西川和久の不定期コラム

エプソンダイレクト「Endeavor NY3200S」
~安価になった15.6型スタンダードノート



 エプソンダイレクト株式会社は6月14日、「Endeavor NY3200S」を発表した。この製品は、Endeavor NY3000の後継機種に相当、そして新シリーズとなるS型番の15.6型スタンダードノートPCだ。


●ベーシックな15.6型ノートPC

 まず本体のスペックなどを解説する前に、「S」シリーズをご紹介したい。これまで同社の「Endeavor」シリーズは、フルBTOに加え、標準保証として1年間無償保証(1年間預かり修理)+3年間の部品保証を添付してきた。定額保守メニューとして、預かり修理、訪問修理2~5年で契約可能。また、安心プラス保証は1~3年で契約可能、そして20台以上導入時には初期設定などをメーカーサイドで行なうキッティングBTOなど、手厚いサポートに対応していた。もちろんその分、本体価格にも影響が出るが、幅広いBTOやまとまった数を企業で導入する時など、ユーザー側にもメリットがあるわけだ。

 これに対して今回発表された「Sシリーズ」は、パッケージ化されたモデルで十分、サービスも一般的なものでOK……と言った需要に答えたもので、その代わり価格を安く設定した。確かに趣味で使うにしても、少し分かっているユーザーであれば、後からSSD化やメモリ増設を行なえるし、よほど特殊な構造でない限り、フルBTOである必要性は低く、また昨今PCの全体的なパフォーマンスも上がっているので、企業で使うにしても、パッケージモデルで十分と言う話もある。

 また、このSシリーズのサポートに関しても、先に挙げた中から、「3年間部品保証は無し」、「3年間安心サービスセットのみ」、「キッティングBTOには非対応」、そして「国際エネルギースタープログラムは取得しない」とするなど、不要なコストを削り、コストダウンを実現したものだ。

 今回届いたEndeavor NY3200Sの主な仕様は以下の通り。

【表】Endeavor NY3200Sの仕様
CPUCore i5-2410M(2コア/4スレッド、2.3GHz/
Turbo Boost 2.9GHz、キャッシュ3MB)
チップセットIntel HM65 Express
メモリ4GB(4GB×1) PC3-10600 DDR3 SDRAM (最大8GB)/2スロット空1
HDD320GB(5,400rpm)
OSWindows 7 Home Premium(64bit)SP1
ディスプレイ15.6型液晶ディスプレイ(光沢)、1,366×768ドット
グラフィックス内蔵Intel HD Graphics 3000、HDMI出力、ミニD-Sub15ピン
ネットワークGigabit Ethernet、IEEE 802.11a/b/g/n
光学ドライブDVDスーパーマルチドライブ
その他USB 3.0×2、USB 2.0×2、3in1メディアスロット、
マイク入力、ヘッドフォン出力
サイズ/重量380×262×34~37mm(幅×奥行き×高さ)/約2.5kg
バッテリ駆動時間約3.5時間
価格62,980円(6月21日17時まで5,000円引き、送料無料)

 CPUはCore i5-2410M。第2世代Core iプロセッサで、2コア4スレッド、クロック2.3GHzで、Turbo Boost時2.9GHzまで上昇する。キャッシュは3MB。チップセットはIntel HM65 Express。メモリスロットが2つあり、4GB×1の計4GBを実装済み。最大8GBとなる。OSは64bit版Windows 7 Home Premium。SP1が導入済みで、Internet Explorer 9になっていた。

 グラフィックスはCPU内蔵のIntel HD Graphics 3000、外部出力はHDMIとミニD-Sub15ピンに対応している。液晶パネルは15.6型のグレア(光沢)タイプ。解像度は1,366×768ドットだ。

 ネットワークは、有線LANがGigabit Ethernet、無線LANがIEEE 802.11a/b/g/n。Bluetoothは非搭載となっている。

 その他のインターフェイスは、USB 3.0×2、USB 2.0×2、3in1メディアスロット、マイク入力、ヘッドフォン出力。Webカメラが無いものの、USB 3.0×2にキッチリ対応しているのはポイントが高い。

