西川和久の不定期コラム
7万円台で静音、そして電源内蔵がうれしいミニPC「Beelink EQi13 Pro」
2025年11月6日 06:03
BeelinkはCore i5-13500HまたはCore i7-13620Hを搭載したミニPC、「EQi13 Pro」を販売中だ。編集部から上位のCore i7-13620H搭載機が送られてきたので試用レポートをお届けしたい。
安くて静か、電源内蔵のミニPC!
ここのところAI機能ありのミニPCばかり続いたが、久々にAI機能なし。オーソドックスなミニPCの登場だ。
現在プロセッサに“AI機能”があっても、NPUを搭載しただけの程度では大したこともできず、結局ChatGPTなどクラウドサービスを使うのなら、NPUなしで特に問題はないだろう。オフィスソフトやネット中心の用途で十分以上に使えるミニPC……それが今回ご紹介するEQi13 Proとなる。
ミニPCなのでコンパクトなのはもちろんだが、電源内蔵でACアダプタ不要、音が静か、加えて7万円台で安い……というのが特徴となるだろうか。主な仕様は以下の通り。
| Beelink「EQi13 Pro」の仕様 | |
|---|---|
| プロセッサ | Core i7-13620H(Pコア6基、Eコア4基/10コア16スレッド、クロック最大4.9GHz、キャッシュ24MB、TDP 45W/cTDP 35~115W) |
| メモリ | 32GB(DDR4-3200、SO-DIMM x2) |
| ストレージ | M.2 2280 SSD 1TB(2スロット1つ空き) |
| OS | Windows 11 Pro(24H2) |
| グラフィックス | Intel UHD Graphics/HDMI 2基 |
| ネットワーク | Gigabit Ethernet 2基、Wi-Fi 6、Bluetooth 5.2 |
| インターフェイス | USB 3.2 Gen 2 3基、USB 2.0、USB 3.2 Gen 2 Type-C、音声入出力 |
| サイズ/重量 | 約128×128×45mm、645g(いずれも実測値) |
| 価格 | 7万6,900円 |
プロセッサはRaptor LakeのIntel Core i7-13620H。Pコアは6基、Eコアは4基の計10コア16スレッド、クロック最大4.9GHz。キャッシュ24MB、TDP 45W/cTDP 35~115W。3世代前のプロセッサなのでNPUはない。
メモリは16GB DDR4-3200 2基の32GB。ストレージはM.2 2280 SSD 1TB。仕様には明記されていないが、内部を見たところ2スロットあり空き1。OSは初期起動時Windows 11 Pro 24H2だったが、25H2にWindows Updateして評価している。
グラフィックスはプロセッサ内蔵Intel UHD Graphics。外部出力用にHDMIを2基装備。
ネットワークはGigabit Ethernet 2基、Wi-Fi 6、Bluetooth 5.2。そのほかのインターフェイスは、USB 3.2 Gen 2 3基、USB 2.0、USB 3.2 Gen 2 Type-C、3.5mmジャック。
メモリがDDR4、2.5GbEやWi-Fi 7なし、映像出力HDMIのみ、USB4なし……など、世代が古い感じもしなくはないものの、そこは用途と価格のバランスといったところか。
サイズ約128×128×45mm、重量645g(いずれも実測)。今回の構成で価格7万6,900円。このEQi13 Proには2パターンの構成があり、違いはプロセッサ。もう1つは下位のCore i5-13500H(7万800円)となる。
個人で購入するにしても企業が購入するにしても10万円を大幅に切っており消耗品扱いにできる、性能的にはオフィス用途であれば十分。なかなか良いのではないだろうか。
余談になるがCore i9 13900HK/32GB/1TBの「SEi13 Pro」もある。ただし筐体が異なりACアダプタあり、その他インターフェイスの仕様も違うが8万800円(税込)。こちらも安い。興味のある人は合わせてご覧頂きたい。
Windows 10がサポート終了になり、(使用中の構成にもよるが)パーツやOS入れ替えて延命するなら、いっそこの辺りに買い替えるのもあり……というところか。
筐体は写真からも分かるように裏以外はフルメタルでなかなかカッコいい。重量は実測で645g。加えて電源内蔵でACアダプタが不要のため、本体だけ持ち運べばOKと、ミニPCとしては機動力?もある。サイズは約128×128×45mmと電源内蔵にしては結構コンパクトだ。
前面は、USB 3.2 Gen 2、3.5mm音声入出力、USB 3.2 Gen 2 Type-C、電源ボタン。背面は、USB 3.2 Gen 2 2基、HDMI 2基、USB 2.0、Gigabit Ethernet 2基、AC入力を配置。
前面のUSB Type-Cは映像出力未対応なので、いつものキーボード付きモバイルモニターへの接続は電源用のUSB Type-A→Type-CケーブルとHDMIケーブルの2本が必要。従ってモニターがPD電源供給可能でも本機は利用できない。この点に関してはミニPCなだけにちょっと残念だったりする。逆にACアダプタがない分、付属品はACケーブルとHDMIケーブルのみとスッキリする。VESAマウンタ関連はない。
BIOSは起動時[DEL]キーで表示する。内部へのアクセスは裏に4つのゴム足があり、外すとその下にネジ。4本外し、裏にあるタブを引っ張るとOKだ。簡単にメモリとSSDをメンテナンス可能となる。M.2スロットは2つあり、1つが空きで増設可能だ。
本機は音が静かなのでノイズレベルを調べて欲しいと編集部からリクエストがあり、簡易式だがiPhone + アプリを使って測ってみた。筆者の作業場は近くにそれなりの道があるため、そもそも環境自体があまり静かではない。測定時は窓を閉め、エアコンおよびGPUへのサーキュレータをオフ。この状態で50dB前後だった。
