西川和久の不定期コラム

フルHD23型IPSパネルにUSB 3.0まで搭載!
NEC「VALUESTAR G タイプW/VW970」



 NECの一体型PC「VALUESTAR W/VW970」の最大の特徴は、フルHD23型IPSパネルやYAMAHAサウンドシステムを採用した本格的なAV PCになっていることだ。そして夏モデルは機能強化ポイントとしてGeForce GT 330MやUSB 3.0を搭載。更に基本性能がアップした。今回は直販モデルの「VALUESTAR G タイプW」が届いたので早速使用レポートをお届けする。


●ゴージャス&こだわりの仕様

 VALUESTAR Wの店頭モデルは、Core i5-650(3.2GHz/TurboBoost時最大3.46GHz、4MB L3キャッシュ)のモデルVW970とVW770、またはCore i3-530(2.93GHz/TB無し、4MB L3キャッシュ)のモデルVW670と、3タイプがある。それぞれHDDは1TB(7,200rpm)。OSはWindows 7 Home Premium 64bit版。グラフィックスは最上位のVW970のみGeForce GT 330M、他はIntel HD Graphicsだ。液晶パネルは、VW970とVW770は、23型ワイド スーパーシャインビュー EX IPS 8bit液晶。VW670は21.5型ワイド スーパーシャインビュー EX液晶となるもののタッチパネルに対応している。

 また地上/BS/110度CSデジタルダブルTVチューナとUSB 3.0×2/USB 2.0×6は上位2モデルのみ、下位モデルは地上デジタルTVチューナ(シングル)でUSBは2.0×6と、CPUだけでなく少しスペックダウンする。

 今回は、CPUにBTOオプション最上位のCore i7-860S(2.53GHz/TB時最大3.46GHz、8MB L3キャッシュ、低電圧版)が使われている。仕様は以下の通り。

VALUESTAR Wの仕様

  • OS:Windows 7 Home Premium 32bit版
  • CPU:Intel Core i7-860S(2.53GHz/TB時最大 3.46GHz、8MB L3キャッシュ、低電圧版)
  • チップセット:Intel H55 Express
  • メモリ:4GB(2GB×2使用/2スロット、空き0)
  • HDD:500GB(ST3500418AS/7,200rpm、キャッシュ16MB)
  • 液晶パネル:23型ワイド スーパーシャインビュー EX IPS 8bit液晶、1,920×1,080ドット、HDMI入力、D4端子入力
  • グラフィックス:NVIDIA GeForce GT 330M
  • 光学ドライブ:Blu-ray Discドライブ
  • ネットワーク:Gigabit Ethernet、IEEE 802.11b/g/n
  • インターフェイス:USB 3.0×2、USB 2.0×6(内1つはPowered)、IEEE 1394×1、地上デジタル+ひかりTV、地上デジタルアンテナ端子(F型)×1、マイク入力/ヘッドフォン出力、光デジタル(S/PDIF)出力端子、B-CASカードスロット、トリプルメモリカードリーダ
  • その他 ワイヤレス日本語キーボード、マウス、リモコン、YAMAHAサウンドシステム 2.1chステレオスピーカー(3W+3W出力)+ウーファー(6W出力/SR-Bass方式)
  • サイズ/重量:576×467×240mm(幅×高さ×奥行き)/約17kg

 これから分かるように、今回手元に届いた試作機は、CPUにCore i7-860S、HDDの容量が半分の500GB、そしてOSが32bit、衛星チューナ無しになっている以外は、最上位のVM970と同じ仕様。HDDの容量こそ少ないが、CPUはCore i7。更なるパフォーマンス向上が期待できる。チップセットはIntel H55 Express、メモリは標準2GB×2の計4GB。最大8GBは共通だ。

 まず何と言っても最大の特徴は、23型ワイド スーパーシャインビュー EX IPS 8bit液晶フルHDを搭載していることだ。IPS方式は視野角が広く、上下左右、何処から見ても均一の画質。加えて、専用高画質化チップを使った「彩りプラス」で鮮やかな映像が得られる。またPCの電源をOFF時でも使用できるHDMIとD4端子入力があり、このVALUESTAR Wを中核に他のAV機器との組合せも自在だ。

