西川和久の不定期コラム

GPUは映れば何でもOK、ただしCPUは爆速に限る!夏休みの工作でCore i9-12900搭載ミニPCを組む【前編】

購入パーツ一式

 現在筆者のメインマシンはM1搭載の「Mac mini」(16GB/256GB)。速くて冷たくてお気に入りの1台。とは言え、そろそろ2年。新しいのが欲しいな……と思い、色々考えた結果が今回の工作だ。組み立て編、ソフトウェア編と2回分けてご紹介したい。

Core i9-12900にした理由

 現在筆者のメインマシンは、冒頭に書いた様にM1搭載Mac mini(16GB/256GB)。購入直後記事にもしているのでご覧になった方も多いと思う。

 当然買い替え(買い増し)になるとこれより速いことが最低条件。Apple純正だと、M2搭載の新型「MacBook Air/Pro」、M1 Pro/Max搭載の「Mac Studio」や「MacBook Pro 14/16」となるが、一番安価なM2搭載の新型MacBook Airでさえ欲しい構成(少なくともメモリ16GB)にすると円安の影響をもろに受け22万円オーバー。さすがに20万円を超えると簡単に手が出ない。

 改めて仕事の内容を見直すと、ネット系(Google Workspaceなども含む)、原稿、プログラミング……これらは一部画像もあるがほぼテキスト。ある意味、Celeronでも困らない(笑)。とは言え、Webのレンダリングはパワーがある方が当然速い。オフラインで比較的パワーを必要とするのはPhotoshopとdockerのbuildなど。(Photoshopは一部GPUも使うが)これらはCPUが速ければ速いほど良い。逆にGPUを使うゲームは一切しないし、動画編集はやっても仕上がりで尺は数分物だ。

 こう考えると、先に挙げたM2やM1 Pro/MaxなどGPUがdGPUに迫るようなものは必要なく、単にCPUだけ速ければ良いことになる。そこで(消費電力や発熱はともかくとして)、Geekbench 5のスコアでCPUのシングル/マルチがM1 Maxと同等(以上)のものを調べてみた。

 M1 Maxは、ざっくりシングル1,700、マルチ12,000ほど。これに相当する(超える)IntelのCPUは、Core i9-12900でざっくりシングル1,900、マルチ15,000。構成にもよるだろうが、どちらも上回っている。「これだ!」っということでマシンを組むことにした。

 具体的な使い方としては、

1)Photoshopなど画像系はM1 Mac mini、本機はUbuntuでほかの処理
2)Photoshopなど画像系はM1 Mac mini、本機はChrome OS Flexでほかの処理
3)ほぼ全てM1 Mac mini、本機はUbuntuでdockerなどLinux系だけMacからssh接続

 となるだろうか。+1台となる場合、筆者の用途的にWindowsである必要はない。1)と2)に関してはmacOSとUbuntu(もしくはChrome OS Flex)のデスクトップ環境が2つ。M1 Mac miniを残すのはPhotoshopやメインモニター(BenQ SW240)のハードウェアキャリブレーションなどが主な理由だ。上記でPhotoshopはCPUパワーが……と書き、にもかかわらず新しいマシンで動かさないのは矛盾するが、M1 Mac miniでも十分速く、使用頻度もそれほど高くないので、「ま、いいか」的なところ。

 できればインストールも操作も簡単なChrome OS Flexで済ませたいが、肝心のLinux環境がイマイチ(Linux自体がコンテナ、ファイルアクセスが遅い、Wineとの相性など)、第12世代のE/Pコアに対応しているのか不明なので、おそらくUbuntuになるだろう。3)は極端な使い方だが、今の環境に+Ubuntuサーバー的な形となる。

 そうなるとベンチマークテストなどを行なわない限り、CPUがMaxパワーになることなどまれ。コンパクトな筐体でいいのでは? と思い出した。大きいフルタワーは嫌という話もある。

 購入したのは以下の通り。熱処理的に不利になるのは承知で8Lタイプ(168×219.3×218.3mm)のASRock DeskMeet B660をピックアップ。この関係で純正のCPUファンが入らず(規格上高さ54mmまで)、Ainex IS-40X-V2(高さ45mm)も購入した。上記のような理由からGPUは映りさえすれば何でもいいのでdGPUは追加せず、CPUのiGPUをそのまま使う。

