西川和久の不定期コラム

マウス「MS-CH01F」

~Cherry Trail世代のAtom x5-Z8300を搭載した新型スティックPC

MS-CH01F

 マウスコンピューターは2月18日、Cherry Trail世代のAtom x5-Z8300を搭載したスティックPC「MS-CH01F」を発表した。前回のドスパラの製品に引き続きスティックPCとなり、当初、外観が違うだけで中身は同じ……と思っていたら、結構細かい部分が異なっており、その差を楽しみながらの試用レポートをお届けしたい。

Cherry Trail世代のAtom x5-Z8300を搭載した新型スティックPC

 現在マウスコンピューターのサイトに掲載されているスティックPCは、「MS-NH1-W10」、「MS-NH1-64G-Pro」と、今回ご紹介する「MS-CH01F」の3種類だ。MS-NH1型番はSoCがBay Trail世代のAtom Z3735F(4コア4スレッド、1.33GHz/1.83GHz、SDP 2.2W)。ストレージ容量の違いで32GBと64GBの2モデルになっている。64GBモデルはOSがWindows 8.1(Windows 10無償アップグレード対象)と若干仕様も古く、いずれも徐々にCherry Trail世代へ切り替わっていくことが予想される。

 対して「MS-CH01F」は、Cherry Trail世代のAtom x5-Z8300(4コア4スレッド、1.44GHz/1.84GHz、SDP 2W)を搭載した。SoCが新しくなった以外にもIEEE 802.11ac、USB 3.0にも対応し、より扱いやすくなっている。主な仕様は以下の通り。

【表】マウス「MS-CH01F」の仕様
SoCAtom x5-Z8300(4コア4スレッド、クロック 1.44GHz/1.84GHz、キャッシュ 2MB、SDP 2W)
メモリ2GB(DDR3L-RS 1600)
ストレージ32GB/eMMC
OSWindows 10 Home(32bit)
グラフィックスプロセッサ内蔵Intel HD Graphics、HDMI(音声出力はHDMI経由のみ)
ネットワークIEEE 802.11 a/b/g/n/ac、Bluetooth 4.1
インターフェイスUSB 2.0×1、USB 3.0×1、Micro USB(電源用)、microSDカードスロット(SDXC)
サイズ/重量113×39×13mm(幅×奥行き×高さ)/約62g
その他冷却用ファンあり
直販価格21,800円(送料/税込)

 SoCはAtom x5-Z8300。4コア4スレッドでクロックは1.44GHzから最大1.84GHz。キャッシュは2MBで、SDPは2Wだ。メモリは2GB/DDR3L-RS 1600、ストレージはeMMCで32GBとなる。OSは32bit版Windows 10 Homeを搭載する。

 グラフィックスはSoC内蔵Intel HD Graphics。Cherry TrailではGen8となり、EUが最大16になった(ただしx5-Z8300は12)辺りが、Bay Trailと比較して主なパワーアップポイントとなる。外部出力用にHDMIを装備。また音声出力も兼ねている。ディスプレイに音声出力がなかったり、HDMIからDVIへの変換アダプタなどを使うと音声出力できなくなるが、USBオーディオやBluetooth機器を接続できるので、特に問題はないだろう。

 ネットワークはIEEE 802.11a/b/g/n/ac。IEEE 802.11ac対応も、これまでの同社スティックPCにはなかった新機能の1つとなる。Bluetooth 4.1にも対応。Bluetooth 4.0と4.1の違いは、IPv6などよりインテリジェントな通信が可能になったことと、LTEとの電波干渉改善などが挙げられる。

 そのほかのインターフェイスは、USB 2.0×1、USB 3.0×1、Micro USB(電源用)、microSDカードスロット(SDXC)。USB 3.0が加えられ、より拡張性が高くなった。また冷却用ファンを内蔵している。サイズは113×39×13mm(幅×奥行き×高さ)、重量約62g。直販価格は送料込みで21,800円だ。

表/右/上。表は電源LEDと放熱用のスリット。右側面はUSB 2.0、USB 3.0、電源用Micro USB、電源ボタン。HDMIには簡単なキャップあり
裏/左/上。裏側に放熱用のスリットはない。左にストラップホールとmicroSDカードスロット
ACアダプタなど付属品。サイズ約70×50×26mm(同、突起物含まず)、重量135g。出力は5V/3A。HDMI延長ケーブルが付属する
ScreenBeam Mini2、Chromecastとの比較。スティックタイプとしては比較的大きめのScreenBeam Mini2と比べても随分大きいのが分かる
重量は実測で60g。仕様より気持ち軽い

 表面には電源LEDと丸いエリア内にある放熱用のスリットがある。裏にはスリットがなく、左右の側面とHDMIコネクタ周辺に少しある程度。後半のベンチマークテストでプロセッサの温度が平均64℃前後に収まっているので、この範囲で済むということなのだろう。余談になるが、この温度は筆者が所有する「Mac mini」のアイドル時とちょうど同じだ。

 右側面にUSB 2.0、USB 3.0、電源用Micro USB、電源ボタン。HDMIには簡単なキャップがあるが、筐体と一体化するタイプではない。左側面にはストラップホールとmicroSDカードスロットがある。

 ここでの注目点は、ケーブル類が全て右側面だけに集中すること。電源ケーブルはもちろんとして、USB 2.0とUSB 3.0をフルに接続するケースでは、このレイアウトの方がケーブル周りをスッキリできる。加えてストラップホールがあるのもちょっとした心遣いだ。

