西川和久の不定期コラム

NECパーソナルコンピュータ「VALUESTAR L VL750/MSW」

~Haswellを搭載し、新筐体を採用したスリムデスクトップPC

 NECパーソナルコンピュータは5月14日、2013年PC夏モデルを発表した。ノートPCが「LaVie L/S/E/Z」、デスクトップPCが「VALUESTAR L/N」というラインナップの中、第4世代Coreプロセッサを搭載したVALUESTAR Lが編集部から送られて来たので、試用レポートをお届けする。

Haswellを搭載したスリムデスクトップPC

 新しいVALUESTAR Lシリーズは、上位モデルの「VL750/MS」と下位モデルの「VL150/MS」と2モデルある。

 下位モデルは、筐体が前モデルと変わらず、プロセッサは第3世代のCore i3-3240/Intel H61 Expressチップセット。今回編集部から届いたのは上位モデル。第4世代のCore i7を搭載し、筐体も一新。完全にリニューアルされた形でのモデルチェンジとなる。余談だが、下位モデルに付属する1,440×900ドットノングレア液晶ディスプレイのバックライトがLEDになり、これによって同社から販売されているPCに搭載もしくは付属する液晶ディスプレイは全てLEDバックライトとなった。主な仕様は以下の通り。

NEC「VALUESTAR L VL750/MSW」の仕様
CPUCore i7-4770(4コア/8スレッド、クロック3.4GHz/Turbo Boost 3.9GHz、キャッシュ8MB、TDP 84W)
チップセットIntel B85 Express
メモリ8GB/4GB×2(DDR3 SDRAM/DIMM PC3-12800)、スロット4(空き2)
HDD3TB(7,200rpm)
光学ドライブBDドライブ
OSWindows 8(64bit)
グラフィックスIntel HD Graphics 4600/DisplayPort×1、ミニD-Sub15ピン×1
付属ディスプレイ23型IPS式フルHD(1,920×1,080ドット)、DVI-D/HDMI/ミニD-Sub15ピン、ヘッドフォン出力、ステレオラインイン、内蔵スピーカー2W+2W
ネットワークGigabit Ethernet
その他USB 3.0×4、USB 2.0×4、PS/2、シリアル、メモリーカードスロット、音声入出力
拡張スロットPCI Express x16×1(空き1)、同x1×2(空き2)、PCI(ロープロファイル)×1(空き1)
ストレージベイ3.5型HDD×1(空0)、5.25型×1(空0)
サイズ・重量97×405×333mm(幅×奥行き×高さ)/約6.7kg
店頭予想価格215,000円前後

 プロセッサは第4世代のCore i7-4770。4コア8スレッドでクロックは3.4GHz。Turbo Boost時3.9GHzまで上昇する。キャッシュは8MB。TDPは84Wだ。

 チップセットはIntel B85 Express。Haswellに対応したチップセットは、Z87/H87/B85/Q87/Q85 Expressとあり、このB85はビジネス向けのローエンドに位置付けられる。

 メモリスロットは4つあり、4GB×2で計8GB実装済みだ。空きスロットが2つあるので、簡単に容量アップも可能となっている。OSは64bit版Windows 8を搭載。ストレージは3TBのHDDと、光学ドライブはBDドライブを装備する。

 グラフィックスは、プロセッサ内蔵Intel HD Graphics 4600。Haswellになってグラフィックス性能が向上していると伝えられているが、この4600はGT2グループに属し、Ivy Bridgeの16エンジンから20エンジンに強化された。

 デスクトップ用のプロセッサの場合、後付けで高性能なGPUを追加できるので、この点はあまり気にする必要はないだろう。もっとも、ビジネス用途であれば、性能で特に問題になることはないと言っていい。出力はDisplayPortとミニD-Sub15ピン。またDisplayPort→DVI-Dの変換コネクタも付属する。

 セットになっている液晶ディスプレイは、23型IPS式で解像度はフルHD(1,920×1,080ドット)となる。入力はDVI-D/HDMI/ミニD-Sub15ピンの3系統に加え、ステレオライン端子。出力はヘッドフォン端子を備え、2W+2Wスピーカーも内蔵。

 その他のインターフェイスは、Gigabit Ethernet、USB 3.0×4、USB 2.0×4、PS/2、シリアル、メモリカードスロット、音声入出力。今時シリアルポートがあるのは珍しい。

