PC短評

4コアCPU搭載の最強8.4型2in1「OneMix 3 Pro」

OneMix 3 Pro(左)とOneMix 3試作機(右)。キーボードが日本語化された以外、区別はほとんどつかない

 株式会社テックワンは、ONE-NETBOOK製の最新8.4型2in1 UMPC「OneMix 3 Pro」を予約開始した。12月22日より順次発送予定となっており、税別直販価格は116,999円となっている。今回は事前に評価機を入手できたので、簡単にレポートしていきたい。

 先代となる「OneMix 3」シリーズは6月に登場し、8月に国内で出荷開始されたばかりだが、わずか半年足らずでCPUが第10世代へ進化した。Proの税別価格としては、Core m3-8100Y/メモリ16GB/ストレージ512GBを搭載した「OneMix 3S」より安価だが、16GB/512GBという仕様を据え置いたまま、CPUを4コアのCore i5-10210Yにアップグレードしており、お買い得感は高い。

 ディスプレイは2,560×1,600ドット表示対応の8.4型。4,096筆圧レベルに対応したペン(税別2,800円)入力に対応する点も共通。OneMix 3 Pro単体で使用しているとあまり気にならないが、液晶の明るさや美しさはライバル機の「GPD P2 Max」のほうに軍配が上がる。

 インターフェイスはUSB 3.0×2(うち1基はPD 2.0対応Type-C)、microSDカードスロット、Micro HDMI出力、IEEE 802.11ac対応無線LAN、Bluetooth、音声入出力、指紋センサーなどを搭載。本体サイズは204×129×14.9mm(幅×奥行き×高さ)、重量は659gと据え置きだ。

右側面にはmicroSDカードスロット、USB Type-C、USB 3.0を搭載
左側面にはMicro HDMI端子、3.5mmステレオミニジャックを搭載
天板にはOneMixのロゴ
指紋センサーを搭載する
重量は671gで、従来モデルの実測と同じだ
本体内部のレイアウト的にはOneMix 3Sに近い
ヒートシンクを取り外したところ
Comet Lake-Yになり、パッケージサイズがやや増加している
CPUとSSDには大量のグリスが塗られている
液晶最大輝度
液晶最小輝度
液晶の視野角は広い

 日本国内で販売開始されるOneMix 3 Proの日本語キーボードは、グローバル版とは異なるレイアウト。Enterキーの上にあった「Delete」は「@」に置き換えられ、Deleteは電源ボタンの左に移動した。「2」の上にあった「Tab」は、「A」の左にある「Caps Lock」と入れ替わっている。また、音量と輝度の調節は、Fn+Shift+カーソルキーとなった。ちなみにこの配置については筆者も少しメーカーに言及しており、反映されている。

日本語化されたキーボード。CapsLockとTabキーの入れ替え、Deleteキーの移動と@の追加などが特徴だ
キーピッチは従来と同じく18.2mm

 PCMark 10のベンチマークでわかるとおり、すべての項目においてCore m3-8100Yを搭載したOneMix 3はおろか、Core i7-8500Yを搭載した「OneMix 2S Platinum Edition」をも超えたスコアを記録している。後者との比較では、軽処理のEssentialsにおいては約15%、オフィス用途においては約14%、クリエイティブ用途では約23%の性能向上が見られ、クアッドコア化による性能向上が如実に現れている。発表会では「15%の性能向上」と謳われていたが、決してはったりではない。

 PCMark 10のテスト中、負荷が継続する後半部分において、CPU温度は76℃で推移した。これはOneMix 2S PEの72℃よりも明らかに高い。OneMix 3 Proのデュアルチャネル冷却システムを持ってしても、4コアの発熱を抑え込むのは厳しいと言わざる得ない。

 実際、充電を行ないながらPrime95で高負荷を10分間かけてみたところ、筐体底部は最大で51℃まで向上し、OneMix 3の42℃から9℃も上昇した。太ももの上に載せて使うのはかなり不快な温度である。もっとも、UMPC的な使い方でPrime95のような高負荷が続くのは考えにくいし、アイドル時の温度はOneMix 3とさほど変わらないので、ONE-NETBOOKはこれを問題ないレベルと判断したのかもしれない。

 なお、PCMark 10によるバッテリ駆動時間の計測では、バッテリ残量6%まで6時間11分稼働した。これはOneMix 3とあまり変わらない数値だ。このあたりは電源回路を含めた見直しが効いていると思われる。

 性能が向上した分、熱も増えたOneMix 3 Proだが、UMPCというかぎられたフォームファクタに、かつてない4コア8スレッドのプロセッサを詰め込んだのは、まさにロマンの塊だ。この先もさらなる高性能化が図られていくのが楽しみだと言える。

PCMark 10のスコアは3,314と、OneMix 3の2,670、OneMix 2S Platinum Editionの2,829を大きく上回り、3,000の大台に乗った
Sky Diverのスコアは2,242と、こちらはOneMix 3とあまり変わらない