西川和久の不定期コラム

80mm角しかないのにRyzen 7搭載の高性能なミニPC!「MINISFORUM EM780」

EM780

 このコラムでは、これまでMINISFORUMのミニPCはいろいろレビューしたが、今回は激コンパクトなのにハイパフォーマスという「EM780」が編集部から送られてきたので試用レポートをお届けしたい。

Ryzen 7 7840U搭載で超コンパクトなミニPC!

 MINISFORUMのミニPCは、これまでいくつもご紹介してきた。総じてよくできたミニPCばかりだったが、今回はパワーとコンパクトさを両立させた、ちょっと驚くべきミニPCとなる。

 と言うのも、少し前に扱った虎のエッチングパネルが印象的な「UM780 XTX」だと、本体サイズが182×159×120mmで重量745g。対してEM780は、Ryzen 7 7840U/32GB/1TBが入っているにも関わらず、サイズ80×80×43mm、重量239g……と、とんでもなく小さい。

 これまでもこのような小さいミニPCはあるにはあったものの、非力なプロセッサ、メモリ/ストレージも控えめなど、メインマシンにするには厳しいものばかり。しかし本機はベンチマークテストの結果からも分かるようにCoreやRyzenプロセッサを搭載したミニPCと同レベルなのだ。それがこのサイズに詰まっているのだから驚くばかり。主な仕様は以下の通り。

MINISFORUM「EM780」の仕様
プロセッサRyzen 7 7840U(8コア16スレッド/標準クロック3.3GHz/最大ブーストクロック5.1GHz/キャッシュ L2 8MB, L3 16MB/TDP 28W/cTDP15-30W)
メモリ32GB/LPDDR5‐6400MHz
ストレージM.2 2230 PCIe4.0 SSD 512GB or 1TB
OSWindows 11 Home(23H2)
グラフィックスRadeon 780M(12コア/2,700MHz)/HDMI 2.1 (4K@144Hz)、USB4 (8K@60Hz)×2
ネットワークWi-Fi 6E、Bluetooth 5.3、GbE(Type-Cアダプタ)
インターフェイスUSB 4×2、USB 3.0×3、microSDカードスロット、3.5mmジャック
電源65W GaN Type-C
サイズ/重量80×80×43mm(幅✕奥行き✕高さ)、(実測)239g
価格10万3,980円(1TB)、9万9,180円(512GB)

 プロセッサはRyzen 7 7840U。8コア16スレッド、基準クロック3.3GHz、最大ブーストクロック5.1GHz。キャッシュはL2 8MB/L3 16MB。TDPは28W(cTDP15-30W)。SKUの7xxxからも分かるように、現在の主力どころの1つとなる。

 メモリはLPDDR5‐6400MHzで32GB。オンボード固定で増設できないものの、この容量であれば特に必要ないだろう。ストレージは、M.2 2230 PCIe4.0 SSDの512GBもしくは1TB。OSはWindows 11 Home。23H2だったので、この範囲でWindows Updateを適応し評価している。本連載で23H2搭載は初となる。

 グラフィックスはプロセッサ内蔵のRadeon 780M。12コア/2,700MHzで、出力としてHDMI 2.1 (4K@144Hz)、USB4 (8K@60Hz)×2を装備。

 ネットワークはWi-Fi 6E、Bluetooth 5.3。加えてUSB4経由のGigabit Ethernetアダプタを同梱。そのほかのインターフェイスはUSB 4×2、USB 3.0×3、microSDカードスロット、3.5mmジャック。USB 4に関してはどちらもPD対応。付属品のACアダプタが65W(GaN)なので、同出力であればほかのACアダプタでも給電可能だ。

そして何と言っても最大の特徴はこれだけのものが入っているにも関わらず、サイズ80×80×43mm(幅✕奥行き✕高さ)、重量239g(実測)と、ミニPCの中でも超小型。Celeronなど下位のプロセッサが入っているような雰囲気を持つ。

 価格は1TBモデルで10万3,980円(1TB)、512GBモデルで9万9,180円。これだけ小さいと、ちょっと損した感じがしないでもないが(笑)、性能を考えると納得の価格ではないだろうか。

前面。USB4、3.5mmジャック、電源ボタン
背面。HDMI、USB 3.0×2、USB4
右側面。ロックポート、microSDスロット、USB 3.0。左側面はスリットのみ
裏面とiPhone 13 Pro。いつもミニPCの時に比較しているが、とんでもなく小さいのが分かる
付属品は65W GaN Type-C ACアダプタ、Type-C/Type-Cケーブル、HDMIケーブル、Type-C/GbE+USB4アダプタ
BIOS / Menu。起動時[DEL]キーで表示。いったんこのメニューが出る
BIOS / Main。Setupを選ぶとBIOS画面へ
重量は実測でたった239g
いつものキーボード付きモバイルモニターへ接続。USB4があるのでケーブル1本で接続可能

 筐体は扉の写真からも分かるように手のひらサイズ。重量も実測でたった239g。電源はPD 65Wで供給可能なので、行く先々でモニター/HID/ACアダプタさえあれば、持ち運んで、どこでも作業可能な環境を作ることができる。このサイズ感だと下手するとカバンに入れていることも忘れそうな感じだ。

