西川和久の不定期コラム
5万円台で買えるRyzen/16GB/1TB搭載ミニPC!「MINISFORUM UM750L Slim」
2025年6月30日 06:12
ここのところハイエンドなRyzenばかり続いたが、今回はミドルレンジクラスのRyzen 5搭載ミニPC。とは言えメモリ16GB/ストレージ1TBで、一般的な用途であれば十分なスペックとなる。編集部から実機が送られてきたので試用レポートをお届けしたい。
Ryzen 5 7545U/16GB/1TBで約5万円のミニPC!
同社に関しては、Copilot+PC認証を取得のRyzen AI 9 HX 370搭載「AI X1 Pro」、Ryzen 5 225、Ryzen 7 260、Ryzen AI 9 365と選べる「AI X1」をご紹介したが、どれもAI対応のハイエンドばかりだった。
AI(Copilot +PC)やNPUはあれば便利!というケースもあるだろうが、(特に外部AIサービスがメインの場合)まだPC側にAIはなくてもOK的なユーザーも多いと思う。そんなユーザーにピッタリな1台が、この「UM750L Slim」。余計なものがない分、価格も約5万円と結構安い。主な仕様は以下の通り。
| MINISFORUM「UM750L Slim」の仕様 | |
|---|---|
| プロセッサ | Ryzen 5 7545U(6コア12スレッド、クロック最大 4.9GHz、キャッシュ L2: 6MB、L3: 16MB、TDP 28W/cTDP 15~30W) |
| メモリ | 16GB(LPDDR5-6400、オンボード、最大32GB) |
| ストレージ | M.2 2280 SSD 1TB(NVMe対応) 2基(PCIe 4.0 x2/1つ空き) |
| OS | Windows 11 Pro(24H2) |
| グラフィックス | Radeon 740M(4コア)/HDMI2.1、DisplayPort、Type-C(USB4) |
| ネットワーク | 2.5GbE、Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.3 |
| インターフェイス | USB 3.2 Gen 2 2基、USB4、USB 2.0 2基、3.5mm音声入出力 |
| サイズ/重量 | 130×126.5×50.4mm、670g |
| 価格 | 5万1,190円(執筆時で20%オフ) |
プロセッサはRyzen 5 7545U。6コア12スレッドでクロックは最大4.9GHz。キャッシュ L2: 6MB、L3: 16MB。TDP 28W/cTDP 15~30W。6コアの内訳はZen 4 2基、Zen 4c 4基。モバイル版のRyzen 7や9と比較すると少しスペックは落ちるものの、それでも結構な性能だ。
メモリはLPDDR5-6400の16GB。ただしオンボードのため増設はできない。同社のサイトには最大32GBとあるものの、モデルとしては該当するものはない。
ストレージはM.2 2280 1TB。M.2スロット的にはPCIe 4.0 x2となる。2スロットあり1つは空き。OSはWindows 11 Pro。24H2だったので、この範囲でWindows Updateを適用し評価している。
グラフィックスは、Radeon 740M(4コア)。外部出力用にHDMI 2.1、DisplayPort、USB4を装備する。
ネットワークは2.5GbE、Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.3。そのほかのインターフェイスは、USB 3.2 Gen 2 2基、USB4、USB 2.02基、3.5mm音声入出力。個人的にはOCuLinkがないのが残念だが、USB4もあり一般的には十分だろう。
サイズは130×126.5×50.4mm、重量670g。価格は執筆時20%オフで5万1,190円。これだけの構成が円安とは言え、ほぼ5万円で買えるとなるとお買い得ではないだろうか。
筐体はオールシルバー。サイズはiPhone 16 Proの比較写真からも分かるように、ミニPCとしては大き過ぎず小さ過ぎず、一般的なサイズだ(同社によると0.8Lサイズとのこと)。重量は実測で544g。ACアダプタが246gなので合わせて持ち歩いてもそれなりに軽い。
前面は、電源ボタン、USB 3.2 Gen 2 2基、3.5mm音声入出力。背面は電源入力、2.5GbE、HDMI、DisplayPort、USB4、USB 2.0 2基を配置。裏は四隅にゴム足と中央付近にVESAマウンタ用のネジ穴がある。
付属品は、ACアダプタ(サイズ約120×52×33mm、重量246g、出力19V/3.42A)、HDMIケーブル、VESAマウンタ。
いつものキーボード付きモバイルモニターへ接続は、USB4があるのでType-C/Type-Cケーブル1本で接続可能。BIOSは起動時[DEL]キー。ただしまずメニューを表示し、SetupでBIOSに入ることができる。
内部へのアクセスは、裏のゴム足を外せばネジがあるので、4つ外せば簡単に裏蓋を開くことができる。ただし1本ケーブルが付いているため、蓋を外す時強く引っ張るとトラブル可能性があり要注意だ。
ハイエンド系は放熱の関係もあり、内部にもう1枚パネルがあったり、その分、外すべきネジも多数。メモリ/ストレージにアクセスするまで一苦労なのだが、裏蓋1枚/ネジ4本で済むとやはり楽だ(笑)。
内部はメモリがオンボードのためシンプル。M.2 2280 SSDが1つ装着済み。もう1つが空きになっている。
ノイズは筐体に耳を近付ければ分かる範囲で一般的な設置場所だと特に気になる事はないだろう。発熱は左右のメッシュから吸気し、背面から暖かい風が出てくる。とは言え生暖かい……的な感じだ。
特にマイナスポイント的な部分もなく、シンプルにまとめられたミニPCで完成度は高いと言えるだろう。
唯一、個人的にはメモリ32GBだったら……だろうか。メモリがオンボードで増設できない分、16GBだけでなく32GBの選択肢も欲しいところだ。
ハイエンドには劣るものの通常用途であれば十分な性能!
