西川和久の不定期コラム
ASUS「X200MA」
~税別4万円を切る11.6型ノートPC
(2014/11/5 06:00)
ASUSは10月22日、11.6型ノートPC「X200MA」を発表、11月上旬から販売を開始する。Celeron/4GB/500GB/11.6型HD解像度で、税別店頭予想価格は38,000円前後とかなり安価なモバイルノートPCだ。編集部から実機が送られてきたので、試用レポートをお届けしたい。
前モデルからOSとHDDが変わり、カラーバリエーションを1色追加
今回ご紹介するASUS「X200MA」は、2014年5月に発売された同モデルのマイナーチェンジ版だ。ハードウェアの違いは、HDDが750GBから500GBへ減った以外は全く同じ。ソフトウェアは64bit版のWindows 8.1からWindows 8.1 with Bingへ変更されている。
カラーバリエーションは、従来のブラック、ホワイト、ブルーの3色にホットピンクが加わり4色となった。主な仕様は以下の通り。
ASUS「X200MA」の仕様 | |
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プロセッサ | Celeron N2830(2コア/2スレッド、クロック 2.16GHz/2.41GHz、キャッシュ1MB、TDP 7.5W/SDP 4.5W) |
メモリ | 4GB(DDR3L-1333) |
ストレージ | 500GB(HDD) |
OS | Windows 8.1 with Bing(64bit) |
ディスプレイ | 11.6型(光沢)液晶ディスプレイ、1,366×768ドット、タッチ非対応 |
グラフィックス | プロセッサ内蔵Intel HD Graphics、HDMI出力、ミニD-Sub15ピン |
ネットワーク | Ethernet、IEEE 802.11b/g/n |
その他 | USB 3.0×1、USB 2.0×2、SDカードスロット、92万画素Webカメラ、音声入出力 |
バッテリ駆動時間 | 最大7.1時間(3セルリチウムイオン) |
サイズ/重量 | 302×200×26~30.4mm(幅×奥行き×高さ)/約1.2kg |
税別店頭予想価格 | 38,000円前後 |
プロセッサはCeleron N2830。2コア2スレッドで、クロックは2.16GHzから最大2.41GHz。キャッシュは1MBでTDPは7.5W(SDPは4.5W)。メモリはDDR3L-1333で4GB。同クラス前後でAtomを搭載したタブレットもあるが、メモリは最大2GBなので、4GBある本機は余裕のある動作が期待できる。ストレージは5,400rpmの500GB HDDを搭載。OSは64bit版のWindows 8.1 with Bingだ。
ディスプレイは、光沢の11.6型液晶ディスプレイで解像度は1,366×768ドット。タッチには対応していない。外部出力用としてHDMIとミニD-Sub15ピンを装備している。
インターフェイスは、Ethernet、IEEE 802.11b/g/n、USB 3.0×1、USB 2.0×2、SDカードスロット、92万画素Webカメラ、音声入出力。有線LANがGigabit Ethernet非対応なのとBluetoothがないのは前モデルと同じで残念な部分だ。
サイズは302×200×26~30.4mm(幅×奥行き×高さ)、重量約1.2kg。3セルリチウムイオンを搭載し、バッテリ駆動時間は最大7.1時間となる。税別店頭予想価格は38,000円前後。11.6型のノートPCとしてはかなり安価なモデルとなる。
このようにOSを入れ替えたタイミングで、カラーバリエーションを1つ増やし、HDDの容量を減らしたのが“Late 2014 ASUS「X200MA」”の正体と言えるだろう。OSもHDDも単価が下がる傾向にあるにも関わらず、前モデルと価格に差がないのは円安の関係と見られる。
天板は綺麗なコバルトブルーが使われ鮮やか。そのほかは全てブラックでプラスチックということもあり質感はそれなりだが、チープなわけでもない。オーソドックスな作りとデザインなので、万人に好まれそうだ。
液晶パネル上中央にWebカメラ、正面側面の鋭角な部分とその上のパームレストの部分にステータス表示LEDがある。左側面は電源入力、ミニD-Sub15ピン、HDMI、USB 3.0。右側面はロックポート、Ethernet、USB 2.0×2、音声入出力、SDカードスロット。全て標準サイズのコネクタで、配置もうまくまとめられている。下は特に何もなく、バッテリが着脱できないこともあってスッキリしている。手前左右のスリットはスピーカー用だ。
付属のACアダプタは、サイズ53×53×28mm(同、突起物/ケーブル含まず)、重量122gとコンパクトで持ち運びは容易。ただ、プラグの部分は収納できず、出っ放しになるのはマイナスポイントだ。
11.6型の液晶パネルは、明るさ、コントラスト、発色など普通で価格相応。視野角も広くはないものの、困るほど狭くもない。
キーボードは10キーなしのアイソレーションキーでピッチは約19mm。中央を強く押すと気持ちたわむが許容範囲内だ。昔はこの価格帯だと「ちょっとこれは……」と思ってしまうものが多かったが、本製品は問題ないレベルになっている。タッチパッドは1枚プレートタイプ。後述する「ASUS Smart Gesture」で3本指操作の機能拡張もなかなか使いやすい。
