西川和久の不定期コラム

スタイリッシュな14.5型3.2K OLED採用ノートPC「Dell 14 Premium」。RTX 4050も搭載可

Dell 14 Premium

 デル・テクノロジーズは今年(2025年)6月25日、XPSの後継機種にあたる14.5型および16.3型ノートPCを発表、現在販売中だ。編集部から14.5型のベーシックモデルが送られてきたので、試用レポートをお届けしたい。

Core Ultra 7 255H/32GB/1TB/3,200×2,000ドット14.5型OLEDのノートPC!

 同社のXPSシリーズは個人的に結構好みだった。そのXPSシリーズがなくなり、替わりに後継機種に相当する「Dell 14 Premium」と「Dell 16 Premium」が発表された。

 内部構成はともかくとして、フラットなバックライト付きキーボード、左右にスピーカー、3,200×2,000ドット(3.2K)解像度のOLED……など、ぱっと見、XPSをよりカッコよくした感じとなるだろうか!?

 オプションでGPUにGeForce RTX 4050 Laptop GPUを搭載可能なのだが、手元に届いたのはベーシックモデル。主な仕様は以下の通り。

Dell「14 Premium」の仕様
プロセッサCore Ultra 7 255H (Pコア6基/Eコア8基/LPEコア2基/16コア16スレッド、最大5.1 GHz、キャッシュ 24MB、TDP 28W/cTDP 20-115W、NPU 最大13 TOPS)
メモリ32GB LPDDR5x-6400MT/s (オンボード)
ストレージ1TB M.2 SSD (PCIe NVMe)
OSWindows 11 Home(24H2)
ディスプレイ3,200×2,000ドット(3.2K)14.5型OLED、光沢、タッチ対応、400cd/平方m、48~120Hz
グラフィックスIntel Arc 140T GPU(8コア)/ディスプレイ出力:Thunderbolt 4 3基
ネットワークWi-Fi 7対応、Bluetooth 5.4
インターフェイスThunderbolt 4 3基、microSDカードスロット、音声入出力、1080p Webカメラ、バックライト付き日本語キーボード+指紋センサー
カラーバリエーションプラチナ/グラファイト
バッテリ6セル/69.5Wh
サイズ/重量320×216×18mm、1.72kg
価格33万3,100円

 プロセッサはArrow LakeのCore Ultra 7 255H。Pコア6基/Eコア8基/LPEコア2基の16コア16スレッド。クロックは最大5.1GHz、キャッシュ容量は24MB、TDPは28W。処理性能が13TOPSのNPUを内包するものの、この関係でCopilot+ PCには未対応。ちょうど前回SKU的には上位に相当するCore Ultra 9 285H搭載ミニPCをご紹介したばかりなので、ベンチマークテストなどの比較も分かりやすいのではないだろうか。

 メモリはLPDDR5x-6400の32GB。オンボードなので増設はできない。ストレージはPCIe NVMeの1TB M.2 SSD。OSはWindows 11 Home。24H2だったので、この範囲でWindows Updateを適用し評価している。

 グラフィックスはプロセッサ内蔵Intel Arc 140T GPU(8コア)。外部出力はThunderbolt 4が3基あるので必要に応じて接続すれば良い。

 ディスプレイは3.2K解像度の14.5型OLED。光沢ありタッチ対応、輝度は400cd/平方m、リフレッシュレートは48~120Hz。

 ネットワークはWi-Fi 7、Bluetooth 5.4。そのほかのインターフェイスは、Thunderbolt 4 3基、microSDカードスロット、音声入出力、1080p Webカメラ、バックライト付き日本語キーボード+指紋センサー。

 6セル/69.5Whのバッテリを内蔵し、サイズ320×216×18mm、重量1.72kg。ノートPCとしては少し重めだ。

 価格は今回の構成で33万3,100円とそれなりにする。AIプロセッサ/13型/OLEDクラスだと20万円ちょっとなので、パネルがワンサイズ大きくなり、可変リフレッシュレートなどから10万円ほどアップ……と言う感じだろうか。

 なお最上位として、GeForce RTX 4050 Laptop GPU搭載モデルも用意されている。価格は40万4,600円。VRAMが6GBとちょっと半端だが、GPUが必要なアプリを使う場合は有効だろう。

 カスタマイズは、29万9,000円(Windows 11 Home/iGPU/32GB/512GB/14.5型2K非タッチ)がベースモデルとなっており、ストレージは512GB/1TB/2TB、GPUにGeForce RTX 4050 Laptop GPU、パネルに2Kまたは3.2K OLED、本体色にプラチナ/グラファイト、日本語/英語キーボード……などが選択できる。

