西川和久の不定期コラム
Ryzen 7 7735HSを搭載した高性能ミニPC!「MINISFORUM UM773 Lite」
2023年3月20日 06:27
Ryzen 6xxx系のリフレッシュ版Ryzen 7 7735HS搭載
今回ご紹介するミニPC、搭載しているプロセッサはRyzen 7 7735HS。このSKUは本連載初登場だ。AMDの6xxx系で直接関係しそうなのはRyzen 7 6800HSだろうか。Ryzen 7 6800HSの仕様を見ると大枠同じだが、Ryzen 7 7735HSは、最大クロックが4.7GHzから4.75GHzへ、TDPが最大54Wまでになっている。
また同社の製品ページでは6800Hと比較してCINEBENCH R23のシングルが5%、マルチが8%向上とある。+α気持ち速くなった感じだろう。
いずれにしても初物には違いないので、期待しつつのレビューとなった。構成としては、ベアボーン、16GB/512GB、32GB/512GB、32GB/1TB、64GB/1TBと5種類ある中、届いたのは16GB/512GBモデルだ。主な仕様は以下の通り。
MINISFORUM「UM773 Lite」の仕様 | |
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プロセッサ | Ryzen 7 7735HS(8コア16スレッド/クロック3.2GHz~最大4.75GHz/2次キャッシュ 4MB/3次キャッシュ16MB、TDP 35~54W) |
メモリ | 16GB(DDR5-4800MHz 8GB×2)/SO-DIMM×2/最大64GB |
ストレージ | M.2 2280 PCIe4.0 SSD 512GB/2.5inch SATA HDD/SSD(空き) |
OS | Windows 11 Pro(21H2) |
グラフィックス | Radeon 680M/HDMI×2(4K@60Hz)、Type-C(8K@60Hz) |
ネットワーク | 2.5GbE、Wi-Fi 6E、Bluetooth |
インターフェイス | USB4(左側)、USB 3.1 Type-C(右側)、USB 3.1×2、2×USB 2.0、音声入出力 |
サイズ | 127×128×47mm(幅×奥行き×高さ/ACアダプタ含まず) |
予約価格 | 8万1,520円(ベアボーン5万9,120円) |
プロセッサはZen 3+/Rembrandt-RアーキテクチャのRyzen 7 7735HS。8コア16スレッドでクロックは3.2GHzから最大4.75GHz。キャッシュは2次4MB/3次16MB。TDPは35~54W。モバイル用のSKUで、先の通り1世代前の6xxx系のリフレッシュ版となる。
メモリはDDR5-4800MHz 8GB×2(SO-DIMM)の計16GB。最大64GBまで対応する。ストレージはM.2 2280 PCIe4.0 SSD 512GB。加えて2.5inch SATA HDD/SSD(空き)を搭載可能だ。OSはWidows 11 Pro。21H2だったので、その範囲でWindows Update適応後、評価した。
グラフィックスはプロセッサ内蔵Radeon 680M。GPU 12コア/2,200MHzで作動する。映像出力用にHDMI×2(4K@60Hz)、Type-C(8K@60Hz)を装備。3画面同時出力に対応。
ネットワークは、2.5GbE、Wi-Fi 6E、Bluetooth。インターフェイスは、USB4(左側)、USB 3.1 Type-C、USB 3.1×2、USB 2.0×2、音声入出力。2.5GbEとUSB4対応はポイントが高い。
サイズは127×128×47mm(幅×奥行き×高さ)、重量は615g(実測/ACアダプタ含まず)。価格はベアボーンで7万3,900円のところを現在5万9,120円。16GB/512GBで10万1,900円のところを現在8万1,520円と、予約価格になっている。
ベンチマークテストは後述しているが、結構なパフォーマンスなので、欲しい人はこのタイミングで予約するほうが安上がりだ。
筐体はiPhone 13 Proとの比較写真からも分かるようにかなりコンパクトだ。色もブラックでなかなか良い。重量は実測で615g。ACアダプタと合わせて約1kgなので、行く先々にモニタとHIDがあるなら持ち運ぶのもありだろう。
なお、同じスペックで「Lite」ではなく「SE」と言うモデルがあり、こちらは桜をイメージした薄いピンク+桜柄になっている。スタンドも色を合わせており、なかなかの出来栄えだ。興味のある人は同社のサイトをアクセスして欲しい(パッケージも桜柄とのこと)。
前面は電源ボタン、3.5mmジャック、Type-C×2。左のType-CがUSB4となる。背面はUSB 2.0×2、HDMI×2、USB 3.1×2、2.5Gigabit Ethernet、電源入力。上にロックポートを配置。裏にはVESAマウンタ用のネジ穴がある。本機ではUSB4が1つあるため、いつものキーボード付きモバイルモニターへもType-C/Type-Cケーブル1本でOK。なかなか便利。
付属品は、ACアダプタ、VESAマウンタ、ゴム足、スタンド、電源ケーブル、HDMIケーブル、2.5inch SSD/HDD接続用SATAケーブル。ACアダプタは「UM690」と同じもので140×60×35mm/重量459g/出力19V/6.3Aが使われている。スタンドも同様。いろいろ使いまわしができる分、コストも少し下がってそうだ。
内部へのアクセスは、裏の三角型ゴム足と、小さく丸いゴム足を剥がすと下にネジがあるので、これを外せば簡単にアクセスできる。メモリとM.2 SSDは簡単に交換可能。またパネルの裏に2.5inch SSD/HDDを1基搭載できる。SATAケーブルは専用のものが付属し、本体側はM.2 SSDの下にある白いコネクタとなる。
発熱やノイズは、ベンチマークテストなど負荷をかけるケースも含め、試用した範囲では十分許容範囲に収まっている。机の上など、耳に近い位置に設置しても気になることは無さそうだ。
「UM690」の時にも思ったが、このシリーズは完成度も高く、ミニPCとして非常に良く出来ている。お勧めの1台と言えよう。
Ryzen 9 6900HXに迫るハイパフォーマンス!
初期起動時、プリインストールなどのアプリはなし。Windows 11 Pro標準のままだ。8コア16スレッドのハイパフォーマンスCPU、メモリ16GB、ストレージM.2 SSDなのでストレスなく作動する。
ストレージはM.2 SSDの「KINGSTON OM8PGP4512Q-A0」。ネット上で仕様などは見当たらなかったが、CrystalDiskMarkでシーケンシャルリード約4,800MB/s、シーケンシャルライト約3,500MB/sとそれなりに速い。C:ドライブのみの1パーティションで約474GBが割り当てられ空き434GB。
2.5GbEは「Intel Ethernet Controller I225-V」、Wi-Fiは「RZ608」、Bluetoothも「RZ608」が使われている。
ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、Cinebench R23、CrystalDiskMarkを使用した。また比較写真にあった「UM690」(Ryzen 9 6900HX)のスコアも合わせて掲載する。
基本的に本機が勝っているものだが、ビデオ系が少し上がっている。ほかのスコアも負けてるとは言え僅差。なかなかのパフォーマンスと言えよう。
以上のようにMINISFORUM「UM773 Lite」は、Ryzen 7 7735HSを搭載したコンパクトなミニPCだ。パフォーマンスもRyzen 9 6900HXに迫りなかなか良く、ベアボーンから1TB/64GBまで選べるのもポイントが高い。
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