西川和久の不定期コラム

古のMacintoshのようなデザインのミニPC!「AYANEO Retro Mini PC AM01」

製品写真

 これまで数多くのミニPCをご紹介したが、今回の「AYANEO Retro Mini PC AM01」は少し変わっていて、スペックよりルックス重視! 編集部から試作機が送られて来たので、試用レポートをお届けしたい。

古のMacintoshのようなデザインのミニPC

 AYANEOのPCは本連載では初登場だが、サイトに並んでいる製品を見ると、とにかく普通のルックスをしたPCはなく、一風変わったものばかり並んでいる。

 今回ご紹介するミニPCもこの“一風変わったもの”に該当し、ルックスが古のMacintoshのようなデザイン。とは言え、この部分が天板に相当するので、実際は寝かして使うことにはなるのだが……。

 ベアボーン、メモリ8GB/16GB/32GB、ストレージ256GB/512GB/1TBの組み合わせがある中、手元に届いたのは最小構成の8GB/256GBモデル。主な仕様は以下の通り。なお国内での扱いはハイビームとなるが、発売時期や価格は未定だ

AYANEO「Retro Mini PC AM01」の仕様
CPURyzen 7 5700U(8コア/16スレッド/クロック1.8GHz(最大4.3GHz)/キャッシュ 4MB/8MB/TDP 15W (またはRyzen 3 3200U)
メモリ8GB/16GB/32GB(DDR4)、SO-DIMMソケット×2
ストレージM.2 2280 SSD 256GB/512GB/1TB+2.5インチSSD/HDD(空き)
OSWindows 11 Home(22H2)
グラフィックスAMD Radeon Graphics(8コア/1,900MHz)、HDMI 2.0、DisplayPort 1.4
ネットワークGigabit Ethernet、Wi-Fi 6、Bluetooth 5.2
インターフェイスUSB 3.0 Type-C、USB 3.1×3、USB 2.0、音声入出力
サイズ/重量132×132×60.5mm(幅×奥行き×高さ)/486g
価格不明

 プロセッサはRyzen 7 5700U。8コア/16スレッドでクロック1.8GHz(最大4.3GHz)。キャッシュ 4MB/8MB、TDPは15W。リリースが2021年1月12日と3年前、2世代古いのSKUだ。従ってここのところ紹介してきた最新Ryzenとパフォーマンスを比較するとそれなりに落ちる。

 グラフィックスはプロセッサ内蔵AMD Radeon Graphics(8コア/1,900MHz)。外部出力用にHDMI 2.0、DisplayPort 1.4を装備している。

 メモリはDDR4で8GB/16GB/32GB。ストレージはM.2 2280で256GB/512GB/1TB。またマウンタが必要になるものの、2.5インチのSSD/HDDを1基内蔵できる。OSはWindows 11 Home(22H2)。既に23H2のアップデートが来ていたが、22H2の範囲内でWindows Updateし評価した。

 ネットワークはGigabit Ethernet、Wi-Fi 6、Bluetooth 5.2。そのほかのインターフェイスは、USB 3.0 Type-C、USB 3.1×3、USB 2.0、音声入出力。

 サイズ132×132×60.5mm(幅×奥行き×高さ)、重量486g。iPhone 13 Proとの比較写真からも分かるようにかなりコンパクトだ。

 そして最大の特徴はこのルックス。古のMacintoshのようなデザイン……と言えばいいだろうか。ただ実際はこの部分が天板になるため(立てて置くとケーブル類が上になる)、どうせなら縦置きようにしてほしかったところ。

 価格はクラウドファンディングの早期割引価格しか分からないのだが、手元に届いた8GB/256GB仕様で269ドル。円換算すると3万9,812円(ドル換算148円)。4万円を切り、それなりに安い。ただプロセッサのスペックが今時と比較して劣るため、デザインで「おっ!」と思った人向けだろうか。

前面。USB 3.0 Type-C、3.5mmジャック
背面。Gigabit Ethernet、USB 3.0×3、USB 2.0、HDMI、DisplayPort、電源入力
天板とiPhone 13 Pro。ブラウン管に相当する部分は単に黒いだけ(付属のステッカーが貼れる)。ロゴは取り外し可能、フロッピーディスクのイジェクトボタンに見える部分が電源ボタン
裏。四隅のゴム足とネジ
付属品。ACアダプタ(サイズ約105×50×35mm、重量234g、出力12V/6A)+各国用交換用プラグ、付け替え用ロゴ、2.5インチSSD/HDD装着用マウンタ、SATAケーブル、ドライバ/オープニングツール、HDMIケーブル、ステッカー、各種ネジ……など盛り沢山
ロゴの部分は磁石になっており付属品のほかのロゴと交換可能
BIOS / Main。起動時[DEL]キーで表示
BIOS / Advanced
重量は実測で493g
いつものキーボード付きモバイルモニターへ接続。USB 3.0 Type-Cから映像信号は出てないので、USB/HDMIケーブルの2本必要。試しに縦置きにしたところ……。

 ルックスはご覧の通り、扉の写真のように立てると古のMacintoshによく似ている。この1点で「欲しい!」と思った人も多いのではないだろうか。

 前面にUSB 3.0 Type-Cと3.5mmジャック。背面はGigabit Ethernet、USB 3.1×3、USB 2.0、HDMI、DisplayPort、電源入力を配置。そして天板のフロッピーディスク/イジェクトボタン風の部分が電源ボタンとなる。裏は四隅にゴミ足とネジ。