 前面にUSB4、3.5mmジャック、電源ボタン。背面にHDMI、USB 3.0×2、USB4。右側面にロックポート、microSDスロット、USB 3.0×1(左側面はスリットのみ)を配置。

 付属品は、65W GaN Type-C ACアダプタ、Type-C/Type-Cケーブル、HDMIケーブル、Type-C/GbE+USB4アダプタ。先に書いたようにPD 65WであればほかのACアダプタでも電源供給可能。

 BIOSは起動時[DEL]キーで表示。内部は裏パネルのゴム足4つと、その下にあるネジを外せばパネルが開きそうだったものの、ちょうどパネルの境目に品番やクオリティパスのシールが被っており、それを剥がさないと開かないので今回は見送った。

 同製品のプロセッサ違い(Ryzen 7 6800U)の内部は以下にあるので、興味のある方は合わせてご覧いただきたい。

 代わりにと言ってはなんだが、Galaxy Z Flip4との比較写真も掲載した。ご覧のようにフットプリントはほぼ同じ。そのコンパクトさが伺える。

全体。Galaxy Z Flip4とフットプリントがほとんど同じと言うコンパクトさ

 ノイズや発熱は、ベンチマークテストなどプロセッサに負荷をかけるとあるにはあるが、ノイズは本体に耳を近付ければ分かるレベル。発熱は少し暖かくなる程度で、大丈夫か心配になる温度ではなかった。ほかも含め完成度は非常に高い。

サイズからは信じられないハイパフォーマンス!

 初期起動時のデスクトップは特にプリインストールなどのアプリはなく、Windows 11 Home標準のまま。このサイズからは信じられないパフォーマンスで何をしても快適に動作。これはちょっと欲しいかも!? 状態だ(笑)。

 SSDは1TBのKINGSTON「OM3PGP41024P-A0」。転送速度はここによると読み取り/書き込み速度最大4,540MB/sと4,230MB/s。CrystalDiskMarkの結果もほぼそのまま出ている。

 C:ドライブのみの1パーティションで約952GB割り当てられ空き910GB。この手のミニPCとしては珍しくBitLockerで暗号化されている。Wi-FiはKiller Wi-Fi 6E AX1675w 160MHz、BluetoothはIntel製、アダプタのGbEはRealtek製。

初期起動時のデスクトップはWindows 11 Home標準。Buildが23H2
デバイスマネージャ/主要なデバイス。SSDは1TBのKINGSTON「OM3PGP41024P-A0」。Wi-FiはKiller Wi-Fi 6E AX1675w 160MHz、BluetoothはIntel製、アダプタのGbEはRealtek
ストレージのパーティション。C:ドライブのみの1パーティションで約952GB割り当てられている。BitLockerで暗号化

 ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、CINEBENCH R23、CrystalDiskMarkを使用した。

 各スコアからも分かるように、普段評価しているIntel Core iやAMD Ryzen搭載ミニPCと変わりないパフォーマンスを叩き出す。

 少し前まで手のひらサイズのミニPCと言えば、小さいだけでプロセッサはCeleronなど、まぁ動くのは動くよね……的なものだったが、本機は一般的なミニPCと何ら変わらず。これは筆者も驚いた次第。

PCMark 10 v2.1.2662
PCMark 10 Score6,292
Essentials9,879
App Start-up Score12,800
Video Conferencing Score8,121
Web Browsing Score9,276
Productivity8,675
Spreadsheets Score10,912
Writing Score6,897
Digital Content Creation7,887
Photo Editing Score10,551
Rendering and Visualization Score8,279
Video Editting Score5,617
PCMark 8 v2.8.704
Home Accelarated 3.05,024
Creative Accelarated 3.0N/A
Work Accelarated 2.05,217
Storage5,012
3DMark v2.28.8217
Time Spy2,836
Fire Strike Ultra1,953
Fire Strike Extreme3,597
Fire Strike6,871
Sky Diver22,212
Cloud Gate28,184
Ice Storm Extreme135,536
Ice Storm162,612
Cinebench R23
CPU13,269(4位)
CPU(Single Core)1,379(3位)
CrystalDiskMark 6.0.0
Q32T1 シーケンシャルリード4544.950 MB/s
Q32T1 シーケンシャルライト4697.026 MB/s
4K Q8T8 ランダムリード1345.902 MB/s
4K Q8T8 ランダムライト351.514 MB/s
4K Q32T1 ランダムリード396.118 MB/s
4K Q32T1 ランダムライト539.020 MB/s
4K Q1T1 ランダムリード41.870 MB/s
4K Q1T1 ランダムライト95.276 MB/s

 以上のようにMINISFORUM「EM780」は、サイズ80×80×43mm、重量239gと言う非常にコンパクトな筐体へRyzen 7 7840U/32GB/1TBを詰め込んだある意味小さな巨人的PCだ。ヘビーなゲーム以外なら何の苦もなく動作する。

 欠点らしい欠点もなく、この記事を読んでグッと来た人に是非試して欲しい逸品と言えよう。

【29日8時訂正】記事初出時、重量が誤っておりました。お詫びして訂正します。