西川和久の不定期コラム
エプソンダイレクト「Endeavor Pro8100」
~連載史上最強8コア/16スレッド+Quadro K2000D/2GBデスクトップPC!
(2014/11/18 11:05)
エプソンダイレクトは11月18日、フラッグシップモデルの「Endeavor Pro8100」を発表した。Haswell-Eを搭載し、8コア/16スレッド、最大64GBのメモリを搭載可能なモンスターマシンだ。一足早く編集部から試作機が送れらてきたので、試用レポートをお届けしたい。連載史上最強のプロセッサに興味津々だ。
Haswell-E Core i7搭載で8コア/16スレッド
今回発表された「Endeavor Pro8100」は、ケースに47Lタイプを使用している「Endeavor Pro8000」の後継機となる。最大の特徴はHaswell-EのCore i7+Intel X99になったことだ。
BTOでさまざまなパーツを選択可能となっており、プロセッサに関しては、Core i7-5960X(3.0GHz/Turbo Boost時3.5GHz、8コア/16スレッド)、Core i7-5930K(3.5GHz/同3.7GHz、6コア/12スレッド)、Core i7-5820K(3.3GHz/同3.6GHz、6コア/12スレッド)の3種類。
メモリはPC4-2133で4GB(4GB×1)、8GB(4GB×2)、16GB(8GB×2)、32GB(8GB×4)、64GB(8GB×8)。64GBまで搭載可能なのが凄まじい。
ビデオカードは、Radeon R7 240(2GB)、GeForce GTX 750(1GB)/GTX 760(2GB)/GTX 770(4GB)、Quadro K600(1GB)/K2000D(2GB)/K4000(3GB)。Radeon、GeForce、Quadro系と3種類用意されている。
ストレージはM2 SSD 128/256/512GB、HDD前面アクセスベイに500GB/1TB/2TB(7,200rpm)/4TB(5,400rpm)を最大4基。Intelスマートレスポンス・テクノロジーに対応したHDD 1TB+SSD 64GBや、Intelラピッド・ストレージ・テクノロジーを使ったRAIDO 0/1/10の構成も可能だ。
どのパーツや構成を見ても強力なものばかり。手元に届いたマシンの仕様は以下の通り。
エプソンダイレクト「Endeavor Pro8100」の仕様 | |
---|---|
CPU | Core i7-5960X(8コア16スレッド、3.0GHz、Turbo Boost:3.5GHz、キャッシュ20MB、TDP 140W) |
チップセット | Intel X99 |
メモリ | 8GB×4/DDR4-2133(最大64GB/8スロット空き4) |
ストレージ | SSD 256GB(M.2)、HDD 1TB(1TB×2/RAID 1) |
光学ドライブ | BDドライブ |
OS | Windows 8.1(64bit) |
ビデオカード | Quadro K2000D(2GB)、Mini DisplayProt、DVI×2 |
ネットワーク | Gigabit Ethernet |
その他 | USB 3.0×10(前面×2、背面×8)、USB 2.0×3(前面×1、背面×2)、PS/2、マルチカードリーダ、音声入出力(+S/PDIF) |
拡張スロット | PCI Express x16×2(1つ空き)、同x8×2(全て空き)、同x1×2(全て空き) |
ストレージベイ | 5インチオープンベイ×3(空2)、3.5インチオープン×1(空0)、HDD前面アクセス×1(×4/空2) |
電源 | 650W電源 |
サイズ/重量 | 217×500×471mm(幅×奥行き×高さ)/約17.5kg |
価格 | 464,940円(税込) |
プロセッサは8コア16スレッドでクロックは3.0GHzから最大3.5GHz、キャッシュ20MB、TDP 140WのCore i7-5960X。Haswell-Eアーキテクチャとなる。この連載で8コア16スレッドは初登場だ。チップセットはIntel X99。BIOSでオーバークロックの設定は可能だが、動作保証外となっている。
メモリはDDR4-2133で8GB×4の計32GB。この状態で空きスロットが4つあり、8GB×4を加えることによって最大64GBにすることができる。4チャネルに対応し最大メモリ帯域幅は68GB/sec。一般的なDDR3-1600/2チャネルでは25.6GB/secなので、ここだけでも約2.7倍の差がある。
ストレージは、M.2 SSD 256GBと、7,200rpmの1TB HDDを2基使いRAID 1(ミラー)構成としている。光学ドライブはBDドライブを搭載。
ビデオカードはKeplerアーキテクチャでワークステーション用のQuadro K2000D(2GB)。ミドルレンジに相当し、30bitカラー、10/12bitグレースケール、Mini DisplayProtとDVI×2の3画面同時出力、DisplayPort 1.2によるデイジーチェーンで1ポートから最大4画面出力に対応している。
そのほかのインターフェイスは、Gigabit Ethernet、USB 3.0×10(前面×2、背面×8)、USB 2.0×3(前面×1、背面×2)、PS/2、マルチカードリーダ、音声入出力(+S/PDF)。前モデルからの変更点はUSB 2.0とPS/2の数が減り、USB 3.0が大幅に増えているところ。
拡張スロットは、PCI Express x16×2(1つ空き)、同x8×2(全て空き)、同x1×2(全て空き)。ただしプロセッサがCore i7-5820K搭載時は、PCI Express x16×1、同x8×2、同x4×1、同x1×2と、PCI Express x16が1つ減り、同x4が1つ増える。
ストレージベイは、5インチオープンベイ×3(空2)、3.5インチオープン×1(空0)、HDD(3.5インチシャドウ)前面アクセスベイ×1(×4/空2)。
