PC短評
144Hz液晶とゲーミングキーボードを備えた異例なほどハイスペックな「Chromebook Vibe CX55 Flip」
2023年3月15日 06:17
昨年(2022年)10月16日、ASUSから発売された「Chromebook Vibe CX55 Flip(CX5501)」は、Chromebookでありながら11万9,800円と結構お高めな価格設定で登場した。コンセプトは「クラウドゲーミング」で、Googleが後押しするクラウドゲーミング向けのChromebookとして、ゲーミング機能を強化したことが特徴だ。
天板はスタイリッシュなアルミニウム合金を採用、タッチパネルに対応する15.6型のFHDグレアパネル、harman/kardonの認証を得た2W×2ステレオスピーカーを搭載しており、本体重量は1.94kg、一番厚みのあるヒンジ側で19.1mmとなっている。
CPUにはCore i5-1135G7、GPUはCPUに統合されたIris Xe Graphics、メモリはLPDDR4X-4266 8GB、ストレージはPCIe Gen 3.0 x2接続の128GB SSD、そしてOSはChrome OSを搭載。
インターフェイスは、右側面にUSB 3.1 Type-C、HDMI出力、microSDカードスロット、左側面にUSB 3.1 Type-C、USB 3.1、音声入出力、またその横にオーディオボタン、電源ボタンのほか、画面上部には92万画素のWebカメラ、無線はWi-Fi 6とBluetooth 5.1に対応。
本体重量はほぼ2kg、15.6型ということもあり重さもサイズも相応にあるが、360度回転可能なフリップ型のディスプレイヒンジ部の剛性は高く安心感がある。シーンや用途に応じて自在に変形し、画面の回転もスムーズでアプリケーションが対応していれば上下反転、90度回転などタブレットのように使うことができる。ただしタブレットのように扱うには重く、毎日の通勤や通学で持ち運ぶならChromebookであることをいったん忘れたほうが良いかもしれない。
最大の特徴でもあるクラウドゲーミング向けのChromebookとして、144Hzの高リフレッシュレートに対応するフルHDディスプレイ、アンチゴースト機能を搭載したキーボード、高速なWi-Fi 6などの機能が備わっている。こういったゲーミング機能が備わっていることを踏まえれば、一般的なゲーミングノートPCよりも低価格でゲーミング環境を手に入れることができる。ただし、低レイテンシかつ高速な回線は必須だ。
今回はG試しにoogle Playから「原神」をダウンロードしてプレイしてみたが、プレイ画面やシステムからフレームレートやリフレッシュレートを確認することができないため、実際のところの数値は確認できなかった。とはいえゲーム自体の動作についていえば、マップの切り替えやインベントリの確認でデータ通信を行なう瞬間はラグを感じるが、データを読み込んでしまえば特にストレスは感じなかった。
とは言え、やはり144Hz液晶を活かせるタイトルか、むしろ将来的にはクラウドでゲームをプレイすることがメインになるだろう。そういう点では、早期にChromebookで144Hzに対応したクラウドゲーミングサービスの登場に期待したい。
キーボードはWASDキーにカラーリングが施された99キーの日本語配列。アンチゴースト対応で15キーまでの同時入力に対応。ストロークは浅いが、確かなクリック感と適度な重みでゲーミングキーボードらしい入力をサポートしている。タッチパッドは中心から左に32.5mmほどオフセット、バックライトの輝度は5段階で調整可能。
CPUには第11世代の「Tiger Lake」、Turbo Boost時は4.2GHzで駆動する4コア8スレッドのモバイル向けのCore i5-1135G7ということで、ベンチマークはGoogleのJavaScriptベンチマークスイート「Octane 2.0」を使用。これは多くのWebサービスで発生するユースケースのパフォーマンスをテストすることができる。結果スコアは61,847で、Chromebookとしてはかなり高速な部類だった。
本体の処理能力はかなり高速ではあるが、このChromebookのメリットを引き出せるのは、シンクライアント的なモバイルデバイスではなく、高速かつ安定した回線を利用できる“据え置きゲーミングPC”的な用途だろう。今後のクラウドゲーミングサービスの発展を観測できる、先行投資的なゲーミングChromebookだ。