購入リスト
CPUCore i9-12900(16コア24スレッド/1.8~5.1GHz/キャッシュ 30MB, 14MB/ベースパワー65W/ターボパワー202W)
メモリCT2K16G4DFRA32A/32GB(16GB×2/DDR4-3200 DIMM)
ストレージSamsung 980 MZ-V8V500B/500GB SSD(M.2 PCIe Gen3x4)
グラフィックスIntel UHD Graphics 770(iGPU)
ベアボーンASRock DeskMeet B660
SATA 6Gbps×3
M.2 2280 PCI Express 4.0 x4×2(うち1基はSATA 6Gbpsも対応)
PCI Express 4.0 x16
M.2 2230(無線LAN/Bluetooth用
前面インターフェイス:USB 3.1 Type-C、USB 3.0×2、USB 2.0×2
背面インターフェイス:DisplayPort、HDMI、ミニD-Sub15ピン、USB 3.0、USB 2.0×2、Gigabit Ethernet(Intel I219V)
CPUファンAinex IS-40X-V2
OSなし(Ubuntuの予定)
購入価格
CPU7万1,480円
メモリ1万5,000円
SSD7,980円
ベアボーン3万5,301円
CPUファン3,800円
合計13万3,561円※ファンはAmazon、ほかはTUKUMOの通販

 ファンの分だけ余計で13万を少し超えたものの、半分近くを占めるのがCPU。少しランクを落とせばもっと安く仕上げることもできる。逆にメモリやSSDはビックリするほど安い。いずれにしても円安で多くが値上がりする中、これだけのスペックがこの価格なら納得ではないだろうか。

 実はASRockはLGA1700対応の更に小さいベアボーン、「DeskMini B660」を出しおり、サイズ155×155×80mm(1.92L)と、とんでもなくコンパクトなのだが、電源がACアダプタ(120W)だったり、さすがにCore i9-12900には厳しそうなので諦めた(メモリはSO-DIMM×2)。ファンの高さは最大47mmまで。もしi5やi3辺りを使うなら、今回購入した同じもので行けそうだ。

組み立ては簡単!

 昔なら秋葉原で買ってハンドキャリーしたものだが、この猛暑の中、出掛けるのもおっくうなのでネットで注文。翌日に到着した。

 以降、組み立ての順を追って写真を掲載する。CPUはリテール版を買ったのだが、Ainex IS-40X-V2との比較写真からも分かるように、パッケージを開けて驚いたのはファンのデカさ!高さも約75mmほどある。

Core i9-12900リテール。ファンの大きさにビックリ!
メモリとSSD。どちらも定番中の定番
Ainex IS-40X-V2。高さ54mm以下しか入らないので、比較的冷えて高さ的に問題ない(45mm)のはこれ一択?
IS-40X-V2とリテールファンの比較。まるで子供と大人の差。リテールファンはLEDも仕込まれている
ASRock DeskMeet B660 / 開けたところ。上にPCIe 4.0 x 16(デュアルスロット幅/最大 20cmまたは7.87インチ)、その下にM.2。もう1つは裏にある。右斜め下辺りにWi-Fi/BT用のM.2。左にDIMM×4
ASRock DeskMeet B660 / 付属の500W電源ユニット(80 Plus Bronze)。ケーブルが一般的なものよりかなり短い。丸いファンの部分はCPU側に向く

 まずはCPUの装着。LGA1700は初なのでどんな感じかと思ったが意外と簡単。向きも凹みがあるので決まった方向にしか入らず悩む必要もない。次はM.2 SSDとメモリ。これはサクッと。そしてファンの取付となる。

 Ainex IS-40X-V2は、LGA1150、1151、1155、1156、1200、1700/Socket AM4に対応している関係でいろいろ入っているのだが、LGA1700用の金具(書いてあるので分かる)を取付け、CPUに熱伝導グリスを塗り、逆側からネジで止めれば完了。仕上げはファン用の電源コネクタへ接続すればOK。写真を撮りながらだったので少し時間はかかったが、手慣れた人なら10分未満だろう。