5cmの距離にiPhoneを置きアプリを起動、本機でCinebench R23実行中に測定したところ59dB前後。つまり9dBほど増えているが、これは距離が5cmと近いためで、離れてしまえば聞こえない。参考までにMaxの78.33dBはカメラのシャッター音だったりする(笑)。いずれにしても本体に耳を近づけてもほとんどノイズは聞こえないレベルだ。
発熱も、負荷を掛ければリアのスリットから気持ち暖かい風が出る程度だ。ノイズと発熱に関してはまったく気にならないレベルと言っていいだろう。
Ryzen AI 9 HX 370と比較すると劣るものの価格差を考えれば十分以上
初期起動時、特にプリインストールなどのアプリはなく、Windows 11 Pro標準のまま。Core i7/32GB/1TB SSDという構成なので、普通に操作している分には快適に操作できる。これが8万円切るのだからある意味、驚きでもある。
M.2 2280 1TB SSDはCrucialの「CT1000P310SSD8」。仕様によると、シーケンシャルリード7,100MB/s、シーケンシャルライト6,000MB/s。CrystalDiskMarkのスコアもそのまま出ている。C:ドライブのみの1パーティションで約930GBが割り当てられ空き880GB。
有線LANはRealtek PCIe GbE Family Controller 2基、Wi-FiはIntel Wi-Fi6 AX200、BluetoothもIntel製だ。
ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、Cinebench R23。最近よく扱っているRyzen AI 9 HX 370搭載ミニPCと比較すると、ザックリPCMark 10で2割減、3DMarkで5割減だろうか。ただ、Ryzenモデルは価格がほぼ倍違うので、コストパフォーマンスからすれば頑張っている方だろう。またPCMarkがこの程度の差であればオフィス系はまったく問題なく扱える。
| PCMark 10 v2.2.2737 | |
|---|---|
| PCMark 10 Score | 5,414 |
| Essentials | 9,520 |
| App Start-up Score | 12,679 |
| Video Conferencing Score | 7,177 |
| Web Browsing Score | 9,483 |
| Productivity | 6,921 |
| Spreadsheets Score | 7,245 |
| Writing Score | 6,613 |
| Digital Content Creation | 6,539 |
| Photo Editing Score | 9,769 |
| Rendering and Visualization Score | 4,821 |
| Video Editing Score | 5,937 |
| 3DMark v2.32.8454 | |
|---|---|
| Time Spy | 1,474 |
| Fire Strike Ultra | 979 |
| Fire Strike Extreme | 1,937 |
| Fire Strike | 4,098 |
| Sky Diver | 14,513 |
| Cloud Gate | 23,669 |
| Ice Storm Extreme | 114,873 |
| Ice Storm | 144,648 |
| Cinebench R23 | |
|---|---|
| CPU | 10,847 |
| CPU(Single Core) | 1,707 |
[Read]
SEQ 1MiB (Q= 8, T= 1): 7038.252 MB/s [ 6712.2 IOPS] < 1190.32 us>
SEQ 1MiB (Q= 1, T= 1): 4190.222 MB/s [ 3996.1 IOPS] < 249.95 us>
RND 4KiB (Q= 32, T= 1): 684.881 MB/s [ 167207.3 IOPS] < 185.69 us>
RND 4KiB (Q= 1, T= 1): 88.589 MB/s [ 21628.2 IOPS] < 46.11 us>
[Write]
SEQ 1MiB (Q= 8, T= 1): 6644.145 MB/s [ 6336.4 IOPS] < 1260.28 us>
SEQ 1MiB (Q= 1, T= 1): 5312.752 MB/s [ 5066.6 IOPS] < 197.17 us>
RND 4KiB (Q= 32, T= 1): 492.115 MB/s [ 120145.3 IOPS] < 257.86 us>
RND 4KiB (Q= 1, T= 1): 309.356 MB/s [ 75526.4 IOPS] < 13.14 us>
以上のようにBeelink EQi13 Proは、Core i7-13620H/32GB/1TBを搭載したミニPCだ。プロセッサにNPUはないものの、一般的なOffice的用途であれば十分なパフォーマンス。加えて音が静かでACアダプタレスも魅力的。価格は8万円を大幅に切り結構安い。企業の場合(個人でも)、消耗品扱いになるため買いやすいという側面もある。
メモリがDDR4、2.5GbEやWi-Fi 7、USB4なしなど、ちょっと仕様が古めだが、そこは使い方にもよるだろう。安価でパワフル、かつ使い勝手の良いミニPCを探しているユーザーにお勧めしたい1台だ。



























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