初期起動時、壁紙などの変更はなく、Windows 11 Pro標準のまま。Ryzen 9/7にはプロセッサ性能が劣るとは言え、試した範囲だとストレスなく動作する。
M.2 2280 SSDは1TBのKingston「OM8TAP41024K1-A00」。ここによるうと、シーケンシャルリード6,100MB/s、シーケンシャルライト5,300MB/s。CrystalDiskMarkのスコアも同レベルで出ている。C:ドライブのみの1パーティションで約951.64GBが割り当てられ空き904GB。BitLockerで暗号化されている。
2.5GbEはRealtek Gaming 2.5GbE Family Controller、Wi-FiはMediaTek Wi-Fi 6E MT7902、BluetoothもMediaTek製だ。
ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、Cinebench R23。全体的にこれまで扱ってきたハイエンドなRyzenよりワンランク落ちる感じだろうか。特にiGPUの性能が少し低い。
とは言え、ゲームをせずネットや事務処理的な作業であれば全く問題ないレベルだ。冒頭に書いたが、AIはクラウドサービスを使うと言った感じであればAI機能未対応も気にならない。
| PCMark 10 v2.2.2737 | |
|---|---|
| PCMark 10 Score | 5,847 |
| Essentials | 9,603 |
| App Start-up Score | 12,366 |
| Video Conferencing Score | 7,562 |
| Web Browsing Score | 9,472 |
| Productivity | 8,721 |
| Spreadsheets Score | 11,079 |
| Writing Score | 6,866 |
| Digital Content Creation | 6,477 |
| Photo Editing Score | 7,501 |
| Rendering and Visualization Score | 6,798 |
| Video Editting Score | 5,329 |
| 3DMark v2.31.8385 | |
|---|---|
| Time Spy | 1,773 |
| Fire Strike Ultra | 1,102 |
| Fire Strike Extreme | 2,244 |
| Fire Strike | 4,539 |
| Sky Diver | 14,475 |
| Cloud Gate | 22,206 |
| Ice Storm Extreme | 104,437 |
| Ice Storm | 133,382 |
| Cinebench R23 | |
|---|---|
| CPU | 10,480 |
| CPU(Single Core) | 1,735 |
[Read]
SEQ 1MiB (Q= 8, T= 1): 6123.596 MB/s [ 5839.9 IOPS] < 1364.96 us>
SEQ 1MiB (Q= 1, T= 1): 3770.745 MB/s [ 3596.1 IOPS] < 277.77 us>
RND 4KiB (Q= 32, T= 1): 426.306 MB/s [ 104078.6 IOPS] < 298.38 us>
RND 4KiB (Q= 1, T= 1): 56.939 MB/s [ 13901.1 IOPS] < 71.80 us>
[Write]
SEQ 1MiB (Q= 8, T= 1): 5353.880 MB/s [ 5105.9 IOPS] < 1563.61 us>
SEQ 1MiB (Q= 1, T= 1): 3433.140 MB/s [ 3274.1 IOPS] < 305.10 us>
RND 4KiB (Q= 32, T= 1): 394.770 MB/s [ 96379.4 IOPS] < 327.36 us>
RND 4KiB (Q= 1, T= 1): 139.516 MB/s [ 34061.5 IOPS] < 29.26 us>
以上のようにMINISFORUM「UM750L Slim」は、Ryzen 5 7545/16GB/1TBを搭載したミニPCだ。これで(執筆時)5万円ちょっとであれば文句なし。
AI機能非搭載は残念だが、AIは基本クラウドサービスを使うので、コストパフォーマンスの高いミニPCを探している!というユーザーに是非使ってほしい1台だ。

























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