 次の特徴は、YAMAHAサウンドシステムを採用していることだろう。チタンコーン採用のスピーカーを使い、出力は3W+3W+6Wの2.1ch。ウーファーはSR-Bassシステムを搭載し、低音の強化と歪を無くし臨場感を再現している。更に後述する「Maxx Audio」にも対応。この液晶パネルとサウンドシステムの2点だけで、他社には無いAV PCとしてかなりのこだわりを感じられる。

 GPUは、最上位モデルのVW970のみGeForce GT 330Mを搭載。他モデルは、チップセットIntel H55 ExpressとCPUの組合せによる内蔵GPU、Intel HD Graphicsとなる。言うまでもなく、前者の方がGPUとはして強力。またCUDAを使えるのでエンコードなども高速に処理できる。

 インターフェイスは、USB 3.0×2、USB 2.0×6、IEEE 1394、トリプルメモリカードリーダ、マイク入力/ヘッドフォン出力、光デジタル(S/PDIF)出力端子。6つあるUSB 2.0ポートの内、左サイドにある1つは電源OFFの時でも電源供給が出来るので、携帯電話やiPodなどを充電可能だ。そしてUSB 3.0対応は、現時点としてはかなり先取り。自社製のコントローラチップを持っている同社ならではだ。SATA並みの速度が出る上にプラグ&プレイなので、外部ストレージに有効。付属のキーボード、マウス、リモコンは指向性の無い無線式を採用している。

 ネットワークは、有線LANがGigabit Ethernet、無線LANはIEEE 802.11b/g/n。Bluetoothは非搭載だが、特に問題は無いだろう。

 地上/BS/110度CSデジタルTVダブルチューナは、ダビング10などはもちろん、高画質モードに対応した「外でもVIDEO」、「早見再生」、ゆっくり再生ができる「きこえる変速再生」、「オートチャプター」などを新たに追加。DTCP-IPに対応した付属の「ホームネットワークサーバー powered by DiXiM」を使えば、録画を他のAV機器でも再生できる。加えて「ひかりTV」サービスにも対応している。

 カラーバリエーションは、モデルによって無い色があるが白、赤、黒の3パターンとなっている。

 以上のように、AV PCとしてはかなりゴージャスな構成の上に、今回届いたのは店頭モデルには無い、スペシャルのCore i7-860プロセッサ。いろいろな意味で期待できる内容だ。

前面。あまりPCっぽくないデザインでリビングにもマッチしそうだ。液晶パネルの下にスピーカーを左右に配置。電源スイッチは液晶パネル右上側にある背面。ACアダプタは無く、本体に直接ACケーブルを接続する。左側に各種ポート、左側にアンテナとGigabit Ethernetコネクタ部/左。HDMI、D4端子/ラインインRL、USB 2.0×4、電源コネクタ
コネクタ部/右。Gigabit Ethernet、アンテナ。BS/110度CSデジタル対応機ではもう1つアンテナがある左側面。明るさ調整、無線キーボードとマウスのConnectボタン、トリプルメモリカードリーダ、IEEE 1394、USB 3.0×2、USB 2.0×1(Powered)、光デジタル(S/PDIF)出力、マイク入力、ヘッドフォン出力右側面。Blu-rayドライブ、外部入力切替/音量+/音量-、USB 2.0×1
付属のキーボード/マウス/リモコンは全て無線式。質感もなかなか良い裏右側にパネルがあり、ネジ1本外せばB-CASカードにアクセスできるウーファーはアームの部分に埋め込まれ、迫力のある低音を演出する
メモリスロット。裏右側上部にパネルがあり、ネジ2本外せばアクセスできる。スロットは2本。2GB×2が実装済だパネルの左下にロゴがある。YAMAHAの文字を見ると(かつてYAMAHA党だった筆者は)何となくワクワクするバッテリインジケータなど。キーボードとリモコンにバッテリの残量などが分かる小さい液晶パネルがある。なかなか凝った作り込みだ

