PC短評
Celeron N4100搭載でペンも使える10.1型着脱式2in1「CHUWI Hi10 X」
2020年6月8日 06:10
CHUWIはの「Hi10 X」は、Amazon.co.jpで1月より販売されている着脱式の2in1だ。価格はタブレット単体が27,500円、対応の専用キーボードが3,500円、ペンが2,500円、そしてすべてをセットにしたものが34,000円となっている。
2013年に大流行したWindowsタブレットだが、ここのところSurfaceシリーズ以外あまり話題に上がることがない。結局、Windowsがタッチに特化したUIではないという点が一番ネックで、快適に使うためにはキーボードとマウスが欠かせないからだ。よって、メーカーとしてタブレット新製品を投入するにしても、キーボード着脱式の2in1形式が無難だ。
CHUWIのHi10 Xもその2in1の流れを汲む製品で、基本は1,920×1,200ドット(WUXGA)表示対応10.1型液晶を備えたタブレットだが、専用のキーボードを取りつけることでクラムシェルノートPCのように使える。着脱機構としてはオーソドックスなガイドつきマグネット式であり、このあたりは2017年に投入した3,000×2,000ドット表示対応13.5型液晶を搭載した「Hi13」と共通だ。外観としても、Hi13をギュッと10.1型に縮小した印象である。
さて使い勝手について見ていこう。液晶は少し青っぽいし、IPSパネルの割りには視野角がやや狭い印象。ただWUXGAという高解像度が手伝っていることもあり、精細な印象を受ける。タッチについては感度が良好で、誤操作は皆無。各ボタンの感触も良好だ。
スピーカーの音量についてはかなり控えめで、目の前で視聴するさいは最大がちょうどいいぐらい。本体は実測で593gあるため、10.1型タブレットとしては重い部類に入るが、実際に手にしてみると意外にも気にならなかった。ただ、ディスプレイの枠は今どきのデバイスとしてはかなり太い印象で、このあたりは抑えてほしかった。放熱については優秀で、高負荷時でも68℃どまりとなり、手に持っていて不快になることはなかった。
本機はSoCにエントリー向けのCeleron N4100を採用している。数年前にリリースされ、いまだ新製品が投入され続けているAtom x5-Z8350と比較すると、ほぼ2倍ぐらい高性能なので十分実用的だ。ただ、YouTubeといった動画サイトの閲覧は荷が重い。動画をタップしてから視聴できるようになるまで時間がかかるのはもちろんのこと、動画を最大化したりするさいの反応も遅い。1つの長時間動画に集中するならまだしも、数分程度の動画を次から次へと探して観る用途には向かない。
とはいえ、メモリは6GB、ストレージは128GBと少し余裕はあり、そういった用途を割り切れば、そこそこ快適に使えるのも事実ではある。メモリが8GBではなく6GBなのは、無駄な消費電力を抑えられる意味でもなかなかいいバランスの選択肢である。DRAMはデータを保持していなくても電力を消費するので、ユースケースに合わせてぎりぎりまで使い切ったほうがいいからだ。
予想外に使いやすかったのがペンだ。同社のペンはこれまで単6形乾電池を採用しており、電池の入手性が悪かったが、今回の「HiPen H6」からはMicro USBによる充電式となり、使い勝手が向上している。筆圧レベルこそ1,024段階だが、高性能化したCPUも手伝って、遅延を感じることなく画面上に線が表示される印象だ。さすがに高度なイラスト作成などは無理だろうが、簡単なお絵かきやメモ書き程度なら余裕でこなせるだろう。
一方でキーボードドックは「3,500円なり」といった印象。タイピングしたときにビビり音が発生して少しチープな感じだ。とはいえ、サイズの関係でキーピッチこそ狭くキートップが小さいが、配列自体はオーソドックスな英字配列で、違和感なく操作できるのは評価できる。タッチパッドの2本指スクロールは一般的なものとは逆(下にスワイプすると下にスクロールするので、タッチとは逆)なのが唯一のネックだが、3本指のジェスチャーに対応する。また、左右にUSBポートがあるため、マウスやUSBメモリの接続も容易だ。Hi10 X専用品であるにもかかわらず、3,500円とリーズナブルなところもいい。どうせ買うなら一式購入したほうがいいだろう。
ちなみに本機はタブレット側にmicroSDカードスロット、Micro HDMI出力、そしてUSB Type-Cを2基備えているが、このUSB Type-Cのうちの1基は充電専用ポート。そのなかでもちょっといただけないのは、このType-C充電は付属の専用12V ACアダプタでしか行なえないことだ。消費電力がそれほど高いシステムだとは思えないので、5V/3A程度の給電にも対応してほしかった。もっとも、このあたりはコストとの兼ね合いもあったのだろう。
さすがにメインマシンにはなりえないが、ペンの利用を中心としつつ、たまにキーボードもつなげてテキスト入力を行なうといった軽いクリエイティブ作業に向く製品だと言えるだろう。