 付属のACアダプタは、サイズ約70×50×26mm(同、突起物含まず)、重量135g。出力5V/3A。本体が実測で60gなので、ほぼ倍の重さがある。持ち歩くとすればACアダプタは必須なので、この点がスティックPCの泣き所かも知れない(と言ってもそれでも軽いのだが)。

 発熱はベンチマークテスト中でも暖かくなる程度で熱くはならない。ノイズは普通の距離であれば静かな夜でも聞こえず、筐体を耳に当てると分かる範囲なので、通常使用では全く問題ない。

プリインストールアプリはなしで素のWindows 10

 OSは32bit版のWindows 10 Home。初期起動時のスタート画面(タブレットモード)は標準のまま、デスクトップは壁紙とPDFの「Windows 10ユーザーガイド」と「ハードウェアマニュアル」へのショートカットだけ。マカフィーなどセキュリティ系のアプリもなく、ほぼ素のWindows 10となっている。

 ストレージは32GB/eMMCの「SanDisk DF4032」。C:ドライブのみの1パーティションで28.41GBが割り当てられ、空きは、標準アプリも含め、全てをアップデートした状態で18.5GB。回復パーティションは450MB。空き容量が少ないので、データはmicroSDカードやネットワークストレージに逃がすことになる。

 Wi-Fiは「Qualcomm Atheros QCA61x4A Wireless Network Adapter」、Bluetoothは「Qualcomm Atheros QCA61x4 Bluetooth 4.1」が使われていた。はじめて見るデバイスで、Bluetooth 4.0か4.1かの違いでこうなるのは結構興味深い部分だ。

スタート画面(タブレットモード)はWindows 10標準
起動時のデスクトップ。壁紙の変更と、PDFの「Windows 10ユーザーガイド」と「ハードウェアマニュアル」へのショートカット
デバイスマネージャ/主要なデバイス。ストレージは32GB/eMMCの「SanDisk DF4032」。Wi-Fiは「Qualcomm Atheros QCA61x4A Wireless Network Adapter」、Bluetoothは「Qualcomm Atheros QCA61x4 Bluetooth 4.1」
eMMCのパーティション。C:ドライブのみの1パーティションで28.41GBが割り当てられている

 プリインストールのソフトウェアは、Windowsストアアプリ、デスクトップアプリ共になし。PDFで「Windows 10ユーザーガイド」、「ハードウェアマニュアル」の2つが入っているだけとなる。前者で213ページ、後者で21ページと結構なボリュームだ。

Windows 10ユーザーガイド(PDF)
ハードウェアマニュアル(PDF)

 ベンチマークテストは「winsat formal」コマンドと、PCMark 8 バージョン2、CrystalMarkのスコア(4コア4スレッドで条件的には問題ない)、Google Octane 2.0の結果を見たい。

 winsat formalの結果は、総合 4.1。プロセッサ 6.1、メモリ 5.5(8249.7MB/s)、グラフィックス 4.1、ゲーム用グラフィックス n/a、プライマリハードディスク 6.9。PCMark 8 バージョン2のHome(accelerated)は1423、CrystalMarkは、ALU 21168、FPU 18091、MEM 18526、HDD 20911、GDI 3730、D2D 2739、OGL 3114。参考までにGoogle Octane(Edge)は7208。

 前回掲載したドスパラ「Diginnos Stick DG-STK2S」より気持ち速いだろうか。またPCMark 8 バージョン2のHome(accelerated)/詳細のグラフが最高クロックにへばり付かず、結構上下し、作動の仕方が異なっている。

 プロセッサの温度は56~76℃辺りと結構高め。ただ平均は64℃前後と少し低めに抑えられている。放熱用のスリットが少ないのもこの関係かもしれない。同じSoC、Atom x5-Z8300でも、考え方の違いによりこのような差があるとは何とも面白い。

winsat formalコマンドの実行結果は総合 4.1。プロセッサ 6.1、メモリ 5.5(8249.72754MB/s)、グラフィックス 4.1、ゲーム用グラフィックス n/a、プライマリハードディスク 6.9
PCMark 8 バージョン2のHome(accelerated)は1423
PCMark 8 バージョン2のHome(accelerated)/詳細。クロックは0.8GHzから最大の1.84GHz。結構上下しつつ作動している。プロセッサの温度は56~76℃辺りと結構高めだ
CrystalMark。ALU 21168、FPU 18091、MEM 18526、HDD 20911、GDI 3730、D2D 2739、OGL 3114
Google Octane 2.0(Edge)。7208

 ドスパラ「Diginnos Stick DG-STK2S」とマウス「MS-CH01F」続けて2つのスティックPCを試用して、同じSoCならルックス以外はほとんど同じだろうと思っていたが、実際は、各コネクタの配置やストラップホールの有無など筐体の細かい点、プロセッサの作動の違いと、その関係による放熱用スリット量の違い、更にBluetooth 4.0と4.1で、IntelかQualcommか……など、思っていた以上にいろいろ差があり、こういったシンプルなPCだけに、メーカーの設計思想を垣間見れる楽しい試用だった。


 以上のようにマウス「MS-CH01F」は、Cherry Trail世代のAtom x5-Z8300、メモリ2GB、eMMC 32GBを搭載したスティックPCだ。IEEE 802.11acやUSB 3.0にも対応し、パフォーマンスだけでなく使い勝手も向上した。

 発熱やノイズも含め仕様上気になる部分はなく、Bay Trail世代よりもグラフィックス性能が向上しバランスがよくなったと言える。Cherry Trail世代のスティックPCを探しているユーザーにお勧めできる製品だと言えるだろう。

(西川 和久http://www.iwh12.jp/blog/