■瀬文茶のヒートシンクグラフィック■
今回は5月11日に発売されたCooler Master製CPUクーラー「X6」(型番:RR-X6NN-19PR-J1)を紹介する。今回の購入金額は6,980円だった。
●Cooler Masterブランド最新のハイエンドサイドフローCPUクーラーメーカーとしては老舗の1つ、Cooler Masterが新たに投入した「X6」は、120mmファンを備えるサイドフロー型CPUクーラーだ。ヒートシンク最上段にに備える装飾パーツや、標準搭載のファンには、赤と黒を基調としたカラーリングが施されており、デザイン性に富んだCPUクーラーに仕上がっている。
X6のヒートシンクは、めっきを施した銅板を接地面に備えるベースユニットと、6mm径ヒートパイプ6本、54枚のアルミ製放熱フィンを備える放熱ユニットから構成されている。X6は、放熱フィンに通常より表面積が20%広いという「ハニカムフィン」を採用しており、独特な形状の放熱ユニットを形成する。また、この放熱ユニットは、ベースユニットに対して斜めに取り付けられている。Cooler Masterによれば、ケース内のエアフローを乱さず効率的な冷却を行なうものだそうだ。
搭載のファンは、黒色のフレームに赤いブレードを備えた、120mm角25mm厚のCooler Masterオリジナルファンだ。X6専用のカラーリングが施されたこのファンはPWM制御に対応しており、600~1,900rpm±10%の範囲で回転数を制御できる。ファンの固定には専用のブラケットを利用する。このブラケットは、120mm角25mm厚のファンであれば市販のケースファンも取り付け可能である。なお、放熱ユニットは両サイドにブラケットを固定可能だが、ファンとブラケットは1セットしか付属していないため、ファンを追加してデュアルファン構成で運用することはできない。
ここ最近、ヒートパイプ直接地型のベースユニットを備えたヒートシンクをリリースしていたCooler Masterが、X6のベースユニットに従来の銅板を用いたことは少々意外だが、特徴的なハニカムフィンや放熱ユニットを斜めに配置するレイアウトを採用したX6は、なかなか意欲的なヒートシンクである。
ただ、その斜めに配置された放熱ユニットにより、メモリスロットとの干渉が発生しやすくなっている。Cooler Masterはメモリについて、高さ38mmまでの対応としており、組み合わせるメモリについてはこの高さ制限をクリアできるか事前に確認することをお勧めする。また、今回利用した環境では、最上段の拡張スロットとの干渉も確認された。CPUソケットや拡張スロットの位置に左右される問題だが、こちらも注意した方がよさそうだ。
●冷却性能テスト結果
それでは冷却性能テストの結果を紹介する。今回のテストでは、付属ファンのフル回転時の温度と、PWM制御を40%に設定した際の温度をそれぞれ取得した。なお、前回まで使用していたマザーボードが故障してしまったため、Intel Z77 Expressチップセット搭載マザーボード「ASUS MAXIMUS V GENE」に変更している。
検証結果を見てみると、3.4GHz動作時にはフル回転時に58℃、40%制御時に67℃を記録した。これは85℃に達するCPU付属クーラーに比べ18~27℃低い良好な結果である。一方、4.4GHz動作時の温度は、フル回転時で71℃、40%制御時には83℃となった。マザーボードの交換に伴い、CPU電圧を0.01V高く設定しているため従来の結果とそのまま比較することはできないが、ハイエンドクラスのサイドフローCPUクーラーとしては少々高い数値であるように感じる。
ファンの動作音について、フル回転設定の約1,800rpm動作時は回転数の割には動作音が小さく感じるものの、やはりそれなりの風切り音は発生しており、ケースに収めても無視できるほどではない。一方、約940rpm程度で動作する40%制御時については耳を近づけると多少軸音が気になったが、十分静かに動作していた。X6ではさらに600rpmまで回転数を落とすことが可能であり、静音性にこだわるのであれば更に回転数を絞って動作させてみても良いだろう。
【グラフ】測定結果 |
●ゲーマー向けマザーボードにマッチするカラーリングが魅力のCPUクーラー
最近のCooler Master製CPUクーラーは、コストパフォーマンス重視の質実剛健なデザインの製品が多かったが、V6GT以来のデザイン性を重視したCPUクーラーである。X6の赤と黒を基調としたカラーリングは、ASUSのR.O.GシリーズやASRockのFatl1tyシリーズなど、ゲーマー向けマザーボードとよくマッチする。見た目にこだわって選ぶ価値はあるだろう。
一方、冷却性能については少々物足りない印象を受ける結果となった。本連載のテストはケースに収めないバラック組で行なっているため、X6の特徴である斜め配置の放熱ユニットが効果を発揮できていない。上積みが期待できる要素ではないが、この点については考慮すべきだ。
ハイエンドクラスのサイドフロー製品としては、デュアルファン非対応や、やや物足りない冷却性能が気になるものの、過度なオーバークロックをしなければ実用に耐え得る実力は備えている。見た目に魅力を感じるなら選んでも損はしないはずだ。
製品スペック | ||
メーカー | Cooler Master | |
フロータイプ | サイドフロー型 | |
ヒートパイプ | 6mm径×6本 | |
放熱フィン | 54枚 | |
サイズ | 157.3×113.8×163.3mm(幅×奥行き×高さ) | |
重量 | 732g(ヒートシンクのみ) 110g(ファン重量) | |
付属ファン | 120mm角ファン ×1 電源:4pin(PWM制御) 回転数:600rpm ~ 1,900rpm±10% 風量:18.8~59.5CFM±10% ノイズ:8~27dBA | |
対応ソケット | Intel:LGA 775/1155/1156/1366/2011 AMD:Socket AM2系/AM3系、Socket FM1 |