発熱やノイズ、振動に関しては試用した範囲では特に気にならなかった。サウンドはかなりパワーがありビックリ。音量を最大近くにするとプラスチックの筐体が響き出すので、品質はそこそこになってしまうが、細かい音もよく聞こえ、本体だけで音楽も動画も十分楽しめる。
総じてうまくまとまっており、価格を考えるととりたてて不満な部分はない。コストパフォーマンスは高いと言えよう。
メモリ4GBで動きは軽めだが今一歩パワーが欲しい
OSは64bit版のWindows 8.1 with Bing。Windowsが8.1 Updateになって、メモリのフットプリントが小さくなったこともあり、従来モデルではギリギリ動くというレベルだったのが、それなりに動くようになっている。
初期起動時のスタート画面は2画面。ASUSアプリ以降がプリインストールとなる。ここは全てWindowsストアアプリだ。デスクトップは壁紙が変更され、ごみ箱1つとシンプル(ただしタスクバーに若干ピン止めされているアプリがある)。
なお、「ペンとタッチ」が2タッチポイントでのタッチ(制限あり)のサポートとなっているが、これは液晶パネルがタッチ対応なのではなく、「ASUS On-Screen Display」を有効にするとこの表示となる。
HDDは5,400rpm/500GB/8MBの「WDC WD5000LPVX」。C:ドライブとD:ドライブの2パーティション構成で、186GBと258GBが割り当てられている。C:ドライブの空きは167GB。ネットワークはEthernet、Wi-Fi共にRealtek製が使われている。
プリインストールソフトウェアは、Windowsストアアプリは、「ASUS WebStorage」、「AudioWizard」、「Flipboard」、「Fresh Paint」、「LINE」、「Music Maker Jam」、「NAVTIME」、「Twitter」、「Zinio Reader」など。余談になるが、アプリ画面がピッタリ3画面と言うのは少し珍しい。
Windowsストアアプリではないが、タッチパッドのコントローラである「ASUS Smart Gesture」で3本指の操作をオンにすると、“上にスワイプ”で掲載したような画面になり、慣れると使いやすいかも知れない。このほかは、左右スワイプでページナビ、下にスワイプでデスクトップの表示となる。
デスクトップアプリは、「ASUS Install」、「ASUS Live Update」、「ASUS On-Screen Display」、「eManual」、「Splendid Utility」、「USB Charger Plus」、「Web Storage」、「WinFlash」、「i-フィルター6.0、Kingsoft Office」、「マカフィーリブセーフ」、IntelやRealtekのツールなどが入っている。なお、KINGSOFT Office 2013 Standardはマルチライセンス対応になっている。
10月に「TransBook Flip TP550LA」の記事を掲載したが、Windowsストアアプリとともにほぼ同じ内容だ。「Splendid Utility」はかなり前から同社のPCにプリインストールされ、昔はもっとメタリックっぽいデザインだったが、最近のバージョンではご覧のようにシンプルになってきた。
ベンチマークテストは「winsat formal」コマンド。バッテリ駆動時間テストはBBench。またCrystalMarkの結果も掲載した(今回は2コア2スレッドと条件的には問題ない)。
PCMark 8 バージョン2は、インストール時「オブジェクトのデジタル署名が検証されませんでした。」とエラーとなりインストールできなかったため計測していない。「winsat formal」の結果からも分かるように、元々高速なシステムでは無いため特に問題ではないだろう。
winsat formalの結果は、総合 4.1。プロセッサ 4.9、メモリ 5.9、グラフィックス 4.1、ゲーム用グラフィックス 4.1、プライマリハードディスク 5.9。CrystalMarkは、ALU 16201、FPU 13599、MEM 17392、HDD 13212、GDI 4981、D2D 3279、OGL 3260。メモリだけ若干速いものの、他はCore iと比較するとかなり劣る。価格なりと言うところで、あと一歩パワーが欲しい。
BBenchは、省電力、バックライト最小、キーストローク出力/オン、Web巡回/オン、Wi-Fi/オンでの結果だ。バッテリの残5%で22,489秒/6.2時間。仕様上の最大7.1時間を約1時間下回ったが、このクラスであれば妥当だと思われる。
以上のようにASUS「X200MA」は、11.6型HD解像度の液晶ディスプレイ、Celeron N2830、メモリ4GB、HDD 500GBを搭載する、重量約1.2kgのモバイルノートPCだ。Gigabit EthernetとBluetoothに非対応なのは残念だが、USB 3.0やHDMI出力など一通りのインターフェイスを備えて、税別店頭予想価格が38,000円前後はかなり安い。
CPUパワーや質感、パネルのクオリティは価格並だが、タブレットではなく、安価で気楽に持ち歩けるノートPCを探しているユーザーにお勧めしたい。