 価格は62,980円。もともと前モデルに相当するNY3000にはCore iモデルは無く、別パッケージのPentium B940モデルと比較すると、NY3200Sの49,980円に対してNY3000は59,850円と、9,870円安くなっている。ベースとなっているプラットフォームが異なるため、まるまるの差額とは言えないものの、「Sシリーズ」の効果が現れた価格設定だ。

 なお、Sシリーズ発売記念キャンペーンとして、Sシリーズ販売開始からSシリーズ全体の販売台数が1,000台まで、もしくは6月21日17時まで5,000円OFF。同販売開始から7月11日17時まで送料無料となっている。Pentiumモデルなら44,980円から、Core i5モデルでも57,980円からとなる。

トップカバーは渋いシルバー。非常にシンプル左側にHDDアクセスLEDなど、右側に3in1メディアスロット本体底面。ネジ7本外すと大きいパネルが開き、HDDやメモリへ簡単にアクセスできる
左側面。電源コネクタ、Gigabit Ethernet、ミニD-Sub15ピン、HDMI、USB 3.0×2キーボードはテンキー付。上部にステレオスピーカーがある右側面にロックポート、DVDスーパーマルチドライブ、USB 2.0×2、マイク入力、ヘッドフォン出力を備える
キーピッチは実測で約19mmACアダプタの電源コネクタはミッキータイプ。バッテリは結構大きい斜め後ろ。コネクタ類は左右両サイドで、後ろ側はスッキリしている

 トップカバーは濃いグレーでツルツルしたタイプだが、表面加工しているのか指紋がほとんど目立たない。液晶パネルのフチはツヤ無しブラック、そしてパームレストやタッチパッドなどはザラザラした感触の濃いグレーとなっている。写真からも分かる様に、全体的に落ち着いた感じで飽きのこないデザインだ。

 パネルはグレア(光沢)タイプなので映り込みはそれなりにある。視野角は上下より左右の方が若干狭い感じだ。発色はクラス相応。派手過ぎず地味過ぎず。ただし気持ちコントラストが浅い雰囲気だ。この辺りは好みの問題とも言える。

 キーボードはテンキー付き。キーピッチは実測で約19mm。テンキー部分も含め主なキーはこのピッチとなっている。強く押すとたわむものの、通常操作では問題ない。キータッチ自体はソフトで、筆者の好みではないが、逆にこのタイプが好きなユーザーもいるだろう。また[Ctrl]と[Fn]キーの位置を入れ替えられる同社ならではの機能は、このNY3200Sでも有効だ。

 タッチパッドはパームレストから少し段差があり、手(指)触り的にはどちらも同じだが、直感的に場所が分かる。ボタンは左右独立して2つ。ストロークはあまり深くなく、クリック感もあり、指に負担はかからない。少し気になったのは、タップの感度が低い感じだ。アプリケーションから見るとシングル(もしくはダブル)タップで、左ボタンど同じ動きとなるものの、まれにタップしたつもりが、タップしていないという現象が発生した。

 振動やノイズ、発熱に関してはボディが大きい分、対応ができているのだろう。十分許容範囲に収まっている。

 キーボードの上部にあるステレオスピーカーは、最大出力に関しては十分以上。なかなかパワフルだ。ただ、エネルギーバランスのほとんどが中・高域よりで、低域のバランスはあまり良くない。コントロールパネルにある「SmartAudio」にイコライザがあり、いろいろ触ってみたものの、この傾向は変わらなかった。

●普段使いとしては十分なパワー

 OSは64bit版のWindows 7 Home Premium。先述のようにSP1が導入済みで、IEも9になっている。タスクトレイには「仮想デスクトップ」、「Intel HD Graphics」、「Finger Sensing Pad」、「マカフィー セキュリティーセンター」が常駐。デスクトップ左側には、同社のツールなどが軽く1列に並ぶシンプルなものだ。