 ACアダプタは各国用のプラグ4つ付き。サイズ約105×50×35mm、重量234g、出力12V/6A。重量はプラグなしの状態で測定したものだ。

 付属品は加えて、付け替え用ロゴ、2.5インチSSD/HDD装着用マウンタ、SATAケーブル、ドライバ/オープニングツール、HDMIケーブル、ステッカー、各種ネジ……など盛り沢山。特に小さいロゴだが、ここが交換できるのは面白い。また、ステッカーは写真からは分かりにくいと思うが、ディスプレイ相当の黒い部分に貼り、雰囲気を盛り上げるアイテムとなっている。

 いつものキーボード付きモバイルモニターへの接続は、USB 3.0 Type-Cから映像信号が出ていないため、HDMiとUSBケーブルの2本が必要になる。試しに縦置きにしたところ、写真のような感じになった。

 下側にUSB 3.0 Type-Cと3.5mmジャックが来て、使えなくなるがこれは諦めるとして、ケーブル類が邪魔になる。キーボードとマウスは無線もしくはBluetooth、音はBluetooth、ネットはWi-Fiとすれば、後はHDMIをストレート型ではなくL字型のコネクタにすれば何とかなる感じだ。ただ電源プラグがストレート……。ここは干渉する物もないので、初めからL字型を付けて欲しいところか。

 内部へのアクセスは、裏のこのネジ4本を外すとアクセス可能だ。またドライバと
オープニングツールも付属するので、工具を探す手間もかからない。ただ肝心のSO-DIMMスロットや2.5インチSSD/HDDは、写真で見えている基板を外さないとアクセスできず、少し面倒な感じだ。

4本のネジを外すと簡単に内部へアクセスできる。ただ肝心のSO-DIMMスロットや2.5インチSSD/HDDは基板を外さなければならず少し面倒

 コンパクトなだけに気になるノイズや熱だが、負荷をかけると、右側のスリットからエアーと熱が出る。ただ本体そのものは然程熱くはならない。ノイズは耳を近づければ聞こえるものの、通常の設置場所なら問題無いレベルだ。

 以上のように、「Retro Mini PC AM01」は遊び心満載でなかなか面白いミニPCに仕上がっているのが分かる。問題は2世代古いSKUのパフォーマンス。後半のベンチマークテスト結果が気にならないのならGo! と言う感じだろうか。

最新のRyzenと比較してCPUはともかくGPUが遅い

 初期起動時、プリインストールされたアプリなどはなく、Windows標準のまま。他サイトでは壁紙がそれっぽいのに変わっているのを見かけたが、手元のマシンには入っていなかった。

 体感速度的にはメモリ8GB、2世代古いRyzenなので、一般的なアプリはまだしも、グラフィックス系になると遅い感じで、実際ベンチマークテストの結果もそうなっている。

 SSD 256GBのストレージはデバイスマネージャ上では「PCIe SSD」とあるだけで詳細は不明。C:ドライブのみの1パーティションで約225GBが割り当てられ空き199GB。さすがに256GBだと空きも少なく、用途によっては厳しい感じか。

 Gigabit EthernetはRealtek製、Wi-FiはIntel Wi-Fi 6 AX200 160MHz、BluetoohもIntel製だ。

初期起動時のデスクトップ。Windows標準
デバイスマネージャ/主要なデバイス。SSD 256GBのストレージはデバイスマネージャー上では「PCIe SSD」とあるだけで詳細は不明。GbEはRealtek製、Wi-FiはIntel Wi-Fi 6 AX200 160MHz、BluetoohもIntel製
ストレージのパーティション。C:ドライブのみの1パーティションで約225GBが割り当てられている

 ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、Cinebench R23、CrystalDiskMarkを使用した。

 去年、虎が浮かび上がるRyzen 7 7840HS搭載のMINISFORUMの「UM780 XTX」をご紹介したが、そのスコアと見比べるとCPUはともかくとして、iGPU、特に3DMarkが圧倒的に遅い。ここを許容できるかどうかが鍵になるだろうか。

PCMark 10 v2.1.2662
PCMark 10 Score4,566
Essentials8,725
App Start-up Score11,624
Video Conferencing Score7,404
Web Browsing Score7,719
Productivity8,039
Spreadsheets Score10,550
Writing Score6,126
Digital Content Creation3,684
Photo Editing Score4,222
Rendering and Visualization Score4,573
Video Editing Score2,591
PCMark 8 v2.8.704
Home Accelerated 3.03,994
Creative Accelerated 3.0N/A
Work Accelerated 2.04,889
Storage5,060
Cinebench R23
CPU8,669
CPU(Single Core)1,219
CrystalDiskMark 6.0.0
Q32T1 シーケンシャルリード2314.794 MB/s
Q32T1 シーケンシャルライト1134.998 MB/s
4K Q8T8 ランダムリード886.503 MB/s
4K Q8T8 ランダムライト965.561 MB/s
4K Q32T1 ランダムリード447.653 MB/s
4K Q32T1 ランダムライト310.593 MB/s
4K Q1T1 ランダムリード41.927 MB/s
4K Q1T1 ランダムライト84.710 MB/s

 以上のようにAYANEO「Retro Mini PC AM01」は、古のMacintoshのようなデザイン、そしてロゴが交換てきたり、多数のステッカーなど遊び心満載のミニPCだ。

 ただプロセッサが2世代古いRyzen。特にiGPUが最新のRyzenと比較して遅く、この点が気になる人も多いのではないだろうか。とは言え、このルックスに惚れた人にお勧めしたい1台だと言えるだろう。