組み立て中 / CPU。レバーを上げてCPUを装着、黒いカバーを外し、レバーを元に戻す
M.2 SSD。ねじ止めだけなので簡単
メモリ。今回は16GB×2で計32GB。このマザーボード自体DDR5に未対応なのでDDR4。とは言え、ネットで調べるとさほど差がないようで気にしないことにする。写真ではA1+B1になっているが、後にA2+B2へ変更している(スロット4本の時はこれがセオリーらしい)。この時Google Octaneも約9.6万とスコアが上がる
組み立てにおけるファンその1。LGA1700と書いてある金具を使う
ファンその2。裏からネジ止め(間に黒いスペーサー)。下にもう1つのM.2が見える
ファンその3。手前のフレーム上に電源ユニットが軽く乗る。ファンの高さは中央辺りのライン程度まで
電源ユニットを装着。ケーブルで余った部分がちょうど後ろ側にすっぽり入る
電源ユニットを装着した時のファンとの隙間。ちょっと分かりにくいがあまり隙間がない

 最後は電源ユニットの装着。先にケーブル類の配線を済ませ、その後背面パネルにネジで固定する。この電源ユニットは本機専用で、ケーブル類が一般的なものよりかなり短く、ケース内で余った部分が邪魔にならないようになっている。また丸いファンの部分はCPU側に向きエアを排出。冷やすのに一役買っている(通常と逆)。

 写真では少し分かりにくいが電源ユニットとファンの間はそれほど余裕がなく、おそらく市販でここに収まり、比較的冷えるファンは選択の余地がなさそうだ。

 これで仮組みが終わったので、いつものキーボード付きモバイルモニターで作動確認。HDMI/Mini HDMIケーブル、Type-A/Type-Cケーブル2本が必要となる。できれば1本で済むThunderbolt 4が欲しかったところ。このシステム唯一の欠点となる。

BIOS/いつものキーボード付きモバイルモニターで起動確認。無事起動。メモリ2つ、SSDを認識。CPUの温度は34度、ファンの回転数は1,130。結構コンパクトなのが分かる

 電源オンで無事BIOSの表示となった。書いたように間違う部分はないのだが、緊張する瞬間だ(笑)。サイズ感はこのモバイルモニターとの比較でおおよそ分かるだろうか。Mac miniと比較すると、幅は本機の方が狭く、逆にその分、奥行きがあるといったところ(高さは言うまでもないだろう)。

 この状態で(部屋が暑くなければ)CPU温度35℃前後、ファン回転数1,200前後。化粧パネルを付けると熱がこもるのでもう少しどちらも上がる。またファンの音もケースに耳を近づけるとそれなりにある。これがフルに動き出すとどうなるかは気になるところだ。このあたりは、後編で実際OSを入れ、いろいろ試してみたいと思う。

取り急ぎChrome OS Flexを入れてみた

 と、ここで終わると、肝心の爆速度が分からないので、とりあえずChrome OS Flexを入れて、システム診断とGoogle Octane 2.0を実行してみた(ネットは仮でUSB 2.0のWi-Fiアダプタ、Bluetoothも同様/Apple Magic Trackpad接続)。おそらくCore i9-12900でChrome OS Flexを入れた事例はないのでは!?(笑)。もちろんLinux環境も作動する。

 Google Octane 2.0はJavascriptのベンチマークテストなのでシングルスレッド性能の目安となりスコアは94,557。参考までにM1 Mac miniで約7.4万、友人所有のMac Studio(M1 Max)は約7.7万。とりあえずCore i9-12900の1勝だ。

 システム診断/ストレステストは平均60℃前後、クロック4GHz前後。これは写真を掲載していないが化粧パネルを装着している状態。危惧していたほどでもなく、ファンの音も気にならないレベルだ。ちょっとサイトを見る程度であれば30℃+α、1GHz前後で作動。しばらくこれで遊んでみることにする。

Google Octane 2.0は94,557。ストレステスト中温度は60℃前後、クロックは4GHz前後

 考えてみればPCを自作するのは(NUCタイプのメモリとSSD付けたら終わり……的なのは除く)、第6世代SkylakeのCore i5-6600K以来7年ぶり。このPCは後にCPUをCore i7-7700へ乗せ替え、第10世代搭載Intel NUCを購入するまではメインで使っていた。

 ふと記事の日付を見ると2015年8月29日。どうやら夏は筆者にとってたまにPCを組みたくなる季節なのかも知れない(後編へ続く)。