 HDDは320GB、5,400rpm、キャッシュ8MBの「WD3200BPVT」が使われている。パーティションはC:ドライブのみで約295GB。初期起動時275GBの空きがある。光学ドライブは「HL-DT-ST DVDRAM」を搭載している。

 その他のデバイスとしてはGigabit Ethernetコントローラに「Atheros AR8151 PCI-E Gigabit Ethernet Controller」、Wi-Fiコントローラに「Intel Centrino Advanced-N 6205」が使われている。先に書いたようにこのモジュールはIEEE 802.11aにも対応している。また、USB 3.0コントローラはルネサス エレクトロニクス製だ。

起動時のデスクトップ。OSは64bit版Windows 7 Home Premium SP1。国内メーカー製としてはデスクトップがシンプルHDDはWD3200BPVT(320GB/5,400rpm/キャッシュ8MB)、光学ドライブはHL-DT-ST DVDRAMC:ドライブのみに1パーティション。約295GBが割当てられている

 プリインストール済のアプリケーションは、「InterVideo WinDVD 8」、「マカフィー セキュリティーセンター」、「Nero MediaHub 10」、「リカバリーツール」、「仮想デスクトップ」、「PCお役立ちナビ」、「初期設定ツール」などと、国産のノートPCとしてはかなり少なくあっさりしている。後者2つに関しては同社お馴染みのツールだ。

Nero MediaHubPCお役立ちナビ初期設定ツール

 ベンチマークテストはWindows エクスペリエンス インデックスとCrystalMark、BBenchの結果を見たい。

 Windows エクスペリエンス インデックスは、総合 4.7。プロセッサ 6.9、メモリ 5.9、グラフィックス 4.7、ゲーム用グラフィックス 6.1、プライマリハードディスク 5.9。グラフィックスがCPU内蔵Intel HD Graphics 3000なので、もっとスコアの出るプロセッサやSSDなどを搭載しても、結局総合は同程度となる。メモリは2枚使いデュアルチャンネルメモリアクセスにすればもう少し上がる可能性はあるものの、全体のバランスは悪くない。

 CrystalMarkは、ALU 39004、FPU 40291、MEM 24574、HDD 9106、GDI 13412、D2D 1346、OGL 2386。Core i5-2410Mと5,400rpmのHDDを使ったノートPCとしては平均的な値となった。D2DやOGLの値が低いが、この価格帯のノートのユーセージでは、あまり関係無い部分だろう。

 BBenchは、省電力モード、バックライトOFF、キーストローク出力/ON、Web巡回/ON、Wi-Fi/ONでの結果だ。バッテリの残5%で13,304秒(3.7時間)。バックライトOFFでも比較的画面表示は見えるパネルなので実時間に近い値だろう。バッテリも結構大きいため4時間程度は行くかなと思ったが今1つ伸びなかった。あと一歩頑張って欲しいところか。

エクスペリエンス インデックスは総合 4.7。プロセッサ 6.9、メモリ 5.9、グラフィックス 4.7、ゲーム用グラフィックス 6.1、プライマリハードディスク 5.9CrystalMarkの結果。ALU 39004、FPU 40291、MEM 24574、HDD 9106、GDI 13412、D2D 1346、OGL 2386BBenchの結果。省電力モード、バックライトOFF、キーストローク出力/ON、Web巡回/ON、WiFi/ONでの結果だ。バッテリの残5%で13,304秒(3.7時間)

 以上のように「Endeavor NY3200S」は、Intel Core i5-2410Mを搭載し、15.6型の2スピンドルノートPCとしては非常にオーソドックスな作りであり、特に気になる部分も無い。価格もSシリーズ効果で従来よりも下がっている。国内メーカーでこのクラスのマシンを探しているユーザーにとって選択肢の1つとなりえる1台と言えよう。