電源は650W。BTOで1,000Wも選択可能だ。サイズは217×500×471mm(幅×奥行き×高さ)、重量約17.5kg。価格はこの構成で464,940円(税込)と超ヘビー級だが、最新鋭で高速なパーツばかりなので納得できる。
参考までに650W電源を搭載した基本構成、Core i7-5820K、Radeon R7 240、4GB、500GB(HDD)、DVD-ROM(再生ソフト付)、キーボードとマウスの構成では、214,920円(税込)となる。
以前からEndeavor Proシリーズのケースは扱いやすかったが、今回もHDD前面アクセスベイやツールフリー構造となっており、内部のいろいろな部分をドライバーいらずでメンテナンス可能だ。
前面は、BDドライブ、電源スイッチ、音声入出力、USB 2.0、USB 3.0×2。“Pro8100”と書かれたパネルの下(裏)にマルチカードリーダ。HDDを4つを内蔵できるHDD前面アクセスベイは、Endeavorと書かれているパネルの下(裏)にレバーがあり、それを引くと簡単に開く。
背面は、主電源スイッチ、USB 2.0×2、PS/2、USB 3.0×8、Gigabit Ethernet、音声入出力(S/PDIFあり)。拡張スロットの部分にQuadro K2000DのMini DisplayProt、DVI×2がある。
先に書いた通りUSBのポートは多過ぎると感じるほど充実している。PCI Express、内部ベイ、HDD前面アクセスベイなどにまだ空きがあり、拡張性に関しては十分余裕がある。電源も650Wなので大丈夫だ。
ファンは、背面、電源、CPU、GPUの計4つ。パーツ構成から想像して“うるさいだろう”と覚悟していたところ、意外とノイズは少なく、小さく低い音で聞こえる程度だった。これなら机の上(ディスプレイの横)に設置しても、余程静かな場所でない限り、気にならないレベルだと思われる。(時期もあるだろうが)試用した範囲では、さほどケースも暖かくならなかった。ただ、低周波の振動は若干ある。
驚愕のベンチマークテスト結果
OSは64bit版のWindows 8.1 Update。初期起動時のスタート画面は、「楽天gateway」以降がプリインストール。デスクトップはお馴染みの壁紙や、「PCお役立ちナビ」など、同社製アプリへのショートカットが若干並んでいる。16スレッドということで、リソースモニターを表示してみたが、CPU 0~CPU 15まで並んでいる画面は圧巻だ。
ストレージは、M.2 SSDが256GBの「LITEON IT L8T-256L9G」。仕様上は、シーケンシャルリード/ライトが520MB/sec、440MB/sec。4Kランダムリードライトが85K/75K IOPSだ。C:ドライブのみの1パーティションで約217.8GBが割り当てられ、空き170GB。D:ドライブはIntelラピッド・ストレージ・テクノロジーを使ったRAID 1(ミラー)になっており、ドライブ自体は7,200rpmで1TBの「Seagate ST1000DM003」2基を搭載している。
BDドライブは「PIONEER BD-RW BDR-209M」、Gigabit EthernetはIntel製、サウンドはRealtek製だ。Wi-FiやBluetoothには対応していない。
プリインストールソフトウェアは、Windowsストアアプリは、「楽天gateway」、「NAVITIME」、「Yahoo!天気・災害」、「Bing翻訳」などオマケ程度。本機の特性を考えれば特に問題ないだろう。
デスクトップアプリは、「CyberLink PowerDVD 10」、「Nero(Nero ControlCenter/Nero Express/Nero Kwik Media)」、「3D Visionフォトビューアー」、「3D Vision プレビューパック 1」、「PCお役立ちナビ」、「おすすめアプリケーションのインストール」、「Hotkey Setup」、IntelとNVIDIAのツールなど、必要最小限といったところ。
ベンチマークテストは「winsat formal」コマンド、「PCMark 8 v2」、「3DMark」、「CrystalMark」(8コア16スレッドなので条件的には問題があり参考まで)、C:ドライブとD:ドライブの「CrystalDiskMark」の値を掲載する。
「winsat formal」の結果は、総合 7.3。プロセッサ 8.8、メモリ 8.8、グラフィックス 7.3、ゲーム用グラフィックス 7.3、プライマリハードディスク 8.2。
「PCMark 8 v2」は3797。「3DMark」はIce Storm 101456、Cloud Gate 13763、Fire Strike 1891。CrystalMarkは、ALU 84528、FPU 75106、MEM 158667、HDD 40961、GDI 20271、D2D 13006、OGL 128097。そのほかは画像を参照して欲しい。
winsat formalはグラフィックス以外が“8”以上というさすがのスコア。また、CrystalMarkのMEMが15万8千強と異様に高い。これはDDR4-2133で4チャネルの効果だろう。グラフィックスに関しては、Keplerアーキテクチャでミドルレンジとはいえ、GeForceとは特性が異なり、ゲーム系はそれほどスコアは高くない。ただし、OGL(OpenGL)は12万超えと非常に高くなっている。
以上のようにエプソンダイレクト「Endeavor Pro8100」は、Haswell-EのCore i7を搭載したミドルタワーデスクトップPCだ。BTOでさまざまな構成が選択でき、用途や予算に応じて組み上げられるのは魅力的だ。HDD前面アクセスやツールフリー構造のケースの扱いやすく、拡張性も十分。内容の割にノイズや発熱も少ない。
特に欠点らしい欠点はなく、価格に糸目を付けず最強の1台を求めているユーザーにお勧めしたい製品と言えよう。