西川和久の不定期コラム

レノボ・ジャパン「YOGA Tablet 2-8 with Windows」

~鉛筆などをスタイラス代わりに利用できる8型タブレット!

製品写真(ホールドモード)

 2014年10月に8型と10型の「YOGA Tablet 2 with Windows」が発表された。シリンダー型のスタンドが特徴的なタブレットだ。そして、2015年1月6日に、市販の鉛筆などをスタイラス代わりに利用できる「AnyPen」技術を搭載した新モデルを投入。少し時間が経っているものの、編集部から実機が送られてきたので試用レポートをお届けしたい。

8型IPS式1,920×1,200ドットの液晶とAtom Z3745を搭載したタブレット

 今回発表されたモデルは、基本部分に関しては前モデルと同じで、8型IPS式1,920×1,200ドットの液晶パネル、Atom Z3745、メモリ2GB、eMMC 32GBと、外見も含め共通となっている。違いは冒頭に書いたように、市販の鉛筆などをスタイラス代わりにできる「AnyPen技術」を搭載していることだ。

 主な仕様は以下の通り。

【レノボ・ジャパン「YOGA Tablet 2-8 with Windows」の仕様】
SoCAtom Z3745(4コア4スレッド、クロック 1.33GHz~1.86GHz、キャッシュ2MB、SDP 2W)
メモリ2GB(LPDDR3 1066)
ストレージ32GB eMMC
OSWindows 8.1 with Bing(32bit)、InstantGo対応
グラフィックスプロセッサ内蔵Intel HD Graphics
ディスプレイ8型IPS式1,920×1,200ドット、10点タッチ対応
ネットワークIEEE 802.11a/b/g/n、Bluetooth 4.0
インターフェイスMicro USB 2.0、microSDカードスロット、前面160万画素/背面800万画素、音声入出力、ステレオスピーカー
センサー加速度センサー、光センサー、デジタルコンパス、GPS、GLONASS
その他Microsoft Office Home and Business 2013搭載
サイズ/重量210×149×2.7~7mm(幅×奥行き×高さ)/約426g
バッテリ駆動時間約15時間
価格4万円前後

 プロセッサはAtom Z3745。4コア4スレッドでクロックは1.33GHzから1.86GHz。キャッシュは2MBでSDPは2W。最近出回っている8型はAtom Z3735Fを搭載しているが、こちらはメモリ最大2GB。末尾にFが無い方は最大4GBとなる。他の仕様はほぼ同じ。本機に関してはメモリ2GBなので、性能的にはAtom Z3735Fとほぼ同等となる。ストレージはeMMCで32GB。OSは32bit版のWindows 8.1 with Bing。InstantGo対応だ。

 ディスプレイは8型IPS式の1,920×1,200ドット。10点タッチ対応となる。ただし、外部出力用のMicro HDMIなどは搭載していない。この点が唯一残念な部分だろう。

 インターフェイスは、IEEE 802.11a/b/g/n、Bluetooth 4.0、Micro USB 2.0、microSDカードスロット、前面160万画素/背面800万画素、音声入出力、ステレオスピーカー。センサーは、加速度センサー、光センサー、デジタルコンパス、GPS、GLONASSを搭載している。

 サイズは210×149×2.7~7mm(幅×奥行き×高さ)、重量約426g。Microsoft Office Home and Business 2013をプリインストールし、価格は4万円前後。他の8型と比較すると少し高めだが、高解像度でIPS式液晶パネル、グリップ兼スタンドやAnyPenなど、アドバンテージは十分ある。

前面。液晶パネル左に160万画素前面カメラ。グリップの左右、メッシュの部分にステレオスピーカー
左(スタンド)。ボリュームボタン、Micro USB。グリップの丸い部分が凹み電源ボタンとなっている。この状態がスタンドモード
右(チルト)。Windowsボタンと音声入出力。この状態がチルトモード。AnyPenを使うには丁度いい角度
裏(ハング)グリップの左端に800万画素背面カメラ。カバーを外すとmicroSDカードスロットがある。撮影の都合上、テーブルに置いているが、この穴の部分にフックなどを引っかけ、ぶら下げるのがハングモード
USB出力のACアダプタと付属のUSBケーブル。サイズ約4.5×4x2.5cm、重量50g。プラグの部分は折り畳めない
重量は実測で433g

