばいい……と思う。先に挙げたXG1-370のAmazonでの価格はメモリ64GB+SSD 1TBで15万8,878円、一方AI M1 Pro-285Hはメモリ64GB+SSD 2TBで17万3,242円と、SSD容量の差を考慮に入れても、XG1-370のほうに軍配が上がる(ただ、AI M1 Pro-285Hの直販価格は16万2,990円なので、ほぼSSD容量相応の差になる)。
AI M1 Pro-285HはRyzen優勢なミニPC市場で貴重なCore Ultra搭載モデルだ。性能面ではおおむね拮抗しており、USB PD給電やOCuLink対応といった拡張性も魅力。最適化されたゲームタイトルが多いGPU性能にこだわらないのであれば、Intel派にとって有力な選択肢となるだろう。





































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