PC短評

Ryzen 7 6800U搭載で80mm角、アダプタ/ケーブル込みで457g!「MINISFORUM EM680」

「MINISFORUM EM680」

 MINISFORUMから80mm角ほどの超小型PC「Mercury Series」が登場した。6月5日時点で公式サイトには何も情報がなかったが、先日のCOMPUTEX TAIPEIで実機も展示され、9日に発表した。Mercury Seriesには、「EM780」と「EM680」の2機種があり、今回は「EM680」の実機をもとに先行レビューしていく。

 「EM680」の本体サイズは約80.5×80.5×44mm(ゴム足含む)、本体重量は約237gで偽りなき手のひらサイズの小型PCだ。「かわいい」とおもわず独り言を言ってしまうほどのサイズ感で眺めていて飽きが来ない。筐体はプラスチック製だが加工精度が高く、通気口のデザインも相まってオモチャ感がしないのも良い。

 付属品はUSB Type-C仕様のACアダプタ、給電用のUSB Type-Cケーブル、HDMIケーブルのほか簡易マニュアルが付属する。このUSB Type-CアダプタはGaN採用で小型。本体と一緒に持ち運んで使うことを前提としているのは間違いない。

MINISFORUMの無駄のないパッケージが好きだ
付属品はACアダプタ、USB Type-Cケーブル、HDMIケーブル、簡易マニュアル
ACアダプタはType-Cポートでプラグ部分が折りたたみできる
GaN(窒化ガリウム)仕様、最高出力は20Vの3.25Aで65W
USB Type-Cケーブルの長さは約1m
縦横約80mm各の超小型設計
本体重量は実測値で約237g
付属のACアダプタ、ケーブル類をすべて含めても457g

 今回はMINISFORUMからの公式リリース前にサンプルを受け取っているため実機をもとに仕様を確認している。CPUにはRyzen 7 6800Uプロセッサ、グラフィックスはCPUに統合されたRadeon 680Mが搭載されている。システムメモリはLPDDR5 4GB×4、ストレージはPCIe Gen 4.0×4接続の512GB M.2 SSD(Type 2230)、OSはWindows 11 Proがインストールされている。

 インターフェイスは、前面にコンボジャック、USB4(Type-C)、DMIC、背面にUSB4(Type-C)、USB 3.1(Type-A)×2、HDMI出力、右側面はリセットスイッチ、USB 3.1(Type-A)、microSDカードスロットを備え、無線LANはWi-Fi 6EとなるIEEE 802.11 axとBluetooth 5.2に対応。

前面右からコンボジャック、USB4(Type-C)、DMIC
背面右からUSB4(Type-C)、USB 3.1(Type-A)×2、HDMI出力
右側面はリセットスイッチ、USB 3.1(Type-A)、microSDカードスロット、そしてケンジントンロック
左側面は通気口のみ

 筐体のゴム足を剥がすとネジ4本で固定されていることが分かる。裏蓋の内側にはヒートシンクと冷却用のファンがあり、熱伝導シートを介してM.2 SSDを冷却している。

 さらに分解しようと10分ほど格闘したが、マザーボード基板を引き抜くことができず断念。壊してしまったらPC Watch編集部で正座させられそうなので、そっと元に戻した。

ゴム足の下にネジ4本
裏蓋はヒートシンクとファンでM.2 SSDを冷却
ストレージはKINGSTON OM3PGP4512Q-A0

 メモリはLPDDR5 4GB×4でCPU-Zでは完全な情報を取得することができなかった。ネットワークカードはHWiNFOからMEDIATEK MT7922であることが分かる。

スロット#1から#4までHynix H9JCNNNCP3MLYR-N6E、検索するとこのチップを搭載するMicronモジュールなどがヒットする
ネットワークカードはMediaTek MT7922で最新のWi-Fi 6EとBluetooth 5.2に対応(なお製品情報ではIntel Killer AX1675)

 OSセットアップ後、一部の文字が正しく入力されないことがあるが、これはWindowsのキーボードレイアウトが英語になっている可能性があるため。その場合は設定から「日本語キーボード(106/109キー)」を選択することで解決するだろう。

Windowsのキーボードレイアウトが英語になっている場合は、OSのセットアップ後に設定を変更する必要があるかもしれない
付属する簡易マニュアルに、キーボードレイアウトの変更方法が記載されていた

 CPUは2022年に発表されたモバイル向けのRyzen 7 6800U(TDP:15~28W)を搭載、アーキテクチャはZen3+となる「Rembrandt」だ。リフレッシュ版となる最新のRyzen 7 7735HS(TDP:35~54W)と比較すると、6nmプロセス、8コア16スレッド、L3キャッシュ16MB、また統合されたRDNA2グラフィックスは12のGPUコアで2200MHzのAMD Radeon 680Mを内蔵する点は同じだ。明確に異なるのはベース周波数で500MHz、ブースト周波数は50MHzほどRyzen 7 6800Uの方が低い。サンプルのシステムメモリは4GB×4、ストレージは512GBのM.2 SSD、OSはWindows 11 Pro。

 CPUのレンダリングでパフォーマンスを測定するCinebench R23では、マルチコアは11270、シングルコアは1513、総合的なパフォーマンスを計測するPCMark10ではスコア5584となっており、動画の編集や高解像度の画像編集には向かないが、LightroomやPhotoshopといったソフトウェアから一般的に使用されるオフィスアプリケーションで十分動作する。

Cinebench R23のマルチコアは11270、シングルコアは1513
PCMARK10のスコアは5584、一般的なオフィスアプリケーションなら軽快な動作が期待できる
CrystalDiskMarkはリード4,189MB/s、ライト2,173MB/s、調べるまでもなく分かっていたけどやっぱり速かった

 GPUのパフォーマンスを測定する3DMARK Night Raidは15998、Wild Lifeは11717、Fire Strikeは5216、Time Spyは2131となり、カジュアルなゲームなら十分動作し、ブラウザゲームならむしろ専用機に最適。正直なところ負荷時はファンノイズがかなり気になるが、「頑張ってるね」と謎の優しさで許してしまうそんなサイズ感だ。

内蔵グラフィックス向けのベンチマーク、Night Raidのスコアは15998
クロスプラットフォーム向けのベンチマーク、Wild Lifeのスコアは11717
DirectX 11を使用するデスクトップPC向けのベンチマーク、Fire Strikeのスコアは65216
DirectX 12を使用するデスクトップPC向けのベンチマーク、Time Spyのスコアは2131