 筐体は黒一色。裏やグリップ部分はマット調だ。背面側は滑り止めだろうか、細かいメッシュが入っている。

 グリップ部分を下にして、正面左側に160万画素前面カメラ。グリップ左右のメッシュ部分にステレオスピーカー。左側面にボリュームとMicro USB、グリップの丸い部分がへこむタイプの電源ボタンとなっている。右側面はWindowsボタンと音声入出力を配置。背面は、グリップの左端に800万画素背面カメラ。またスタンドの裏側に小さいカバーがあり、その下にmicroSDカードスロットがある。

 グリップ兼スタンドの状態で呼び方があり、扉の写真は「ホールド」。立てた状態が「スタンド」。少し寝かせた状態が「チルト」。そしてスタンド中央の穴にフックなどを引っかけぶら下げるのが「ハング」となる。チルトではAnyPenが使い易く、ハングは台所など手を離せない時に便利そうだ。

 ただ個人的な感想であるが、片手で持った時、このグリップ兼スタンドの部分がかなり重く非常にバランスが悪い。また金属なのでヒンヤリする。スタンド時にある程度重さがないと倒れてしまうので仕方ないのは分かっているが、片手で持ち続けるのは辛そうな雰囲気だった。

 8型IPS式の液晶パネルは、ハイコントラストで明るさや発色も十分。高品位なパネルが使われているようだ。解像度が1,920×1,200ドットなので、文字のジャギーなども目立たない。10点タッチも快適に反応する。

 視力的な個人差もあるが、デスクトップ環境は文字が小さくて見辛い。考えてみれば、普段24.1型1,920×1,200ドットのEIZO CG245Wで仕事をしており、それがそのまま8型に縮小されるのだから当然と言えば当然だ。

 振動や発熱、ノイズに関しては、試用した範囲では全く問題無いレベルに収まっていた。。サウンドはパワー感があり、このクラスとしてはクオリティも高く、ちょっと驚くレベルだ。8型としては最強ではないだろうか。

性能的には同クラスの8型と同等

 OSは32bit版のWindows 8.1 with Bing。メモリ2GB、ストレージ32GBなので、過度な期待はできないが、ライトな用途であれば問題無く操作可能だろう。

 初期起動時のスタート画面は2画面。レノボ・ジャパンアプリ以降がプリインストールとなる。また背景の壁紙もデスクトップに合わせて結構派手なものに変更されている。デスクトップはショートカットも無く、シンプルな構成だ。

 ストレージは32GB/eMMCのSanDisk「SEM32G」。C:ドライブのみの1パーティションで約23.4GBが割当てられ空きは20.4GB。回復パーティションは5.47GBある。

 Wi-FiモジュールはBroadcom。他のデバイスもInstantGo対応なので他社とよく似ている。ちょっと珍しいのはサウンドがWolfson Microelectronics Audio WM5102になっていることだろうか。

スタート画面1。Windows 8.1 with Bing標準
スタート画面2。レノボ・ジャパンアプリ以降がプリインストール
起動時のデスクトップ。壁紙のみ変更され、ショートカットなどは無くシンプルな構成
デバイスマネージャ/主要なデバイス。Wi-FiモジュールはBroadcom。サウンドはWolfson Microelectronics Audio WM5102
MMCのパーティション。C:ドライブのみの1パーティションで約23.4GBが割当てられている

 プリインストールのソフトウェアは、Windowsストアアプリは、「レノボ・ジャパン User Guide」のみと少ない。ストレージが32GBなので、その辺りの兼ね合いもあるだろう。

アプリ画面1
アプリ画面2
User Guide

 デスクトップアプリは、「レノボ・ジャパン SmartSwitch」、「SHAREit」、「Yoga Tablet 2 Demo」、そして「Microsoft Office」。こちらも最少構成だ。

 さて、本製品の最大の特徴はAnyPen技術だ。同社の説明によるとこのAnyPenでは、直径1mm以上で先端が丸く、導電性のあるグラファイトか金属製のペン先を持った鉛筆やペンをサポートする。

 届いて早速試そうと思ったが、鉛筆が手元に無く、ボールペンを何種類か試したものの動作が不安定で、一番相性が良かったのは、細めのプラスドライバーだった(笑)。確かに先の条件には合っている。いろいろなもので代替えできそうなので、あれこれ試してみるのも面白いだろう。