 拡張スロットは、PCI Express x16×1(空き1)、同x1×2(空き2)、PCI(ロープロファイル)×1(空き1)と全部空いている。逆にドライブベイは、3.5/5.25インチ共も空きはない。

 サイズは97×405×333mm(幅×奥行き×高さ)、重量約6.7kgと、結構コンパクトだ。縦置き用のスタンドも付属する。

 価格は、23型液晶ディスプレイ、Office Home and Business 2013、キーボードとマウスが付属して、店頭予想価格は215,000円前後。国産とは言え、少し高価な気もするが、いかがだろうか。

前面。幅97mmと結構スリム。上側左のパネルを開くと光学ドライブ、右側は各種インターフェイスが収まっている
パネルを開いたところ。メモリカードスロット、USB 3.0×2、音声入出力
背面。シリアルポート、ミニD-Sub15ピン、PS/2×2、DisplayPort、USB 3.0×2、USB 2.0×4、Ethernet、音声入出力
左側面。ファン用のメッシュなどはない。後ろのネジ2本外すと開けることができる
内部(引き)。3.5インチと5.25インチベイは使用され、空きなし。拡張スロットは全て空いている
内部(CPU周辺)。CPUの右側にメモリスロットが見える
電源ユニットは240W出力で、80PLUS BROZNEマークがある
付属品。USBマウス、PS/2キーボード、DisplayPort→DVI-D変換ケーブル
縦置きスタンドを付けて、斜めから。少し斜めに傾くので扱いやすそうだ

 筐体は黒と白を基調とし非常にシンプル。上部左側に光学ドライブ、右側にメモリカードスロット、USB 3.0×1、音声入出力、USB 3.0×1。どちらもパネルがあるので、普段は露出しない。

 背面は、シリアルポート、ミニD-Sub15ピン、PS/2×2、DisplayPort、USB 3.0×2、USB 2.0×4、Ethernet、音声入出力。筐体左側に放熱用のメッシュはなく、背面と前面で処理されている。

 電源は80PLUS BROZNE対応の240W品を搭載。あまりパワーがないものの、この中に収まる範囲で増設する場合は、容量不足になることはないと思われる。

 付属のキーボードは、他メーカーと比較するとグレードが高くキータッチや質感は良い。マウスはWindows 8固有の横スクロールやチャーム呼び出し、起動中のアプリ一覧表示などに対応している。

 試用した範囲で、振動や発熱、ノイズに関しては、十分許容範囲内に収まっている。特に机の上に置く場合、すぐ近くにあるため、少しでもファンの音などがすると耳障りになるが、そんな心配も無用だ。

 セットになってる液晶ディスプレイは、IPS式で視野角が広く、光沢タイプの割りに映り込みが抑えられている。今回掲載した前面写真に、あえて何も映し出していないのはこの関係だ。また色乗りが良く、コントラストも高い。扉の写真だけでもその良さが分かるのではないだろうか。

 高さ調整とスイベルには非対応、チルトのみの対応となる。台座はワンタッチで着脱でき扱いやすい。簡単なケーブルマネージメントも装備し、複数のケーブルをスッキリまとめることもできる。

 ただできれば標準でHDMIケーブルを付属し、オーディオ信号も1本のケーブルで済ましてもらいたかった。折角2W+2Wのスピーカーを内蔵しているだけに、オーディオ系が別入力になるのはもったいない。

液晶前面。光沢パネルだが映り込みは少ない。右下に[電源]、[INPUT/RESET]、[+/-]、[SELECT]のボタンが並ぶ
背面。左から電源コネクタ、音声入力、HDMI、DVI-D、ミニD-Sub15ピン。HDMIが空きとなる。スタンドにケーブルマネージメントがある
写真の位置が最大チルト角。スイベルには非対応。スタンドのボタンを押すとワンタッチで外れる。左側にヘッドフォン端子

プロセッサとメモリが高速でアンバランスだが十分以上の作動速度

 OSは64bit版Windows 8。メモリを8GB搭載しているので、プロセッサ内蔵グラフィックスと併用しても、一般的な処理であればメモリ不足になることはない。

 起動時のスタート画面は23型と言うこともあり、画面1枚に収まっている。デスクトップは、ナビ系ショートカットが左に、おすすめメニューNaviが右にあるのは、同社お馴染みのパターンだ。