 箱から取り出した第一印象は「さすがNEC!」といった感じだ。付属のキーボードやマウスまで含めたトータル的な質感は抜群。手抜きが無い。また梱包も結構シンプルだが必要十分で、取り出すのも片付けるのも簡単だ。本体は、液晶TVをイメージした狭額縁デザイン、見易い位置に調整できるスイベル・チルト、本体部の厚みは87mmとスリムなど、PCと言うよりAV機器の風格を持つ。

 最大の特徴であるIPSパネルは非常に鮮やかで立体感のある映りだ。またTVを起動すると自動的に「彩りプラス」になり、更に鮮やかさが増す。しばらく地デジやYouTubeを観ていたが、まるで量販店の液晶TVコーナーで見ているような錯覚に陥る。そしてYAMAHAサウンドシステムは、映像はもちろん音楽再生も低域から高域までハイクオリティでしかも大音量&大迫力。2.1chだけのことはある。後述する「Maxx Audio」をONにすると音場が広がり、低音から高音まで更に明瞭に。完全にPCの領域を超えているサウンドだ。

 もう1つ筆者的にポイントが高いのは、ACアダプタが無く、ダイレクトにACケーブルを接続できること。そしてキーボードとマウスは質感だけでなく、小型の液晶パネルでバッテリの状態などをモニタできることだ。マウスのバッテリもキーボード側でチェックできる。特にキーボードとマウスは普段一番触る部分であり、いくら本体が凄くてもこの部分がチープだと一気に興ざめする。秋葉原などを探しても無線式であまり良いものが無いので、単体販売して欲しいほど。

 振動やノイズ、熱に関しては、起動時、少しファンの音がするものの、落ち着いてしまえば非常に静かなレベルとなる。スリープ時も静かだ。

 唯一、気になる点があるとすれば、左側にあるUSB 3.0×2と光デジタル(S/PDIF)出力だろう。この位置はどうワイヤリング(特に光デジタルケーブルは折り曲がらない)しても、ケーブルが画面左側に飛び出てしまい格好悪い。出来れば外部ストレージ用として有効なUSB 3.0と、外部AV機器接続用の光デジタル(S/PDIF)出力は、リアパネル側に欲しいところだ。

●Core i7とGeForce GT 330Mで快適&大迫力

 OSは冒頭に書いたように何故か32bit版のWindows 7 Home Premiumが入っていた。実際の製品は64bit版となる。32bit版だとメモリ4GB中1GBが無駄になるため、できれば64bit版で評価したかった。32bit版か64bit版かで若干パフォーマンスの違いもある。

 HDDは500GBの「ST3500418AS」(7,200rpm、キャッシュ16MB)、光学ドライブは「MATSHITA BD-MLT UJ240AS」が使われている。TVチューナはViXS PureTV-U。Windows Media Centerに統合され操作できる。GPUは内蔵のIntel HD Graphicsではなく、GeForce GT 330Mだ。メインメモリを圧迫せず、CUDAも使えるので、Core i7プロセッサとのバランスもバッチリだ。

 いずれにしてもこれらの組合せはかなりのパフォーマンスが期待できる。加えて23型IPS液晶パネルでフルHD解像度、1,920×1,080ドットは、何をするにしても非常に快適に操作可能だ。

フルHDの解像度なので、デスクトップも広い。この壁紙はIPSパネルに非常にマッチし映えるデバイスマネージャ/主要デバイス。HDDは500GBのST3500418AS、Blu-rayドライブはMATSHITA BD-MLT UJ240ASが使われている。チューナはViXS PureTV-Uドライブ構成。全部で4パーティション。内Windowsで使えるのはC:ドライブの約431GBと、D:ドライブの約18.6GB。通常は容量的にC:ドライブのみでの運用となる

 プリインストールされているアプリケーションはかなり豊富だ。ユーティリティ系では、「i-フィルター 5.0(使用期間限定版)」、「おすすめメニューガジェット」、「テレビNaviガジェット」、「ソフト&サポートナビゲーター」、「ソフトインストーラ」、「ウイルスバスター2010(使用期間限定版)」、「マカフィー インターネットセキュリティ ベーシックエディション(使用期間限定版)」、「CyberSupport for NEC」、「バックアップ・ユーティリティ」、「Roxio BackOnTrack LE」、「FlyFolder」、「データファイナルレスキュー」、「ファイナルパソコン引越し 3.0 PRO for NEC」、「再セットアップディスク作成ツール」など。