 ペンで書いた時の追随性は十分高く、まるで専用ペンで書いているような感覚だ。筆圧こそ検知できないものの、直径1mm程度という、静電容量式としては細めのペン先を利用できるため、文字を書きやすい。

 ただ、手書き入力というのは、まだこなれていない部分もあり、万人が使うものではない。また、イラストを描く人も一部に限られる。だが、本製品は8型で1,920×1,200ドットという非常に高精細な液晶を搭載しているため、ペンは文字などの入力デバイスではなく、ポインティングデバイスとして使うとかなり便利だ。特に、デスクトップアプリの場合、ボタンが小さすぎて指ではうまく押せないことがよくあるが、先が細いペンなら、支障なくタップできる。この辺りが、かなり便利だと感じる。

 また今回同社が4月16日にリリースした「WRITEit」を試してみた。テキスト欄に直接手書き入力できるソフトウェアで、日本語入力にも対応している。

 当初プロセッサがAtomなので、動作速度を心配していたが、全くストレス無く、すらすら入力できる。あまりにも変換が速く、掲載した写真のように、手描きの部分と、変換された文字を同時に表示する時間が短い(WRITEitの設定/自動変換待機時間は最大3.8秒。自動変換後、手描きの部分は消える)ため、独りで書いて写真を撮るのが困難なほど。ただし英語では入力途中で候補が表示されるが、日本語に関しては辞書が無く単語やひらがなを入力してからの変換はできない。この辺りは改善を望みたい。

 使ってて面白かったのは、この手の文字認識は入力する欄が特定の枠内など、決まっているものが多いが、ご覧のようにこのWRITEitは、テキスト入力枠がグリーンに変わり手描き入力モードになると、ある程度近い場所なら枠をはみ出ても書けることだ。デジタイザズペンで手書き入力をあまりしないので、書き心地の差は分からないが、特に違和感は無かった。今後が楽しみな技術と言えよう。なお、Windowsストアアプリでは機能しない

Yoda Tablet 2 Demo
レノボ・ジャパン 試し入力
レノボ・ジャパン WRITEit/設定
AnyPen + WRITEitで手書き入力。反応がかなり良いのが分かる

 ベンチマークテストは「winsat formal」コマンドと、PCMark 8 バージョン2、BBenchの結果を見たい。CrystalMarkのスコアも掲載した(4コア4スレッドで条件的には問題ない)。

 winsat formalの結果は、総合3.6。プロセッサ6.3、メモリ5.5、グラフィックス3.6、ゲーム用グラフィックス3.9、プライマリハードディスク6.05。PCMark 8バージョン2は1064、CrystalMarkは、ALU 24558、FPU 20792、MEM 17180、HDD 13251、GDI 4568、D2D 3145、OGL 2820。参考までにGoogle Octane(デスクトップ版IE)は3508。出回っている8型のタブレットと同じ性能だ。

 BBenchはバックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果だ。バッテリの残5%で48,371秒/13.4時間。仕様上の約15時間にはとどかなかったものの、このクラスとしては十分なバッテリ駆動時間だろう。

winsat formalコマンドの実行結果。総合3.6。プロセッサ6.3、メモリ5.5、グラフィックス3.6、ゲーム用グラフィックス3.9、プライマリハードディスク 6.05
PCMark 8 バージョン2。1064
BBench。バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オン、Bluetooth/オンでの結果だ。バッテリの残5%で48,371秒/13.4時間
CrystalMark。ALU 24558、FPU 20792、MEM 17180、HDD 13251、GDI 4568、D2D 3145、OGL 2820

 以上のようにYOGA Tablet 2-8 with Windowsは、Atom Z3745、8型IPS式1,920×1,200ドット液晶パネルを搭載したWindowsタブレットだ。性能的には多くの8型タブレットと変わらないものの、グリップ兼スタンドやAnyPenと言ったプラスα部分のポイントが高い。

 仕様的には唯一、Micro HDMI出力が無いのは残念なところだが、実用的な8型Windowsタブレットを探しているユーザーにお勧めしたい逸品と言えよう。

(西川 和久http://www.iwh12.jp/blog/