 HDDは、3TB/SATA 6Gbps/7,200rpm/64MBのST3000DM001を搭載。C:ドライブとD:ドライブの2パーティション構成だが、実質はC:ドライブのみが使用可能。約2.7TB割当てられ、初期起動時、空き2.61TBとなっている。

 光学ドライブはHL-DT-ST BD-RE BH40N。Gigabit EthernetはIntel製だ。チップセットがIntel B85 Expressと言うこともあり、USBコントローラはIntel 8 Series/C220 Series USB EHCIの文字が見える。

スタート画面。1枚の画面に収まっている。NECアプリ以降がプリインストールアプリ
起動時のデスクトップ。左のショートカットの多くはナビ系。右には同社独特の「おすすめメニューNavi」
デバイスマネージャー/主要なデバイス。HDDは3TB/SATA 6Gbps/7,200rpm/64MBのST3000DM001。光学ドライブはHL-DT-ST BD-RE BH40N。Gigabit EthernetはIntel製だ
HDDのパーティション。C:ドライブとD:ドライブの2パーティション。実質はC:ドライブのみで約2.7TB割当てられている

 プリインストールのアプリケーションは、Windowsストアアプリは、music.jp STORE、NAVITIME、Skype、Smart Catalog、Yahoo!オークション、クックパッド、コンテンツナビ、じゃらん、シュフーチラシアプリ、セキュリティ脅威マップ、ついっぷるトレンド、動画ナビ2013年夏、動画ナビ Office編、ホットペッパーグルメ、楽天gatewayなど。スタンダードなアプリに加え、同社製の動画ナビ系が目新しいところ。

アプリ画面1
アプリ画面2
コンテンツナビ
動画ナビ2013年夏
動画ナビ Office編
シュフーチラシアプリ

 デスクトップアプリは、Office Home and Business 2013、SmartVision PLAYER テレビを見る、Corel PaintShop Pro X4、CyberLink MediaShow、CyberLink PowerDVD、DigiBookBrowser、ECOモード設定ツール、HOMEリンクマネージャ、Roxio Creator LJ、Smart Update、ウィルスバスター クラウド、おすすめメニューNavi、おてがるバックアップ、ソフト&サポートナビゲーター、筆ぐるめ 20、ワンタッチスタートボタンの設定など。

 オフィス系、編集系、ブラウザ系、各種設定系など、幅広く入っている。「××ナビ」と名の付くアプリが多いのが同社の特徴だ。

ECOモードの設定
NEC Smart Update
ソフト&サポートナビゲーター

 ベンチマークテストはWindows エクスペリエンス インデックス、PCMark 7の結果を見たい。CrystalMarkの結果も掲載した(4コア8スレッドなので条件的に問題があり参考まで)。

 Windows エクスペリエンス インデックスは、総合 4.8。プロセッサ 8.1、メモリ 8.1、グラフィックス 4.8、ゲーム用グラフィックス 4.9、プライマリハードディスク 5.9。PCMark 7は2762 PCMarks。CrystalMarkは、ALU 89167、FPU 80779、MEM 84581、HDD 18129、GDI 24069、D2D 5594、OGL 2302。

 どのテストもプロセッサとメモリがほかと比較して速い。グラフィックスとストレージがアンバランスで足を引っ張る形になっているが、実際操作したところ十分に高速だ。一般的な処理ならストレスなく運用できる。

Windows エクスペリエンス インデックス(Windows 8から最大9.9へ変更)。総合 4.8。プロセッサ 8.1、メモリ 8.1、グラフィックス 4.8、ゲーム用グラフィックス 4.9、プライマリハードディスク 5.9
PCMark 7。2762 PCMarks
CrystalMark。ALU 89167、FPU 80779、MEM 84581、HDD 18129、GDI 24069、D2D 5594、OGL 2302

 以上のようにVALUESTAR L VL750/MSWは、第4世代のCore i7プロセッサを搭載したコンパクトなデスクトップPCだ。性能も、各インターフェイスも十分なものが一通り揃っている。HDDは3TBと大容量、メモリは8GBあるので通常の処理なら問題なくこなせる。加えて液晶ディスプレイのクオリティも上々で、全体的に気になる部分はない。

 国内メーカー製で、Office Home and Business 2013と液晶ディスプレイもセットになっているデスクトップPCを探しているユーザーにとって候補になりえる1台と言えよう。

(西川 和久http://www.iwh12.jp/blog/