 AV系では、「SmartPhoto」、「DigiBook Browser for NEC」、「Corel Paint Shop Pro Photo X2」、「Corel WinDVD BD」、「Corel Digital Studio for NEC」、「ホームネットワークプレーヤー powered by DiXiM」、「ホームネットワークサーバー powered by DiXiM」、「Roxio Creator LJ」、「SmartVision」、「G-GUIDE for Windows」がある。

 実用系として、「筆ぐるめ Ver.17 for NEC」、「時事通信社・医学・健康コンテンツ・家庭の医学・血液サラサラ健康事典」、「デジタル全国地図 いつもNAVI」、「駅すぱあと(Windows)」、「乗換案内 for NEC」がプリインストールされている。

 そしてPowerPoint 2010とOneNote 2010を含む「Microsoft Office Home and Business 2010」。Microsoft Office Personal 2010ではPowerPointが入っていないので、こちらの方がいいと言うユーザーも多いだろう。全体的に多過ぎる感じもしなくはないが、初心者には嬉しい対応だ。

 筆者的に興味を持ったのは「Maxx Audio」。説明によると「ダイナミックレンジを最適化し、大きな音から小さな音まで聴きやすくする」と言うことだが、ONかOFFかで明らかに(いい意味で)音が変わる。コンポーネントは低音再生技術「MaxxBass」、高音域のクオリティをアップする「MaxxTreble」、自然な音場を作り出す「MaxxStereo」、ボリュームと連動して不快に聞こえる大きな音を制御する「MaxxVolume」で構成され、一度ONにした音を聴いてしまうと、OFFだと全く物足らなくなるほどだ。さすがに文字では説明できないので、ぜひ店頭モデルで確認して欲しいと思う。

TVはMedia Centerに統合番組表TV画面(アドバンスト)
ソフト&サポートナビゲーターMaxx Audioムービーフォトメニュー

 ベンチマークはWindows エクスペリエンス インデックスとCrystalMarkの結果を見たい。なお今回のマシンはCPUにCore i7を搭載した直販専用モデルなので、予めご了承頂きたい。

 Windows エクスペリエンス インデックスは総合5.9。内訳はプロセッサ7.4、メモリ7.4、グラフィックス6.5、ゲーム用グラフィックス6.5、プライマリハードディスク5.9。一番遅いのはHDDという結果となった。バランス的にSSDを使いたいところであるが、そうなると動画を保存するには容量不足。できればSSD+HDDのハイブリッドシステムが欲しいところか。

 CrystalMarkもさすがCore i7そしてGeForce GT 330M。メモリも含めかなりハイパフォーマンスだ。先に書いたように、他と比較してHDDは遅いが、それでも7,200rpmモデルなので、1万を軽くオーバー。体感上のトータル的なバランスは良い。

 試しにGPUを使わないFlash Player 10でYouTube 1080pの動画を再生したところ、コマ落ちも無く非常にスムーズに再生された。この時、CPU使用率は7%前後。余裕で処理していることが分かる。

Windows エクスペリエンス インデックスは総合5.9。内訳はプロセッサ7.4、メモリ7.4、グラフィックス6.5、ゲーム用グラフィックス6.5、プライマリハードディスク5.9CrystalMark。バランス的にHDDが遅いものの、7,200rpmなのでそれでも1万を超えている1080p再生時のCPU使用率。GPUを使わないFlash Player 10でもCPU使用率は7%前後とかなり余裕がある

 以上のようにVALUESTAR G タイプW/VW970+Core i7-860Sスペシャルモデルは、IPSパネルで非常に綺麗で視野角も広く、動画を観るにしても写真を見るにしても快適。sound by YAMAHAのサウンドシステムとMaxx Audioの組合せは、PCとして類を見ないハイクオリティー&大迫力でコンテンツを楽しめる。

 更にCore i7とGeForce GT 330Mによってプレイヤーだけでなく、動画編集などクリエイティブな作業も快適……と、オールラウンドで楽しめるマシンに仕上がっている。何も妥協しないAV PCとして万人にお勧めできる逸品だ。BTOならではの選択肢の豊富さにも注目したい。