 余談になるが、16.3型だとプロセッサ内蔵GPUを利用するモデルはなく、プロセッサやメモリ、ストレージなどは本機と同じで、ディスクリートGPUとしてGeForce RTX 5050(8GB)/(非OLED/2K/非タッチ)もしくはGeForce RTX 5060(8GB)を搭載。そして価格はそれぞれ39万9,000円と47万6,000円……なので、ディスクリートGPU内蔵目当てならこちらの方がお得では!? と思ってしまう(笑)。

前面。パネル中央上にWebカメラ。フチは結構細い
背面。カラーバリエーションはプラチナ。トップカバー中央にDellのロゴのみとシンプル
左側面。Thunderbolt 4 2基。パネルの傾きはこれが最大
右側面。3.5mmジャック、Thunderbolt 4 1基、microSDカードスロット
キーボードはバックライト付きのJIS配列。「電源」キー(「BS」キーの右)に指紋センサー付き。上部にタッチ式のキーがある。タッチパッドはパームレストに一体化。左右にスピーカー
キーピッチは実測で19mm近い
横からは気持ちキーボード面が手前に傾いている。Type-Cコネクタから、本体の厚みもあまりないことが分かる
裏。前後に1本バー式のゴム足。裏にもスピーカー用のスリットがある
付属のACアダプタのサイズは約66×57×22mm、重量102g、出力60W
重量は実測で1,777g
キーボードバックライト。調整はOFF+1段階

 手元に届いたのはプラチナ。マットな感じの明るいシルバーで高級感もたっぷり。なかなかカッコいい。ただ重量が実測で1,777gで、14.5型とは言えこれはちょっと重い。日頃カバンに入れ持ち運ぶのは辛そうだ。

 たとえば職場なら普段は自分のデスクに固定、同じビル内の打ち合わせに持っていく程度の移動(=トランスポータブル的)がメインとなるだろうか。そう考えると16.3型モデルでもいいのかも知れない。

 前面はパネル中央上にWebカメラ。フチは結構細い。左側面にThunderbolt 4 2基、右側面に3.5mmジャック、Thunderbolt 4 1基、microSDカードスロットを配置。裏は前後に1本バー式のゴム足。裏にもスピーカー用のスリットがある。側面はType-Cのコネクタから分かるように結構薄い。

 付属のACアダプタはサイズ約66×57×22mm、重量102g、出力60W。もちろん同出力以上のアダプタがあれば他社製品でも充電できる。

 キーボードはOFF+1段階のバックライト付きJIS配列(オプションでUS配列も可能)。写真からも分かるように隙間が少なくフラットな感じだ。打鍵感は硬過ぎず柔らか過ぎず、ストロークもそれなりで、個人的には好み。歪な並びもなく、キーピッチは19mm近くあるので打ちやすい。

 気になるのは指紋センサー兼の「電源」ボタンが、「BS」キーの右にあることだろうか。深めに押す必要があり、少し触った程度なら大丈夫であるが、それにしてもこの位置は……という感じか。さらに言えば、「Esc」「Home」「End」「Delete」「Insert」がタッチ式になっている。この点も意見が分かれそうだ。

 パームレストは十分広く、加えてタッチパッド部分に段差……どころから枠すら書かれておらず、完全に一体化している。当初、枠程度は欲しいかも!? っと思っていたが、実際に使ってみると不要。スムーズに扱うことができた。

 14.5型のディスプレイはOLEDだけあって、発色、コントラスト、視野角、明るさ……どれを取っても抜群。タッチの反応も良いのだが、これだけ綺麗なディスプレイに指で触って指紋は付けたくないところ(笑)。

 「i1 Display Pro」を使い特性を測ったところ、最大輝度335cd/平方m。写真の鑑賞/編集で最適とされる標準の明るさ120cd/平方mは、輝度-3ステップで149cd/平方m、-4ステップで108cd/平方mだったので前者で測定した。黒色輝度は0.000cd/平方mで、ここはさすがOLED。リニアリティも悪くない。

測定結果1/白色点と黒色輝度
測定結果2/R・G・Bのリニアリティ

 ノイズや発熱は試用した範囲では特に気にならなかった。熱も裏の後ろ側が少し暖かくなる程度だ。

 Webカメラは発色、ホワイトバランス、解像感……どれをとっても十分以上。Web会議的な用途であれば綺麗な映像を配信できる。

 サウンドはキーボードの左右にスピーカーがあり、加えて裏のスリットからも音が出る関係で、直接音と間接音両方が耳に届く。机の上に置いたり、持ち上げて宙に浮かせたり、反射し難い物の上に置いたり……と、いろいろ試したところ、机の上に置いた状態が一番バランスが良かった。ただパワーはもう少し欲しい感じだ。

 このように仕様や機能的にはなかなか良くできたノートPCなのだが、本体が重く、一部キー配置が気になる、加えて側面がフラットで指を引っ掛けるところがなく、トップカバーを開きにくい、というあたりが弱点だ。この辺りをどう思うかで評価が分かれそうだ。

Core Ultra 9 285Hには若干劣るものの十分な性能!

 初期起動時、壁紙の変更といくつかアプリケーションがインストールされているものの、デスクトップにはショートカットなしとシンプル。Core Ultra 7 255H/32GB/1TB、加えて(パフォーマンスには直接関係ないが)3.2K OLEDと快適そのもの。1つ外部モニターを追加すればデスクトップ環境としても申し分ないだろう。

 1TB SSDは「BG6 KIOXIA 1024GB」。仕様によると、シーケンシャルリード6,000 MB/s、シーケンシャルライト5,000 MB/s。CrystalDiskMarkのスコアもほぼそのまま出ている。C:ドライブのみの1パーティションで約931GBが割り当てられ空き861GB。BitLockerで暗号化されている。

 Wi-FiはIntel Wi-Fi 7 BE201、BluetoothもIntel製だ。タスクマネージャーにNPUの項目が増えている。

初期起動時のデスクトップ。壁紙の変更の変更以外はWindows 11 Home標準
デバイスマネージャー/主要なデバイス。1TB SSDは「BG6 KIOXIA 1024GB」。Wi-FiはIntel Wi-Fi 7 BE201、BluetoothもIntel製
ストレージのパーティション。C:ドライブのみの1パーティションで約931GBが割り当てられている。BitLockerで暗号化
タスクマネージャーにNPUの項目が増えている

 アプリケーションは、「Dell Optimizer」「Dell Pair」「Dell SupportAssist」「Killer Intelligence Center」……など。主にツール系が入っているものの、数が少なくスッキリしており、個人的には好印象だった。

Dell Optimizer / Home (1/2)
Dell Optimizer / 電源とバッテリ (2/2)
Dell SupportAssist
Killer Intelligence Center

 ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、Cinebench R23、CrystalDiskMark、PCMark 10/BATTERY/Modern Officeを使用した。

 前回掲載したGEEKOM「IT15」がCore Ultra 9 285Hだったので比較すると、さすがにCore Ultra 7 255Hなのですべてのベンチマークテストで少しスコアが落ちている。とは言え、思ってたほど大きな差でもなく、一般的な用途であれば十分(以上)のパフォーマンスだ。

 PCMark 10/BATTERY/Modern Officeは9時間31分(電源モード/バランス、明るさ、バッテリモードなどはシステム標準)。10時間には届かなかったものの、8時間は余裕で超えた。

PCMark 10 v2.2.2737
PCMark 10 Score7,044
Essentials10,551
App Start-up Score13,439
Video Conferencing Score8,785
Web Browsing Score9,950
Productivity8,414
Spreadsheets Score10,711
Writing Score6,611
Digital Content Creation10,685
Photo Editing Score17,112
Rendering and Visualization Score9,445
Video Editting Score7,548
3DMark v2.31.8385
Time Spy3,923
Fire Strike Ultra1,971
Fire Strike Extreme3,568
Fire Strike8,126
Sky Diver28,756
Cloud Gate33,399
Ice Storm Extreme172,263
Ice Storm183,022
Cinebench R23
CPU15,520
CPU(Single Core)2,044
CrystalDiskMark 8.0.5
「Read」
  SEQ    1MiB (Q=  8, T= 1):  6033.137 MB/s 「   5753.6 IOPS」 <  1388.28 us>
  SEQ    1MiB (Q=  1, T= 1):  2910.370 MB/s 「   2775.5 IOPS」 <   360.13 us>
  RND    4KiB (Q= 32, T= 1):   478.828 MB/s 「 116901.4 IOPS」 <   267.33 us>
  RND    4KiB (Q=  1, T= 1):    39.835 MB/s 「   9725.3 IOPS」 <   102.53 us>

「Write」
  SEQ    1MiB (Q=  8, T= 1):  5309.058 MB/s 「   5063.1 IOPS」 <  1575.01 us>
  SEQ    1MiB (Q=  1, T= 1):  2255.641 MB/s 「   2151.1 IOPS」 <   464.29 us>
  RND    4KiB (Q= 32, T= 1):   482.473 MB/s 「 117791.3 IOPS」 <   270.33 us>
  RND    4KiB (Q=  1, T= 1):   151.696 MB/s 「  37035.2 IOPS」 <    26.91 us>

 以上のようにDell 14 Premiumは、Core Ultra 7 255H/32GB/1TBを搭載し、14.5型3.2K OLEDのパネル採用のノートPCだ。

 重さ、一部のキー、そして価格が気になるものの、斬新なデザイン、そしてdGPUを内蔵可能など、魅力的な部分もある。個人的には、16.3型でOLED、GeForce RTX 5060 Laptop GPU搭載モデルを使ってみたいところ(笑)。

 普段の持ち歩き用ではなく、デスクトップPC替わりにデスクに置いて使う高性能ノートPCを探しているユーザーにお勧めしたい1台と言えよう。